1 エネルギー効率の高い輸送方法への転換


  運輸部門における省エネルギー対策としては,エネルギー効率の高い輸送方法への転換が必要であり,このためにも公共輸送機関の積極的整備が望まれる。
  まず貨物輸送については,コンテナリゼーション,パレチゼーションによる協同一貫輸送,物資別途適合輸送を積極的展開に推進することにより,エネルギー効率が悪く,環境,交通空間といった観点で制約要因の大きい長距離トラック輸送を鉄道,内航海運に吸収していくことが望ましい。
  特に,自家用トラックのエネルギー効率は営業用トラックに比べ 〔2−5−10図〕のとおり2〜3倍悪くなっており,車両数が圧倒的に多いにもかかわらず輸送トンキロの分担では自動車貨物輸送の半分しか担っておらず,積載効率(輸送トンキロ/能力トンキロ)も20%位悪くなっている。自家用トラックのもつメリットを配慮しつつ,共同集配送の積極的活用等による合理化,効率化の推進が要請される。
  旅客輸送についても,自家用乗用車は旅客輸送の全エネルギー消費量の60%を消費しているが,平均乗車人員が約1.6人であることから,エネルギー効率は極めて悪く,人キロ当たりバスの約4倍,鉄道の約5倍のエネルギーを使用している。また,乗用車は,環境面への悪影響,都市における交通混雑への寄与が大きい。このためエネルギー効率の高い鉄道,バス等の公共輸送機関の積極的活用,相乗りタクシーの推進を図ることにより,可能な限り自家用乗用車による旅客を吸収する必要があろう。
  なお,以上に述べたように,エネルギー効率の観点から輸送機関間の優劣はつけられるが,特に輸送方法の転換については,前述した環境問題等他の制約要因のほか,転換のための経費,輸送サービスの質,旅客の選好等の問題について,転移する輸送需要の吸収の可能性を慎重に検討したうえで,省エネルギー型輸送体系の実現を図る必要があろう。


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