3 航空
航空事業は,所得水準の向上と旅行の広域化並びに高級貨物の増加に伴い旅客,貨物輸送量とも40年代を通じて各輸送機関のなかでもずば抜けて高い伸びを続け,また,ジェット化,機材の大型化等による生産性の向上によら経営状況も一部の企業を除いては全般的には良好であったが,49年度には一転して大きな赤字を計上した。49年度の経常収支率は100.0%を割って94.3%となり,日本航空(株)は9年ぶりに無配に転落した。
まず,収入面では,長期にわたる景気後退による個人消費支出の伸び悩み,生産活動の停滞及,日台,日韓関係の影響という特殊要因から国際線では旅客人員11.4%減貨物トンキロ,4.5%減となり,国内線でも旅客人員は7.4%増と伸び悩み,貨物トンキロは6.6%減となったが,この間,運賃改定が実施されたこともあって,営業収入は前年度比19.2%増であった。
一方,費用面では,航空事業の営業費用構成の中で燃料費の占める比率が高く,ジェット燃料価格の大幅な上昇による影響が著しいこと等から49年度の営業費用は前年度比30.3%の大幅増となった。ちなみに,最近における航空事業の営業費用の増加率は,需要の拡大を見込んだ大量の機材整備による償却費増も加わって 〔2−5−1表〕でみるとおり各輸送機関のなかでも最も高いもののひとつとなっている。
このような状況にあって航空各社は,新規採用の手控え,人員の配置転換等による人件費の圧縮等を図っているが,50年度に入ってからは需要は回復傾向にある。
なお,航空にあっても日本近距離航空(株)に対する国庫補助等により離島辺地輸送の確保が図られているが,離島辺地輸送はその性質上輸送効率が悪く上述したようなコストの大幅な上昇によって多額の欠損を計上している。このような状況にかんがみ,,経営の一層の合理化を図る等の抜本的な対策を講じていく必要に迫られている。
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