3 船員労働時間の短縮


 (船員法の改正)
  近年,労働時間の短縮が,国民生活の向上,労働者の福祉の観点のみならず,国際経済情勢を背景として経済構造調整,内需拡大の観点からも我が国全体の大きな政策目標とされており,陸上の労働者については既に労働基準法の改正が行われ,63年4月1日より実施に移されている。
  一方,船員法の労働時間等に関する規定が設けられて以来40年余が経過しているが,この間技術革新の進展等を背景に,船員の就労の態様が大きく変化するとともに,船員の労働条件の水準も労働協約の内容等に見られるとおりかなりの改善が見られた。
  このため,船員中央労働委員会の答申を経て,船員についても船員法の改正により労働時間の短縮を図ることとした。その具体的内容は,
 @ 一日の労働時間は8時間以内とし,一週間の労働時間については,航海の態様に応じた一定の期間(基準労働期間)を通じ,平均して40時間以内とするとともに休日を週平均1日とすること。
 A @の実現のため,一週間の労働時間が40時間を超える場合又は一週間について1日の休日を付与できない場合は,これを別途の休日の付与により補償する制度を創設すること。
 B @及びAの40時間は将来目標として定め,当分の間は政令で定める時間(48時間)とし,段階的に短縮すること。
  等である。この制度は,船舶の航行中は連続して勤務せざるを得ないという海上労働の実態を前提とし,下船中に休日を付与することを可能とするものであり,この制度により,船員の労働時間の短縮を段階的かつ着実に進めていくことが可能となる。今後は,週40時間労働制を早期に実現するため,労使の協力を得て,労働時間の短縮を進めることとしている。


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