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海の交通法規入門


船の灯火(その3) 「白灯1個のヒ・ミ・ツ」
「白灯が1個見えるけど・・・」  〜 船の灯火、実務編 〜
 
白い灯火が1つ見えます。さて、どのような船のどのような灯火でしょう?
 
よく見てみましょう。
 
船の灯火に間違いありませんか?
 
近くに陸岸や島がある場合の陸上の明かりではありませんか?




 
点滅する航路標識ではありませんか?




 
漁網、漁具の位置を示す標識灯ではありませんか?




 
 
船の灯火に間違いないようですね。もう一度、よく見てください。
灯火は近くにありますか?ずっと遠くですか?
船影から船の大きさはどうでしょう。大型の船ですか、小型の船ですか?
動いていますか、止まっているように見えますか?
近くに他の灯火は見えますか?
 
肉眼だけでは無理です。双眼鏡を活用しましょう。もちろんレーダーを使用している船ではレーダーでも確認しましょう。
 
 
双眼鏡を使いましょう。
ちょっとその前、双眼鏡を使う前に。
左右の調整、ピントは合わせましたか?
レンズは汚れていませんか?
 
〜双眼鏡の常識〜
双眼鏡はレンズ(対物レンズ)の口径の大きいものほど、夜間でも明るく見えます。

船で使う双眼鏡としては、夜間を考えると、レンズ径の大きいものが最適です。
 
双眼鏡でよく見てみましょう。
 
 
@ 白灯1個が見える
考えられる灯火は次のいずれかです。
[マスト灯]
[長さ7メートル未満最大速力7ノットを超えない動力船の灯火]
[ろかい船の白色の携帯電灯]
[船尾灯]
[停泊灯]
 
 
見え方はあまり変わらず、止まっているように見える場合は・・・
[マスト灯]
[長さ7メートル未満最大速力7ノットを超えない動力船の灯火]
[ろかい船の白色の携帯電灯]
[船尾灯]
[停泊灯]
 
 
灯火はすぐ近くにあり、揺れている場合は・・・
[マスト灯]
[長さ7メートル未満最大速力7ノットを超えない動力船の灯火]
[ろかい船の白色の携帯電灯]
[船尾灯]
[(小型の船の)停泊灯]
 
 
船室の窓のような明かりが見える場合は・・・




 
→ [停泊灯](長さ50メートル未満の船舶)
(近くに同様の他の白灯1個が見える場合は、長さ50メートル以上の停泊船の前部及び後部の停泊灯)
 
 
船影から煙突が見える場合は・・・




→ [船尾灯]
 
 
他の灯火が見える
下方に紅、緑の光が見える(見えてくる)場合は・・・
→[マスト灯](長さ50メートル未満の船舶)
 
(遠距離の場合は、しばらくは白灯のみが見えます。光達距離の違い、つまりマスト灯や舷灯に使用している電球の明るさの違いがその理由です。)
 
→ 紅灯 → [左舷灯] → 左舷を見せた反航船
 
→ 緑灯 → [右舷灯] → 右舷を見せた反航船
 
→ 紅灯及び緑灯 → [左舷灯][右舷灯] → 真向かいの反航船
 
 
A 白灯が2個見える。
  白灯2個が重なって「1個に見えていた。」場合は・・・
 
→ [前部及び後部マスト灯](長さ50メートル以上の船舶)
(遠距離の場合は、しばらくは白灯のみが2個見える。)
 
下方に紅、緑の光が見える(見えてくる)場合は・・・
 
→ 紅灯 → [左舷灯] → 左舷を見せた反航船
 
→ 緑灯 → [右舷灯] → 右舷を見せた反航船
 
→ 紅、緑灯 → [左舷灯][右舷灯] → 真向かいの反航船
 
 
まとめ
 海上衝突予防法に定められている灯火のうち、「白灯1個」は、錨泊中の長さ50メートル未満の船舶の「停泊灯」又は「ろかい船の白色の携帯電灯等」ですが、実際に「白灯1個」が見える場合としては、説明したように、いろいろな状況があります。
 夜間、「白灯が1個見えた。」といって、それで早合点してはいけません。他の灯火が見えないか(見えてこないか)どうか、引き続き灯火について厳重な「見張り」を続ける必要があります。
 しかし、見えている灯火の船だけを一点集中してはいけません。
 周囲(360°)の状況を見張ることも忘れないでください。
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