建築協定制度は、住宅地としての環境や商店街としての利便を高度に維持増進することなどを目的として、土地所有者等同士が建築物の基準(建築基準法による最低基準を超えた高度な基準)に関する一種の契約を締結するときに、公的主体(特定行政庁)がこれを認可することにより、契約に通常の契約には発生しない第三者効*を付与して、その安定性・永続性を保証し、住民発意による良好な環境のまちづくりを促進しようとする制度です。
* 契約当事者以外の第三者が当該契約の目的となっている土地等を取得したときに、当該第三者をも拘束する効力。
制度の内容
建築協定として締結できる内容は、その区域内における建築物の「敷地」「位置」「構造」「用途」「形態」「意匠」「建築設備」に関する基準のほか、協定の目的となっている土地の区域、協定の有効期間、協定違反があった場合の措置となります。
協定の内容は、当然ながら、建築基準法の規定に違反するものであってはならず、また、土地や建築物の利用を不当に制限するものであってはなりません。
●建築協定の対象地域
建築協定の対象地域は、区市町村が条例で定める区域内に限られます。
●建築協定の要件
建築協定を締結するためには、原則として、区域内の土地所有者、借地権者の全員合意(借地については、借地人のみの合意)に基づき、特定行政庁の認可を受けることが必要です。
●建築協定の効果
建築協定は、建築物の用途形態等に関する土地所有者等の自主的協定です。
協定の締結後は、新たな土地所有者等も協定の内容に拘束されます(第三者効)。
また、建築協定区域に隣接した土地のうち、将来的に建築協定区域の一部となることが望ましい土地については、「建築協定区域隣接地」を定めることにより、将来的にその土地の所有者が簡素な手続きで協定に参加することができます。
●1人協定制度(法76 条の3)
1人協定制度は、住宅地を新規に開発するデベロッパーが、宅地分譲を開始する以前に建築協定を締結し、建築協定付き住宅地として販売できる制度です。土地所有者であるデベロッパー1者のみで協定を締結することができることから「1人協定」と呼ばれています。現在有効な建築協定地区の約半数がこの「1人協定」ですが、最近はもともと「1人協定」であった地区が更新時期を迎え、合意型へと移行するケースが増加しています。
●建築協定締結後の運営方法
建築協定は、地区の住民がルールをつくり、そのルールをお互いに守っていくことを取り決めたものであることから、その運営についても、住民の主体的・自発的な取り組みが必要となります。
通常は建築協定の運営を円滑にし、より実効性のあるものとするため、区域内の住民による「建築協定運営委員会」を設け、以下のような活動を行っていくことになります。
○建築計画の審査
○建築工事中、完了後の物件のチェック
○違反があった場合の措置
○啓発活動
○建築協定の更新作業 等
●建築協定の認可手続きフロー
建築協定の認可手続きは以下のとおりです。
建築協定の認可手続きフロー