国土交通省
 造船産業の競争戦略まとまる
 〜「造船産業競争戦略会議」最終報告〜

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平成15年6月25日
<問い合わせ先>
海事局造船課

(内線43714)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

  国土交通省海事局では、局長の私的懇談会として平成14年6月に造船、海運、金融等の関係者からなる『造船産業競争戦略会議(座長:杉山武彦 一橋大学教授)』を設置し、我が国造船産業(造船業+舶用工業)が将来も世界の造船・海運の中心に位置するための競争戦略について約1年(本会議7回、舶用工業分科会5回)にわたって検討を行ってきましたが、この度最終報告書を提言としてとりまとめましたので公表します。



(別紙)

我が国造船産業のビジョンと戦略
―21世紀における新たなるチャレンジ―
(報告書の概要)

 我が国造船産業は、韓国や中国等との国際競争の激化、技術・技能の円滑な伝承など人的基盤の脆弱性が顕在化しつつあるなど、大きな転換期にさしかかっている。
 我が国造船産業はこうした課題を抱えながらも、質的にも量的にも世界のトップクラスであり、今後も適切な競争戦略を立案・実行していけば、21世紀においても引き続き競争力を維持し、海上輸送の高度化及び日本経済の活性化に貢献していくことが可能である。このため、以下のような我が国造船産業の目標(ビジョン)とこれを実現するための戦略を提言した。
 我が国造船産業は、1海洋国日本が必要とするあらゆる船舶・海洋機器等を安定的に供給できること、2世界の海上輸送の高度化をリードしていけること、3製造業離れ・産業空洞化が懸念される中で国内立地を長期的に維持できる「強さ」を有していることなど、我が国にはなくてはならない重要な産業である。
 このため、産業競争力の維持向上には個々の企業努力が基本であるが、政府としても引き続き積極的な支援を行うとともに、産学官の密接な連携により、個々の戦略が着実に具体化されることを期待している。

1我が国造船産業の競争戦略

  1. 目標(ビジョン)
     我が国造船産業が世界の海運造船の中心的役割を担える基盤の確立
     (1)1,000万総トン規模(世界シェア1/3)の生産体制の国内維持
     (2)世界の海運造船をリードできる技術力の確立(最高度LCV 外航船の実現)
     目標時期:2010年

  2. 基本戦略(ビジョンを実現するための基本的な道筋や手段)
     (1)競争環境の整備
    • 国内においても競争原理が充分に働く政策手法の採用
    • 国際的に公正な競争条件の確立

     (2)「規模の経済」の追求、生産・工期短縮技術の高度化、人材育成・技能伝承等による、大宗船市場を中心とした総合的競争力の強化
     (3)世界有数の我が国海運業・舶用工業、大学・研究機関、船級協会等の海事クラスターを主体とした、新たな研究開発アプローチの推進

  3. 個別戦略
     (1)集約・再編、アライアンスの強化によるスケールメリットの追求
     (2)競争促進政策の展開(総量規制の廃止を柱とする設備政策の見直し)
     (3)技能IT化等による生産技術の高度化、人材育成・技能伝承
     (4)研究開発基盤・機能の再構築(技術開発スキーム等の再構築、標準化等への戦略的対応、新技術実用化支援スキーム、産学官の研究交流)
     (5)国際市場規律の確立(OECD新造船協定の早期締結、造船市場の安定化のための国際協調)
     (6)その他(LCVの国際展開、技術流出防止策等)

2我が国舶用工業の競争戦略

  1. 目標(ビジョン)
     (1)我が国舶用工業は、技術的優位性のある良質な製品の安定供給を通じて、日本造船業の国際競争力の中核的役割を担う。
     (2)極東市場における日本舶用工業製品の優位性を確保する。
     目標時期:造船産業全体のビジョンにあわせて2010年

  2. 基本戦略(ビジョンを実現するための基本的な道筋や手段)
     (1)需要変動等の環境変化に対応し、かつ、競争力ある製品を提供できる業界構造への転換
     (2)造舶連携等によるプロセスイノベーションを通じた生産性向上
     (3)造船業における競争力を支えるための技術競争力の強化
     (4)国内産業として比較劣後化しない、魅力ある産業への脱皮

  3. 個別戦略
     (1)集約再編、アライアンスの可能性の追求による産業基盤の強化、エンジニアリング力の強化
     (2)ITによる生産の高度化、造舶Webの一層の活用と将来に向けた高度化の推進
     (3)技術基盤の強化(競争戦略上重要な技術分野への開発資源の重点化、新技術の実用化促進、産学官・異業種間連携の促進)
     (4)海運・造船・大学との人材交流の促進 等
     (5)中国等海外市場への展開の促進、国際規制・規格への戦略的対応


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