旅行概要 TRAVEL OVERVIEW
特別賞
世界文化遺産を散策する
ディープな天草の旅へ
世界遺産「崎津集落」をガイドとともに歩くサステナブルディナー付きツアー
天草宝島案内人の会
公共交通機関が脆弱な天草地域において、それを補完し、来訪者の満足度を高めることを目的として2008年から「天草ぐるっと周遊バス」の運行を開始。当初からガイドが同乗してきました。その後、「崎津集落」の世界文化遺産登録前後には、特に教会の拝観と集落内の散策に注意を促すなどインタープリターとしての役割を担ってきました。
2023年から天草市内観光事業者間では「サステナブルツーリズム」に対する関心が高まりを見せ、「アマクササンタカミングホテル」がいち早く地元生産者のこだわりの食材による「サステナブルディナー」を開発。今回のツアー造成につながりました。
-
天草下島の玄関口「本渡バスセンター」から旅のスタート
バスセンターで受付を終えたら、ガイドの案内で専用車両に乗車しスタートします。 天草島原一揆などの戦いが繰り広げられた国指定重要文化財「祗園橋」「キリシタン墓地」そして天草の歴史を広く知ることができる「天草キリシタン館」など本渡エリアの史跡をガイドとともにめぐります。
-
バスは一路ディープな天草の旅へ
本渡エリアから南下し、道の駅 宮地岳かかしの里で昼食(昼食代は含まれておりません)。さらに南下して日本とヨーロッパの交流の歴史を感じられる「天草コレジヨ館」でグーテンベルク印刷機の複製などを見学。
そして、世界文化遺産「崎津集落」を散策し、いまでは大変貴重な畳敷きの教会「﨑津天主堂」を訪問。静かな海沿いに佇む教会と漁村のコントラストで天草の稀有な歴史を感じてください。狭小な集落は生活の場そのもの。また、教会は、最も大事な祈りの場です。ガイドの指示に従って行動してください。その後は「天草コレジヨ館」「大江天主堂」を訪問。 -
素材はこだわりの天草産。珠玉のディナー
天草の旅の大きな魅力は、年間通じて収穫される山海の恵。今回のツアーでは、素材はもとより器まですべて天草産。
ホテルのオーナーと料理長が環境に配慮した養殖場や有機野菜など生産者こだわりの食材を直接仕入れ、腕によりをかけてご提供するまさに天草珠玉のディナーです。
ホテルも環境に配慮した漆喰壁や間伐材利用の床と自然由来のワックスを使用。
開催催行日 | 2025年1月31日~ |
---|---|
料金 |
大人ひとり 25,000円(予定) |
受賞商品紹介WEB | 準備中(1月末ごろ公開) |
「ガイドと歩く天草サステナブルな旅」
天草の小さな漁村崎津集落は世界遺産候補になった頃から観光客が急増し、狭い道路に大型バスや自家用車があふれ、住民も不安に感じるようになっていた。天草市は駐車場を集落の外に整備し徒歩での観光をすすめたが、「天草宝島案内人の会」(以下、案内人の会)は住民ら関係者とともに、どの順路で見せると魅力的なのか、どのようなストーリーで話せば理解が深まるのか、集落内の人の流れをどうするのか、また、教会参拝マナーなどのルール作りを積極的に行った。案内人の会は、単なる案内ガイドではなく、「敷地内への無断侵入」「写真撮影の配慮」「拝観の心得」「交通安全」などへの理解を促進するインタープリターだと自負している。案内人の会の解説によりキリシタン潜伏の理由や様子がよく理解できたとの感謝の声も多く寄せられている。これらの地道な活動により、観光客とのトラブルも減少し、地域住民の気持ちにも変化がみられる。規模は小さいが、オーバーツーリズム問題への処方箋としても参考になる。課題は後継者であるが、地元中学校と連携して「ボランティアガイド養成講座」を開催したり、中高年向けの「公開勉強会」を定期的に行い新しいメンバーの獲得を続けている。
今回のツアー企画により、案内人の会は崎津集落外の駐車場での「待ち」から、「天草ぐるっと周遊バス」を活用した「攻め」の観光案内へと踏み出している。天草は車のない個人客には周遊が難しいのだが、このコミュニティバスを活用すれば少人数でもツアーが可能になる。会のメンバーが同乗することで、移動時間を利用しての説明で天草への理解も進むし、観光客も安心して楽しむことが出来る。発足したばかりの天草サステナブルツーリズム協議会も協力して地元ホテルが地域の食材を活用したサステナブルディナーを提供している。熊本駅からの急行バスとの連携でインバウンド客の利便性も向上する。さらなる賛同事業者を募り最終的に「サステナブルな島天草」を目指す。
北海道大学
観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長
小林 英俊