平成14年6月19日 |
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総合政策局宅地課 |
(内線25214)
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TEL:03-5253-8111(代表)
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経済・社会全体の中であるべき土地税制の姿について、取得・保有・譲渡の各段階の税制全般について、ゼロベースで検討。
- 土地税制のあり方の見直しの基本的考え方
1)経済・社会の構造変化への対応
- 経済・社会全体の構造変化を背景に、土地を巡る環境は大きく変化(資料1)。バブル崩壊以降、不動産市場は、利便性・収益性といった利用価値に応じた価格形成が行われる実需中心へと構造変化。
- しかし、現状では取得・保有・譲渡の土地取引の各段階において多くの税が課され、地価下落に関わらず、税収は増加。租税収入のうち不動産に係る資産課税の税収に占める割合も上昇(資料2)。
- このような税制は金融資産等の他の資産との負担の均衡を阻害し、市場における最適な資源配分を歪めている。
- このため、土地税制についても、今後は本来の税制の原則である「公平、中立、簡素」という観点から、土地資産に対する税負担の歪みを是正し、あるべき姿に基づく長期安定的な税制を構築する必要。
- バブル期等にとられた課税強化の残滓を完全に一掃する。
- 税制改革全体の中で、所得課税、消費課税、資産課税を適切に組み合わせ、不動産と他の資産に対する課税との均衡が確保されるような土地税制を構築する。
2)新たな政策課題への対応
- 価格形成が利用価値によって行われるようになってきた土地市場の構造変化を踏まえ、土地と建物を一体としてとらえ、その収益に着目して税負担のあり方を検討する必要。
- 我が国経済活性化のため、資産デフレ対策、都市再生等、今日の政策課題に対応した土地税制を構築する必要。
- 個別税制の見直しの方向
1)取得段階−流通課税(登録免許税、不動産取得税)
- 不動産の流通課税は、不動産取引の背後に経済的負担能力を有するという点に課税根拠を見い出しているが、そもそも地価が下落してキャピタルゲインが見込めなくなっていること等、その具体的な意味が不明確で妥当性を失っている。また、金融資産については、流通課税としての有価証券取引税は既に廃止されており、同じ資産課税として不均衡。したがって、廃止又は大幅に縮小すべき。
- 登録免許税については、国家が所有権等の権利を設定し、流通取引を保護していることから、その受益に対する対価と位置付けられる。したがって、廃止した上で手数料化するか、又は税のままとするとしても、登記制度を賄う程度の税額となるよう大幅縮小すべき。
- 不動産取得税については、経済的負担能力の具体的意味が不明確であることに加え、「固定資産税の前取り」等の創設時の沿革についても、地方税としては市町村の行政サービスとの受益の関係で固定資産税が課されて、その実効負担の大幅な引上げが図られていること等から問題があり、廃止又は大幅な縮小が適当。
- 流通課税の廃止又は大幅な縮小は、土地の流動化・有効利用の抑制要因を取り除くことによって、資産デフレ対策としても効果が期待(資料3)。
2)保有段階
固定資産税・都市計画税
- 土地・家屋に係る固定資産税は、市町村の行政サービスに対する応益性と、不動産による収益に対する課税としての性格からみて適正な負担とすべき。現在の商業地の実効税率は、収益力の実態を踏まえた妥当なレベルを超えており、抑制すべき。その際、不公平解消とわかりやすさの観点から、評価額と税率で税額が決まる簡易な仕組みにすべき(資料4)。なお、適正な負担のレベルについては、今後、根拠となる考え方を整理して具体化を検討すべき。
- 家屋に係る固定資産税も建物への投資抑制要因となり、土地の有効利用促進の観点から、税負担の軽減を図るべき。特に、今後、都市再生を進める中で、優れた耐震性を有している等の付加価値の高い建物を建てると、基本的には税負担が重くなるような構造は問題であり、見直す必要。
特別土地保有税
- 土地の投機的取引の抑制という当初の政策目的は喪失し、土地の売却圧力が高まっている中で、土地の有効利用のために固定資産税等に更に上乗せして重課する必要はない。却って土地の有効利用を阻害しており、廃止すべき。
3)譲渡段階
所得税・個人住民税
- 譲渡所得課税については、株式をはじめとする他の資産と均衡を失しない市場中立的な税体系とすべき(資料5)。
- 上場株式等の譲渡所得課税は平成15年から一律20%に引き下げられており、個人の長期土地譲渡所得課税についても、それとの均衡を図るべき。
法人税等
- 法人の土地譲渡所得への重課制度は、地価対策や投機抑制の観点から創設されたものであり、その前提がなくなったので廃止すべき。
4)事業所税
- 新増設に係る事業所税は、都市再生により経済構造改革を進めていく上で最も必要な民間都市開発を直接的に抑制するものであることから、廃止すべき。
(参考)研究会の概要
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1)メンバー
(敬称略、五十音順)
佐藤和男 (社団法人不動産協会政策推進委員長)
品川芳宣 (筑波大学社会科学系教授)
座長 神野直彦 (東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)
西村清彦 (東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)
平川忠雄 (税理士)
山ア敏邦 (社団法人日本経済団体連合会税制委員会企画部会委員、日本鋼管株式会社専務)
2)スケジュール
- 本年2月14日に第1回会合。
- 以後6月10日まで、合計5回開催。
- 中間とりまとめを基に、秋までに最終とりまとめの予定。
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
今後の土地税制のあり方について(中間とりまとめ骨子)
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