平成17年5月13日 |
<問い合わせ先> |
航空局監理部総務課 |
(内線48311)
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管制保安部管制課 |
(内線51212)
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TEL:03-5253-8111(代表)
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4月29日に羽田空港において、管制官の誤った指示により、閉鎖中の滑走路に航空機が着陸するミスが発生したことを受けて、5月2日から首席安全・危機管理監察官ほか計4名の監察チームを1ヶ月の予定で羽田空港に派遣し、今回のミスが発生した要因の調査と再発防止策の確立に向けた作業等を進めてきたところであるが、監察チームによる監察の中間報告とこれを踏まえた今後講じるべき対策等は次のとおりである。
- 監察中間報告
本件について5月2日より監察を実施したところ、現時点で判明した要因と改善すべき事項について、中間的に次のとおり報告する。(別添1、2参照)
- (1) 本件事案に至った要因(別添1,2参照)
当日のブリーフィング時にA滑走路の閉鎖に係る航空情報(AIP補足版)を確認しなかったこと。
- ブリーフィング時の航空情報の収集・周知について、ノータム確認については明確に処理手続きが定められているが、AIP補足版等他の航空情報についての処理手続きがなかった。
- ブリーフィング時に、航空情報担当がAIP補足版の確認をしていないことについて、当然知っていたと思われる次席管制官が気付かず、ダブルチェック体制が機能していなかった。
当該チームは午後勤務帯中に同滑走路が閉鎖されることはないと思いこんでいたこと。
- 前年度の実績として、夜間勤務帯である23時以前に計画的にA滑走路を閉鎖した事例はなかった。
- 滑走路閉鎖開始時間(21:30)は調整時点(平成17年1月)では夜勤時間帯(20:00〜08:30)であったが、4月8日の新勤務割り導入により、午後勤務帯(15:00〜21:45)にも滑走路閉鎖時間がかかることとなった。
- A滑走路の閉鎖にかかる航空情報は、1カ月前に部内委員会で4月4日には文書で周知されていたが、午後勤務帯に同滑走路閉鎖が始まるとの明確な認識がなかった。
- 周知後、当該チームが経験した3回の午後勤務帯では、曜日が異なっていたためA滑走路閉鎖がなかった。
滑走路等運用制限整理簿等他の情報の共有が十分でなかったこと。
- 1日1回滑走路等運用制限整理簿が作成されるが、午後勤務帯では使用していなかった。
- 滑走路閉鎖時間に関するその他の情報についても提供が行われなかった。
- (2) 監察により判明した改善が必要な事項
航空情報の取得・管理について、処理手続きの明確化を行い、ダブルチェック体制を再構築すること。
各勤務帯毎に、管制官に必要な情報が確実に提供される情報管理・共有体制を構築すること。
現場機関等で発生したトラブルに係る情報連絡体制を充実させること。
- (3) 引続き調査中の事項
- 滑走路閉鎖時間の決定方法、決定内容が適切であったか、ブリーフィングの方法が適切であったか、航空情報の事前周知方法が適当であったかなどについて、引き続き調査中である。
- 再発防止策等
再発防止策については、直ちにブリーフィングへの先任管制官の出席等確認体制の重層化を図ったところであるが、上記監察の中間報告を踏まえ、実効性のある情報の伝達・確認システムを確立するため次の対策を早急に実施・具体化する。(別添3参照)
- (1)実効性のある情報の伝達・確認システムの確立
航空情報伝達処理要領(マニュアル)の策定
各管制機関毎に航空情報伝達処理要領を策定し、これまで各チームに任されていた航空情報の収集・管理について収集の対象範囲、処理手続を統一し、羽田は5月14日から、他の管制機関は5月14日以降速やかに実施する。(別添4参照)
- 情報収集の対象範囲の統一
情報収集については、必要に応じて適時発出される短期的な情報(ノータム)だけでなく、滑走路の運用等に関する恒久的な情報(AIP)やこれを補足する情報(AIP補足版(サプリメント)の収集を徹底する。
- 航空情報管理担当の指名
各チームの中で、豊富な知識・経験を有する管制官の中から航空情報管理担当を新たに指名し、この者が運航情報官と連携して有効な航空情報を把握し、責任をもってブリーフィングを行う。
- 次席航空管制官の情報収集バックアップ体制の充実
次席航空管制官は、管制事務室担当者から始業前に有効な航空情報の説明を受けた上で、航空情報管理担当のブリーフィング内容を確認する。
- 勤務時間途中でチームに加わる管制官への周知の徹底
繁忙時間帯の体制を強化するために勤務時間途中でチームに加わる管制官には、次席航空管制官が直接情報を周知する。
→ 以上の措置により、実効性のあるダブルチェック体制を確立する。
滑走路等運用制限等に係る情報処理システムの整備
24時間空港等運用制限に特段の注意を有する空港を中心に、今後6ヶ月を目途に、滑走路等の運用制限等に係る有効な航空情報を勤務時間に応じて収集・整理し、管制官が判別しやすいようコンピュータの画面にグラフィックで表示する情報処理システムを整備する。
空港事務所内の情報共有体制の構築
- 滑走路閉鎖時刻の周知
滑走路閉鎖開始時に、運航情報官から管制官に周知することにより、事務所内での情報共有を進めることとし、羽田は5月14日から、他の管制機関は5月14日以降速やかに実施する。
- 閉鎖滑走路のライト消灯の徹底
滑走路閉鎖中は滑走路の進入角指示灯、進入灯を消灯し、その確認を徹底することにより、事務所内での情報共有を進めることとし、羽田は5月14日から、他の管制機関は5月14日以降速やかに実施する。(別添5参照)
- (2)トラブル発生時の情報連絡体制の充実(別添3参照)
上記監察の中間報告で、本件発生後の対応に関連して、現場機関等で発生したトラブルに係る情報連絡体制の充実が必要とされていることを踏まえ、次の改善策を講じる。
管制業務に関連するトラブル発生時の連絡網の策定
各空港事務所で発生したトラブルに係る情報連絡を本省、報道機関に対して迅速に行うための連絡網を新たに策定する。特に羽田については、新たな情報連絡体制による情報連絡を明日から実施する。
- 連絡すべき場合の明確化
管制ミスや管制指示違反等本省・報道機関等に連絡すべき場合を明確化し、当該事案が発生した場合には連絡網に従って連絡する。
なお、重大インシデントに該当するおそれのある事態の内容を周知徹底し、該当する事案が発生した場合には速やかに本省技術部に伝達することとする。
- 一斉通知体制の採用
迅速に情報が伝わるよう、現行のボトムアップ式の連絡体制から一斉通知体制に改める。
- 処分等について
(1) 現場責任者及び管理監督者については、本日処分を行う。
(2) 当該管制官チームの現場復帰については、航空機の着陸に直接関わらず、研修後の筆記試験及びレーダーシミュレーターによる実技試験の結果が良好な13名については5月10日に復帰させ、5名については引き続き研修を継続しているが、履修結果が良好であれば復帰させることとする。
(別添資料)
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