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 マラッカ・シンガポール海峡通航量調査(2004年通航量調査)について
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平成18年2月7日
<問い合わせ先>
海事局外航課

(内線43361)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

1.調査の目的
 マラッカ・シンガポール海峡(以下「マ・シ海峡」という。)は、我が国経済、国民生活にとって極めて重要な航路であるとともに国際的にも東西を結ぶ重要な船舶の通航路である。また、同海峡は狭隘な地形であり、多数の浅瀬の存在、複雑な潮流等海上交通の難所であることから、我が国は利用国としては唯一、昭和43年以降、航行安全援助施設の整備、維持等を主に民間ベースで行い、マ・シ海峡の安全確保等について沿岸国を支援してきている。一方で、近年、中国、韓国等アジア諸国の経済成長等に伴い、マ・シ海峡の利用実態が過去と比べ変化しているものと思われる。
 また、最近の国際的動きとしては、同海峡の重要性に鑑み、昨年9月、国際海事機関(IMO)の主導によりジャカルタ会議が開催され、同海峡における航行安全、セキュリティ及び環境保護の推進に関し、負担問題も含め沿岸国及び利用国が国際的協力の枠組み作りに向けた定期的な協議の場を設置すること等に合意した「ジャカルタ声明」が採択された。さらに、本年秋頃にはマレーシアにおいてフォローアップ会議が開催され、国際的な議論が本格化していくことが見込まれる。
 今後のマ・シ海峡に関する沿岸国及び利用国の協力、公平な費用負担等について国際的な議論を深めていくためには、同海峡の航行利用の現状を把握することは極めて重要なことであることから、最新の同海峡の利用状況を明らかにすることを目的として本調査を実施した。

※マ・シ海峡通航量調査の全容
 日本財団の協力により、『マ・シ海峡通航量調査』を実施しているが、本調査(2004年)の他に、本調査(2004年)と比較するため「1994年通航量調査(10年前の1994年のマ・シ海峡通航量を1994年のデータを用いた同様の調査)」を、さらには両調査との分析により「将来予測調査」を計画しており、本調査(2004年)とこれらの調査とをあわせて『マ・シ海峡通航量調査』と位置づけている。

2.調査内容
 本調査では、LMIU社(Lloyd’s Marine Intelligence Unit)から基礎データを入手し、「各港間の船舶の動静データ(606,911隻)」を作成し、さらに、マ・シ海峡を通航するか否か1件ごとに判定し、「マ・シ海峡を通航した船舶の動静データ(93,755隻)」を作成した。これを基に次の2つの方法で解析を行った。
 受益国のとらえ方は、様々であると考えられるが、本調査では、(1)船舶の持ち主(所属)等に着目したアプローチ(1船籍国、2実質船主(*1)所在国別通航量)と港の出入量に着目したアプローチ(1仕出国(*2)、2仕向国(*3)別出入港量)の2つの方法で行った。
 
*1   実質船主とは、もし船舶が全損になった場合、保険会社から支払いを受ける会社又はその船舶を売却や処分する権利やその船舶の株を譲渡する権利を有する個人又は法人である。
*2   仕出国とは、マ・シ海峡を通航する直前に出港した港の所在国である。
*3   仕向国とは、マ・シ海峡を通航した直後に入港した港の所在国である。

3.調査結果
(1) 1船籍国、2実質船主所在国が通航量全体(隻数、総トン数、載貨重量トン数)に占める割合は、別紙1(中国には香港を含む。別紙2〜4も同じ。)のとおりであり、載貨重量トン数で見ると以下の特徴があった。(通航量上位20ヶ国は、別紙3のとおり。)
1船籍国別通航量
代表的な便宜置籍国であるパナマ(約28%)とリベリア(約10%)、次に中国(約8%)、沿岸国であるシンガポール(約8%)が上位となっており、マーシャル諸島(約5%)、ギリシャ(約5%)、バハマ(約3%)、ドイツ(約3%)、キプロス(約3%)、マルタ(約2%)が続いている。
2実質船主所在国別通航量
1位が日本(約19%)で、ギリシャ(約13%)、中国(約11%)、ドイツ(約9%)、シンガポール(約5%)、ノルウェー(約5%)、韓国(約4%)、台湾(約4%)、デンマーク(約3%)、米国(約3%)が上位を占めており、特徴として東アジア、沿岸国、欧米の海運国が多いことが読み取れる。

(2)1仕出国、2仕向国別の構成は、別紙2のとおりであり、載貨重量トン数で見ると以下の特徴があった。(出入港量の上位20ヶ国は、別紙4のとおり。)
1仕出国別出港量
1位がシンガポール(約30%)で、中国(約11%)、日本(約8%)、マレーシア(約6%)、サウジアラビア(約5%)、アラブ首長国連邦(約5%)、韓国(約4%)、エジプト(約4%)、インドネシア(約4%)、インド(約3%)が上位を占めており、特徴として沿岸国、東アジアの経済大国、産油国が多いことが読み取れる。
2仕向国別入港量
1位がシンガポール(約30%)、中国(約10%)、アラブ首長国連邦(約9%)、日本(約8%)、マレーシア(約6%)、はエジプト(約5%)、サウジアラビア(約4%)、韓国(約4%)、インドネシア(約3%)、インド(約3%)が上位を占めており、特徴として沿岸国、東アジアの経済大国、産油国が多いことが読み取れる。

(3)以上より、マ・シ海峡の通航から日本が受益していることは事実であるが、その他の国についても、シンガポール等海峡沿岸国、中国等東アジア諸国、欧米諸国、産油国等の幅広い国々が、船舶所有国や仕出国・仕向国として様々な形で受益していることが明らかになった。

4.今後の方向
 本年秋頃にマレーシアにおいてIMOジャカルタ会議のフォローアップ会議が開催される予定であるほか、本年春頃には、沿岸3カ国技術専門会合(TTEG)が「利用国との協力に関する会議」を開催する予定であるとしており、今後、マ・シ海峡に関する国際的協力の枠組み作りについて議論が本格化していくものと考えられる。
 国土交通省としては、本調査結果を国際的な検討の場に提示し、マ・シ海峡の航行安全、セキュリティ、環境保護の向上のための国際的協力に関する検討の進展に貢献していくこととしている。


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