国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
大澤工業(株)が製造したエレベーターにおける強度の低い鋼材が一部の構造材に使用された等の問題について


 

 




 大澤工業(株)が製造したエレベーターにおける
 強度の低い鋼材が一部の構造材に使用された等の問題について

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平成19年12月18日
<問い合わせ先>
住宅局建築指導課
(内線39519)
TEL:03-5253-8111(代表)

 

 富山県内に本社を置く大澤工業(株)が建築確認がなされていないにもかかわらず、既存住宅等にエレベーターを設置する工事を行っているのではないかとの匿名の通報を富山県が受け事実関係を調査したところ、建築確認がなされていないにもかかわらず、同社がエレベーターを設置する工事を行っていることが判明したほか、同社が製造したエレベーターの一部について、本来使用することを予定していたSS400材よりも強度の低いSPHC材が一部の構造材に使用されていたことが判明した旨、12月14日に同県から国土交通省に報告がありました。

 構造材:建築基準法上、所要の強度計算により強度を確保することが義務付けられている部材
 SPHC材の強度は、SS400材の3分の2程度
 大澤工業(株)は、(社)日本エレベータ協会の会員企業であり、9月7日及び10月19日に結果を公表した報告書(同協会を通じ、エレベーター等を製造している会員企業に対して実施した、本来使用することが予定されていた鋼材よりも強度の低い鋼材を使用したエレベーター等がないかどうかについての実態調査)においては、同社から強度の低い鋼材を使用したものはなかったとの報告がされている。

  1. 富山県からの報告の概要(強度の低い鋼材が一部の構造材に使用されたエレベーター)

    (1)エレベーターの製造に関係した企業

    1 エレベーターの製造企業
     大澤工業(株)(富山県富山市)
    2 部品(強度の低い鋼材が使用された構造材を含む)の製造委託先企業
     (株)伸栄(富山県中新川郡立山町:平成14年4月から12月までに製造)
     (株)熊野製作所 (富山県砺波市:平成15年1月から現在までに製造)
     ※ 以上3社の関係については別紙1参照

    (2)対象エレベーター

    1エレベーターの種類
     ロープ式エレベーター(乗用)
    2製造期間及び台数
     平成14年4月から現在までに製造された176台のうちの152台
     ※ 都道府県別の台数については別紙2参照
    3強度の低い鋼材が使用された部位
     巻上機支持材(マシンビーム、マシンベース、マシンベース幕板)、かご下枠、頂部折返車受材
     ※ 説明図については別紙3−1、別紙3−2参照

    (3)強度の検証

     大澤工業(株)が再度強度計算を行った結果、建築基準法に定める基準に対し強度が不足しているエレベーターはなかったとの報告を受けた。

    (4)強度の低い鋼材が使用された経緯
     大澤工業(株)は、SS400材とSPHC材の材料強度の違いを十分理解していなかったため、使用すべき鋼材の種類が明確でない発注書及び部品製作図で部品を発注していた(発注書には部品番号と数量が記載されているだけで、部品製作図にはSS400材とSPHC材が両方とも記載されており、構造材ごとに使用すべき鋼材の種類が明記されていなかった)。大澤工業(株)から部品の製造を委託された企業は、鋼材の種類が明確でない発注に対し大澤工業(株)に確認を行ったところ、どちらを使用してもよいとの指示を受けたため、鋼材の発注先企業に対し、SPHC材を発注し納入を受けていた。
     なお、(社)日本エレベーター協会の実態調査においては、自社が直接購入している鋼材についてのみ調査を行い、部品の製造を委託された企業が購入した鋼材については、調査を行わなかったとのことである。

  2. 国土交通省としての対応

    (1)
     大澤工業(株)がエレベーターの製造を開始した平成14年4月から現在までに製造された176台を対象に、建築確認を受けずに設置されたエレベーターを特定するとともに、建築確認を受けずに設置されたエレベーター又は本来使用する予定の鋼材よりも強度の低い鋼材が一部の構造材に使用されたエレベーターについて、当該エレベーターの所在地の特定行政庁に対し、建築基準法第12条第5項の規定に基づき同社から報告を求め、建築基準法に定める基準に対し適合しているか否かを確認するよう、都道府県を通じて要請する。

     特定行政庁において、建築基準法に定める基準に適合していないことが確認された場合は、当該エレベーター等の所有者等に対し、是正計画の提出及びそれに基づく是正措置の実施を求めるとともに、是正措置が講じられるまでの間、積載量の制限等の安全対策を講じるよう指導する。

    (2)
     当該エレベーターの製造者である大澤工業(株)に対し、建築確認を受けずにエレベーターの設置工事を施工したこと及び本来使用する予定の鋼材よりも強度の低い鋼材を一部の構造材に使用したことについて、厳重に注意するとともに、再発防止策をとりまとめ提出するよう求める。

    (3)
    (社)日本エレベーター協会に対し、今回の事案を踏まえ、エレベーター等を製造している会員企業及びその部品の製造を委託された企業における鋼材の発注方法及び納入時の検査の方法等並びに強度の低い鋼材が使用されていないかどうかについて調査を行うよう指示する。

     なお、国土交通省として、(社)日本エレベータ協会に対し、エレベーター等の製造における鋼材の品質管理に関する指針を作成するよう指示したところである。(10月12日に指示)


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