国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure and Transport Japan
使用段階における自動車の排出ガス性能に関する調査結果について〜ダイハツ・ムーヴ等の燃料制御プログラムに改善すべき点が見つかりました〜


 

 

 


 使用段階における自動車の排出ガス性能に関する調査結果について
 〜ダイハツ・ムーヴ等の燃料制御プログラムに改善すべき点が見つかりました〜

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平成19年12月19日
<問い合わせ先>
自動車交通局
 技術安全部環境課

(内線42501、42524)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 国土交通省では、(独)交通安全環境研究所に委託【注1】して、平成18年度において、一般ユーザーから使用中の乗用車を借り上げて排出ガス測定【注2】を行いました。本調査は、「市場抜取試験(サーベイランス)制度」【注3】を構築するために、試行的に行っているもので、ガソリン乗用車10車種を対象としました。
 その結果、ダイハツ工業(株)の軽乗用車ムーヴで、使用中の車両の排出ガスのうち非メタン炭化水素(NMHC)【注4】に係る測定値が、法令で規定する規制値内にあるものの、国土交通省の型式指定の審査の際に確認した値(認証レベル)よりも多いとの判定結果になりました【注5】
 このため本年4月、ダイハツ工業(株)に対し調査を指示したところ、本日、ムーヴを含む3車種【注6】で燃料制御プログラムに改善すべき点があり、燃料制御プログラムを変更する措置(サービスキャンペーン)を開始する旨の報告がありました。

  1. 「自動車排出ガス性能劣化状況市場抜取試験導入調査」
  2. 型式指定の審査の際に行う排出ガス測定と同じ方法で実施。シャーシダイナモメータと呼ばれるローラーを持つ台上試験機の上で規定の走行パターンに則り走行を行い、排出ガス測定を実施。
  3. 一般ユーザーから車両を借り上げて詳細な排出ガス測定を行い、個別車両型式の使用過程時の排出ガス性能維持に関して判定し、リコール等へつなげる制度。平成17年4月の中央環境審議会答申において「使用過程車に係る排出ガス水準の設定、抜取り検査(サーベイランス)の導入方策等の使用過程車に係る総合的な対策について、その必要性も含め総合的に検討する」と指摘されている。
  4. 「非メタン炭化水素(NMHC)」の低減は、大気中の浮遊粒子状物質(SPM)及び光化学オキシダントの濃度低減、一酸化窒素(NO)との反応により生成される二酸化窒素(NO2)の濃度低減や有害大気汚染物質の低減に効果がある。また、NOxや光化学オキシダントの主成分であるオゾン等が関与している酸性雨対策にも資する。
  5. 試験をした車両のうち認証レベル(型式指定の審査の際に確認した排出ガスの値)を超過した車両数に応じて良否を判定する方法。良否が判定できるまで試験車両数を増す。例えば、10台試験をして認証レベルを超過した車両が4台以下であれば「良」と判断するが、8台以上なら「否」と判断する。いずれでもなければ、試験車両数を増し、良否が決着するまで続ける。
  6. 対象車種は、車両型式DBA-L150S(ムーヴ)、DBA-L650S(ミラジーノ)、DBA-L550S(ムーヴラテ)。


  1. 背景・調査内容
      近年の新車の排出ガス量は、規制強化に伴い大幅に低減しているものの、大気の改善に寄与するためには、自動車の使用段階においても性能が持続することが重要です。
      このため、国土交通省では、(独)交通安全環境研究所に委託【注1】して、使用過程にある車両の排出ガス性能の実態把握を行うとともに、使用過程においても、法令で規定する規制値に適合しているかどうかを判定する仕組みとしての「市場抜取試験(サーベイランス)制度」【注3】を構築するための調査を行いました。
      平成18年度の調査においては、一般ユーザーから使用中の8社10車種、計60台のガソリン乗用車を借り上げて排出ガス測定【注2】を行いました。さらに、試行的方法により、各車種について判定を実施しました。各車種は国土交通省の型式指定の審査を受ける際に、排出ガス量の低減レベルの確認を受けていますが、本調査の判定は、この審査の際に確認した値(認証レベル)を満足しているかどうかについて行いました【注5】

  2. 調査結果
      10車種中9車種については、使用段階においても、排出ガス性能が持続していると判定されましたが、ダイハツ工業(株)の軽乗用車ムーヴについて、12台の排出ガス測定を行った結果、8台で排出ガス中の非メタン炭化水素(NMHC)【注4】の量が、法令で規定する排出ガス規制値は満足しているものの、型式指定の審査の際に確認した値(認証レベル。当該車にあっては、規制値よりも75%低減させたレベル)を満足しておらず、排出ガス性能が持続していないとの結果となりました。(別紙1参照)

  3. 調査結果を受けた対応
      この結果を受けて、国土交通省では、ダイハツ工業(株)に対し原因調査を指示したところ、同社から12月19日、ムーヴを含め、同じ触媒・燃料制御システムを有する3車種【注6】について、燃料制御プログラムに改善すべき点があるとの報告がありました。また、ダイハツ工業(株)は、12月下旬から、当該3車種について、燃料制御プログラムを変更する措置(サービスキャンペーン)を開始するとしています。(別紙2参照)

  4. 国土交通省の対応
      国土交通省では、ダイハツ工業(株)が市場措置を適切に実施するよう、監視を行います。また、今年度も引き続き、本調査を行い、同社の他車種を含め、より多くの車種を選定して排出ガス測定を実施し、実使用下にある車両の性能・状態の把握に努めるとともに、市場抜取試験(サーベイランス)制度構築に向けての課題の抽出とそれを踏まえた検討をすることとしています。


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