地方航空路線の維持・拡充を図るため、発地着地の地域が連携した取組の実証調査として、平成29年度から令和元年度まで実施した「地方航空路線活性化プラットフォーム」についてご紹介します。
本プロジェクトの実施を通じて、発地着地の協議会以外の関係者間の連携が図られ、航空需要を促進するための(1)取組の成否のポイントを確認、有識者をアドバイザーとして協議会に招聘し(2)有識者による評価、(3)新規需要の創出が図られた。
本プロジェクトの実施を通じて、航空需要を促進するための取組の成否は、どの分野にも関わらず以下の2つの条件をクリア出来るかどうかによることを確認。
継続的な人の移動需要を創出するためには、継続的な発着地間での「交流」をが必要であり、次の2つのポイントが重要。
①双方にとってメリットのある交流にできるか
②交流に意欲的な「人」同士を繋げることができるか
…両地域において交流に意欲的な「キーパーソン」を探し、人同士を繋げることで、短期間で組織間の交流が構築でき、継続性も見込まれる。
天草=福岡路線においては、陸路でも人的な移動は十分可能であり、航空機利用のメリットとして活かせる移動需要であることが重要。ビジネス分野では、ダイヤ設定などの利便性が重要であり、体への負担がパフォーマンスに影響するスポーツ分野では航空機による時短メリットが大きいことが確認できた。
天草空港利用促進協議会の事業アドバイザーである有識者による評価を実施。
(事業全体として)
各分野で、「他の交通モードからの切り替え促進」と「新規航空需要の創出」という2つの視点から取り組んだ事業と捉えることができ、その効果を併せて評価すると、概ね以下の表のように整理できる。
他の交通モードからの切り替えについては、費用をかけること(価格の引き下げや助成金)により誘導を図ってきたが、ビジネス分野においては費用よりも利用者にとっての利便性(ダイヤに合うか、信頼性があるか)によって交通モードを選択するため、効果が薄かったと言える。スポーツ・文化教育分野においてはそもそもの移動需要がなかったことから特別運賃等の施策の効果が見られなかった。
一方で新規需要創出の取組みでは、航空機利用を前提とした移動需要(航空機利用が最も都合の良い移動需要)を創出することで大きな成果に繋がっていると言える。
本プロジェクトの実施を通じて、1,500名以上の新規需要を創出。
※新規利用者に加え、一部継続利用者を含む
(参考)
旅客数については、運航乗務員の疾病による欠航(H31.2~11、約1/3欠航)に加え、天候不良や機材整備による欠航もあり、運航に対する信頼度が低下し、本プロジェクトを実施し新規需要を創出したにも関わらず旅客数は減少。
■資料 天草=福岡路線の旅客数・座席利用率(平成29年度~平成31年度実績)