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首都機能移転に係る主要論点2

II 移転の方法論

積極論 慎重論

1.基本的考え方
候補地の選定について

・移転に伴う基本論議について、国民的合意形成を図るのが先決であり、候補地をどこにするかということは二義的な問題である。

 

2.移転の規模
第1段階(国会都市)で約10万人、成熟段階で約60万人(最大規模)

・今後の地方分権・規制緩和などの国政全般の改革等の進捗状況により移転すべき首都機能の規模は変わり得るが、当初10年で人口10万人の国会都市の建設、成熟段階でも、最大規模で約60万人程度と想定。

・移転の規模は、具体的な計画段階で再整理すべきであり、行政改革等を踏まえ、できるだけスリムな移転に努めるべきである。調査会報告においても「簡素で効率的な政府の実現を目指して進められるべきである」とされてる。
注)国会等移転審議会における移転人口のモデル的試算
第1段階(国会を中心に移転、建設開始後10年程度):10万人
最大ケース(行政機関が全て移転):56万人


分権型社会では首都の役割は小さくなる

・中央政府のスリム化の観点から、移転の中身が決まらないうちに、行き先だけを議論するのは本末転倒。

・地方分権が進めば、中央省庁は相当スリムになるはずで、今の霞ヶ関をそのまま移すのでは、無駄遣い。

3.移転の方式
一括移転が適当

(1)国家機能の円滑な発揮を確保するためには、国の中枢機能が一体としてその効用を発揮していく必要があること

(2)内政と国際関係の緊密化、外交等の国際活動の重要性の増大等から対外的にも国家の三権を代表する機能が一箇所にまとまっていることがなによりも重要であること

(3)欧米諸外国の例を見ても三権は一つに立地していることから、分都は適当ではない。

・新都市への移転は、簡素で効率的な政府のお手本となるよう、国会、官邸及び中央省庁の中枢部門に限定し、独立行政法人的な実施部門や特許庁、文化庁等は全国の中枢都市へ分散的配置することも可能ではないか。


分都方式をとるべき

・交通網と情報通信の発達で、首都機能の分散・複線化も不可能ではなくなった。全国の中枢都市をネットワーク化し、一体的に機能するような分都方式を選択すれば、地域の活性化の効果も大きく、国民的コンセンサスも得られやすい。

重都構造
・東京における地震対策の緊急性から、防災センターとしての首都機能移転を優先すべき。文化的首都は100年間かけてじっくり建設するという考え方が必要。

4.官邸等建て替えとの関係
官邸等建て替えと首都機能移転は矛盾しない

・現官邸は築後70年を経過し、老朽化、狭隘化が顕著で、耐震性にも不安。特に総理官邸の危機管理機能の充実は差し迫った問題。新しい国会都市の建設が始まってからでも、相当長い間、東京と移転先地の重都の状況が続く。移転後も、東京における政府の活動拠点として有効利用。


官邸等建て替えと首都機能移転は矛盾する

・首都機能移転の論議をしている中、新官邸、霞ヶ関の新庁舎の建て替えが着々と進んでいる。移転を本気でやる気なのか疑わしい。

III その他

1.財政的・経済的観点
積極論 慎重論

移転はわが国が投資余力のあるうちに実現しておくべき緊急課題
・首都機能移転が意義と効果である「国政全般の改革」、「東京一極集中の是正」、「災害対応力の強化」、どれも早期に対策が必要とされる。また、今後のわが国の経済社会の成熟を考えると、首都機能移転は、わが国の投資余力のあるうちに実現しておくべき課題である。

・第一段階(約10年間)の建設費は4兆円、うち公的負担は2.3兆円で年額換算すれば2千億円余りの額(移転期間を30年と仮定すると、最終段階までの公的負担は年1千5百億円程度)、国の公共事業関係費約9.4兆円(H11)の2%程度で、我が国の経済力、財政規模からいって負担できない額ではない。
(注)行政投資実績    約49兆円(H8)
   東京都の建設局予算 約5,000億円(H11)

・首都機能移転は時代の方向に沿った自然の流れであり、経済事情等の短期的な事情に左右されることなく、大きく捉え考えていかなければならない課題。

・コストの高い東京に居続けることは、引っ越し費用が手当てできなかったから引っ越しをやめて、高い家賃の部屋に住み続けるようなもの。

新都市づくりが全国のモデルとなり、高付加価値を創出する
・新都市への集中投資は、民間需要を大きく誘発するなど波及効果の高い内需拡大の模範的プロジェクト。

・世界各国から環境共生、情報、国際交流などの面での最先端のまちづくりの技術やノウハウを呼び込むことができ、今ベルリンで行われている移転のように、海外に向けて強いアピール力を持てる。

成熟社会を迎え、限られた財源は効率的な国土づくりに投資すべき
・12兆3千億円という総事業費は巨額で、現在の経済情勢、財政事情からすれば、移転を一時凍結、あるいは撤退する勇気を持つべき。

・東京都試算によれば、地方へ移転させると移転しない場合に比べてGDPが20年間の累計で1〜14兆円減少。移転先に集中投資するよりも東京圏で社会資本を整備した方が効果的。(公的固定資本形成(Ig)ベースの試算であり、用地費を含む事業費ベースの試算ではない。)

・景気対策なら、東京改造を目指した都市型投資に重点を置くべき。過密市街地の再開発、地下幹線道路の建設などやるべきことは山ほどある。

・低成長の成熟社会では、既存ストックの有効活用こそ重要。移転のための莫大な費用のツケを若者の世代に残さないで欲しい。

・高齢社会で福祉・介護の財源が必要な時期に、国民の暮らしとの関係の議論が不足している、慎重に対応すべき。

移転先だけが潤い他にしわ寄せがいく
・新都市建設のような一点集中型の投資は、公共事業の生産波及効果のうち約8割が移転先に限られる。

・移転先の狭い地域に新都市が造られれば、豊かな自然環境と田園はどうしても大きな破壊を被り、そこで育まれてきた歴史伝統、人間関係が失われてしまう。

・環境、情報、国際などの分野で、新たな都市でなければできない実験はない。全国の都市の中の意欲的なところで取り組むことは十分可能。

・移転計画は利権の象徴。候補地を潤すだけで、血税の無駄づかい。

2.国民的合意形成、情報公開

国民的な論議について
・移転には国民的論議が不可欠。国民の声を汲み上げつつ、国民に移転の意義、効果を考え、判断してもらうための情報提供が重要。まだ国民的コンセンサスが得られるに至っておらず、時期尚早であり、このままでは国民不在のプロジェクトになってしまう。

・移転問題は知っているが、実現は難しいと思っていた。候補地の適否はよく分からない。

・東京の機能をそっくり移転する大がかりな「遷都」あるいは「首都移転」だと思っている国民が多いので、誤解を解かなければいけない。

・移転が移転先以外の各地域に与える効果や各地域との関わり方を分析し、PRすれば、国民的議論も盛り上がると思う。

東京都民の論議について
・この問題は、東京都民をどう説得するかが決め手ではないか。東京がすべてのものを独り占めする理由がない上に、国会や中央省庁が移転しても、経済的地位や文化的価値が減ずるものではなく、東京都民には何ら不都合を生じない。

・霞ヶ関・永田町地区61haを含め移転跡地210haを最大限有効利用することで、急がれる東京の魅力づけや防災性の向上など東京都民が今までなし得なかった東京再生のチャンスを手に入れることができる。

・東京は移転により、質の高い生活空間を手に入れ、文化・経済首都として再生する。

移転先、移転当事者の論議について
・移転先の受け入れ側は、タナボタ式の受け入れは論外で、それなりの覚悟が必要。

・移転の当事者となる中央官庁職員の声が聞こえてこないようでは、どれだけ真剣か疑わざるを得ない。

3.東京との比較考量

本来的な検討主体
・法律上、東京都との比較考量は、審議会答申が国会に報告された後、国会による最終的な移転先の決定に先立ち行うとされている。したがって、答申の国会報告の後、最終判断権者である国会の審議において検討されるもの。
(国民合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情への配慮も同様。)

比較の対象
・東京都との比較考量は、移転をするかしないかの決定前に行うものであるから、首都機能を「東京都にそのまま存置する場合の得失」と「移転先候補地に移転する場合の得失」を比較するものでなければならないのではないか。
(国会等移転調査会が示した9条件は、新たな候補地を選定する際の基準である。)

(参考)
国会等の移転に関する法律(平成4年法律第109号)

第4章 移転に関する決定

第22条
審議会の答申が行われたときは、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討されるものとする。
第23条
移転を決定する場合は、第13条第2項の規定による報告〔総理から国会への答申の報告〕を踏まえ、移転先について別に法律で定める。

橋本内閣総理大臣の国会答弁
「東京都との比較考量というものにつきましては、移転先の候補地に国会などを移転いたしました場合、各分野でどのような長所があり、また短所が生ずるのか、こうした総合評価を現在国会等が存在しております東京都と比較考量して検討することによって、国会等の移転の意義がこの法律で期待してくださっているような方向に進んでいくのか、よりよい場所を選択することに資するのではないか、こうした視点を確かめる趣旨だと理解いたしてまいりました。」
(平成8年6月18日 参議院国会等の移転に関する特別委員会)

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