ホーム >> 政策・仕事 >> 国土計画 >> 国会等の移転ホームページ >> 今までの取組 >> 国会等移転審議会 >> 審議会・調査部会議事要旨 >> 第31回国会等移転審議会議議事要旨

国会等の移転ホームページ

第31回国会等移転審議会議議事要旨

1.日時

平成11年12月20日(月曜日)9時30分〜10時30分

2.場所

内閣総理大臣官邸大ホール

3.出席者

(審議会委員)

森会長、石原会長代理、野崎部会長代理(起草委員長)、新井、石井(威望)、石井(幹子)、海老沢、中村(桂子)、中村(英夫)、濱中、堀江、牧野、溝上、宮島、鷲尾各委員(15名)

小渕内閣総理大臣、青木官房長官、中山国土庁長官、額賀官房副長官、松谷官房副長官、増田国土総括政務次官、古川官房副長官(事務局長)他

4.議題

答申の文案、移転先候補地にかかる移転費用の再試算結果、中山国土庁長官挨拶、答申文の手交、小渕首相挨拶、森会長挨拶

5.議事の要旨

(1)答申(案)について

答申(案)について、事務局から説明が行われ、答申とすることが決定された。
「国会等移転審議会答申(案)」の第2章として
「第2章移転先候補地の選定1.移転先候補地
移転先候補地として、北東地域の「栃木・福島地域」又は東海地域の「岐阜・愛知地域」を選定する。
「茨城地域」は、自然災害に対する安全性に優れる等の特徴を有しており、「栃木・福島地域」と連携し、これを支援、補完する役割が期待される。
「三重・畿央地域」は、他の地域にはない特徴を有しており、将来新たな高速交通網等が整備されることになれば、移転先候補地となる可能性がある。
移転先では、初期段階からその地域だけで首都機能の運営に十全を期することは容易ではなく、東京あるいは仙台、名古屋、京都、大阪等の大都市との広域的な連携はもちろん、同じ調査対象地域内の他の地域との連携が必要である。」とする。

(2)移転先候補地にかかる移転費用の再試算結果について

移転先候補地にかかる移転費用の再試算結果について、事務局から説明があった。

移転費用の再試算における費用項目の考え方であるが、今回は第1段階、人口約10万人の都市を前提に行っている。項目については用地取得費、交通基盤整備費、用地造成費について整理を行っている。
用地取得費については移転先候補地周辺の公共事業における用地取得実績から単価を設定し、取得想定面積約1,800haを前提として算出している。
交通基盤整備費は広域交通インフラ整備費で全国的な交通ネットワークの観点で整備が必要なものである。特別な基盤整備費は新都市と近くの都市等との間を結ぶ交通インフラである。想定した国会都市の位置と周辺地域の交通基盤の整備状況などを勘案して、新たに必要と考えられる鉄道、道路、空港といった交通基盤の整備量を想定し、類似の事例を参考にして試算した。
用地造成費は、想定した国会都市の開発計画が今の段階ではっきりしていないので、モデル試算と同じ額の費用を計上している。
施設整備費は、建物関係、情報通信関係の施設で、特別な基盤整備費以外の整備費である。国会都市内の公共交通機関、交通ターミナルや共同溝等といった施設を対象にしている。これは基本的にどの地域でもあまり変わらないと考えている。
各地域について試算を行った結果、モデル試算では4兆円であったが、栃木・福島地域は4兆2,000億円、岐阜・愛知地域は4兆1,000億円、三重・畿央地域は4兆2,000億円ということで、モデル試算よりわずか高目の結果になった。岐阜・愛知地域の用地費が他の地域に比べやや高く、交通基盤整備費は栃木・福島地域がほかの地域に比べやや高くなっている。
なお、三重・畿央地域については、答申の中に書いてある新たな高速交通網については、この中に計上してない。

  • 交通基盤整備費の中には必要な用地取得費も入っているのか。
    →入っている。
(3)参考資料について

答申の参考資料について事務局から説明が行われた。

参考資料集は、今後、答申を説明する際に使っていきたいと考えている。
中身は、まず移転に関する平成2年の国会決議以降の主な流れ、それから審議会の審議の主な流れを整理している。次に、総合評価の対象地域の図面と、重みづけ手法による総合評価の結果を載せている。全体の最終的な結果については、いろいろな手法で算出した数字について地域ごとに掲載している。次に各項目の評価の一覧、それから審議会の委員にやっていただいた3回にわたる重みづけ、項目ごとの重要度調査の結果、5段階の評価について掲載している。それ以外に今までの審議会で使用した資料を掲載している。
参考資料集の詳細版は、基本的な構成は参考資料と同じである。
第1編の第1章から第3章まで、作業の過程ができるだけわかるようにたくさんの資料を載せている。第3章では「重みづけ手法による総合評価」について二十数ページを割いて、紹介をしている。
第4章、第5章では「多面的・多角的な検討」、「移転先候補地の新都市のイメージ」として、特に9月以降の審議会で議論し、整理した地域ごとの表を掲載をしている。
第2編では「首都機能移転の意義・効果等」ということで「首都機能移転に係る主要論点」やアンケート調査結果や公聴会の意見といったものを紹介している。
要請があればできる限り、各検討会の検討の過程についても情報を公開していきたいと思っている。
答申についても、本日中に国土庁のホームページに掲載し、資料集もできるだけ早い時期にホームページに追加して誰にでも見ていただきたいと考えている。

(4)国土庁長官挨拶

国会等移転審議会の答申に当たりまして、皆様方にまず敬意を表したいと思います。委員の皆様におかれては、熱心に御議論をいただきまして誠にありがたく感謝を申し上げる次第であります。
我が国は今21世紀を目前にして歴史的な転換点に差し掛かっております。こうした中で現在、中央省庁の再編、地方分権の推進等が進められておりますが、この流れを本格的な軌道に載せ、更には東京圏への過度の集中や地震等の大規模災害への脆弱性等を克服して、更に大胆な改革に取り組んでいくことが求められております。このような状況にかんがみれば、首都機能の移転はまさに我が国の将来にかかわる世紀を超える大事業でございます。東京一極集中を是正し、国土の災害対応力を強化し、東京に潤いのある空間を回復するとともに、国政全般の改革に深くかかわる重要な課題であると確信をいたしております。
平成8年12月以来、3年にわたる精力的な調査審議の成果がここに取りまとめられ、答申をいただくことになりました。国民的合意の必要性についてはかねてより強く感じていたところでありますが、答申を契機に国民の間で議論が更に高まり、新しい日本のありようが夢を持って語られるものと想像いたしております。国土庁としてはこの答申を踏まえ、今後とも首都機能移転の具体化に向けた所要の検討を進めるなど最善の努力をさせていただきたいと存じております。委員の皆様方におかれても、引き続き御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願いを申し上げまして、私からのごあいさつといたします。

(5)「国会等移転審議会答申」の手交

森会長から小渕内閣総理大臣へ「国会等移転審議会答申」の手交が行われた。

(6)総理大臣挨拶

森会長を始め委員の皆様には平成8年12月以来3年間、多岐にわたり精力的な御審議をいただきまして誠にありがとうございました。この間の各委員の御尽力に対しまして心から敬意を表しますとともに、審議会の調査審議に携った多くの専門家の方々に対しましても、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。
審議会におかれましては、国会等の移転先の候補地の選定という21世紀の日本を形づくる上で非常に重要な事項について、長年にわたる議論の積み重ねの上に立って調査審議していただきました。答申の最後のくだりにありますように、首都機能移転は我が国の将来にかかわる世紀を超える大事業として重要な課題であります。本答申を私から速やかに国会に報告をいたします。今後、国会においてはこの貴重な答申を十分に踏まえて、我が国の将来を見据えつつ、大局的な観点から幅広い御議論がなされるものと確信いたしております。

(7)会長挨拶要旨

この審議会は平成8年以来、3年間にわたって延べ31回の委員会を開いてまいりました。また、調査部会に関しては21回、そしてその間に調査対象地域のほぼ全域にわたりまして5回、9日間の現地調査をさせていただきました。また全国で9回、公聴会を開催いたしました。本日こうして内閣総理大臣、それから中山大臣に御臨席いただきまして私どもの答申を差し上げることができたのは大変うれしいことと感じておりますが、こうした結果に至りましたのもひとえの委員の方々、なかんずく石原部会長あるいは野崎起草委員長、その他の方々の御貢献によるものと感じております。
また、御承知のように70名を超える多くの専門家の方々がいろいろな知識なり判断を下してくださってますので、その方々にも心から感謝せねばならないと感じております。
最終的に選定された地域だけでなしに候補として名乗りを上げていただいた多くの地域の方々に、資料の提供だけでなしに、この首都機能移転という大きな事柄に関して、かなり基本的な面も含めていろいろな御意見をちょうだいした。そういう方々の総力と申しますか、あらゆる英知を傾けての結果であろうと考えておりますので、私ども審議会といたしましては、すべての方々の御貢献にも感謝申し上げねばならないと考えております。
この答申をまとめるに当たって、特に基本的な大きな方針があったわけでもありませんが、今から考えてみますと2つほど申し上げていいことがあったかと存じます。
1つは、ほかの審議会は当然そのように運営されていると存じますけれども、殊にこの審議会に関しては委員の方々御自身の持っておられる知識あるいは御自身の判断を中心にして、すべてが推移してきたということであろうかと存じます。いわゆる重みづけ作業もそうでございましたし、あるいはある時期、小さなグループに分かれて皆様方の御意見をお伺いした、あるいは資料に関してはできる限り公表する。それからまた、答申の案文にいたしても随分早い時期から案文そのものを皆様方に提示いたしまして意見を伺う。それからまた、最終的な答申そのものは野崎起草委員長が本当に御自身で筆をとってお書きいただいた。そういうすべてのことを考えても、委員の方々御自身が持っておられる知識あるいは御自身が出された判断というものを中心にして動いてきたという印象を抱いております。
もう1つは、すべての委員の方々がすべて平等に振る舞ってくださった、対等に振る舞ってくださったということであります。恐らくこの審議会が委員の方々に求めたものは、それぞれの方が持っておられる専門的知識というよりは専門的な知識の上に立った良識であろうと考えております。御承知のようにこの審議会は明らかな二層構造をなしておりまして、調査部会あるいはその他の検討会には本当に東西第一流の専門家の方々が七十余名御参加されまして、本当に立派な知識をおさずけくださり、また専門家としての判断をくださいました。そういった専門家としての結論をちょうだいしまして、ここではいろいろな領域でそれぞれ一家言を成しておられる方々の良識で、更にその上の判断を下していただきました。
したがって、良識という意味ではすべての方々が対等平等でございまして、時には自分はこういう首都機能移転といった問題については専門ではないからというやや御遠慮がちの発言もありましたけれども、結果においては専門家が出された知識なり判断について、審議会の委員の方々は良識に基づいた最終的な判断を下されたと、そのような印象を持っております。
このようなことで、この首都機能移転は来るべき新しい世紀あるいは世紀を超えてのもっと長い期間にわたる日本のあるべき社会の姿を構築していくための第一歩と考えております。したがって、今この時期にこういう答申を差し上げるということは、恐らく日本の将来にとっても非常に大きな意味のあることであると、その点は自負いたしております。
ただ、一般的な国民の合意形成その他についてまだまだ多くの課題が残っておりますので、どうか委員の皆様方、これからもそういう社会の啓蒙といったような面についても御協力、御努力いただきたいということをお願いする次第でございます。今日、こうして答申を内閣総理大臣に差し上げましたが、これが総理の手によって国会の方に渡していただけることと存じますが、引き続きまして国会あるいは政府におかれましても、どうかこの意見の具体化に向けて前向きに、そしてまたその目的の一部には災害に対する安全確保といったような面も含まれておりますので、できる限り早い時期に次の一歩を踏み出していただければありがたいと考えております。

(文責国会等移転審議会事務局)

ページの先頭へ