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自然的環境に係る検討について

b.里山型動物からみた生物多様性(土地利用の混在性)

キツネ、タヌキ、リス等のいわゆる里山に生息する種群の場合、森林と草原の境界をよく利用し、農耕地と森林がモザイク状に入り混じった環境ではこれらの種群の多様性が高くなる場合が多い。よって身近な自然の生物多様性の指標として、土地利用の混在性に着目して整理した。土地利用の混在性が適度に大きい地域では、野生生物の種数が多いことが予想され、里山型動物の多様性を維持する上で高く評価される。

(注) 調査対象地域においては、二次林、植林地、農耕地等が混在する環境が多いと考えられる。このようなモザイク状の環境は、林縁や明るい森林を好む、里山型の生物の多様性が高いとみなされる。
(注) 森林性動物にとって重要な場所と里山型動物にとって重要な場所は異なっている場合が多いが、生物多様性の観点からはともに重要といえる。

1)里山型動物の代表として、調査対象地域に広く分布し、かつ、馴染み深いキツネ、タヌキ及びニホンリスを取り上げた。手法を確立するため、これまでの関連研究の成果を踏まえ、土地利用の混在性とこれら3種の分布の関連を検証した。

<特性把握の方法>
(1)混在性の表示

  • 緑被地の率、および草原と森林の比率に着目した。
  • 土地利用現況データ(1kmメッシュ内の土地利用を百分率で示したもの)を用い、メッシュごとに次の指数を求めた。
    • 緑被率: 各メッシュに占める「森林・田・畑・果樹園・樹木畑・荒地」の合計
      (市街地・造成地等を除いた、野生生物が生息可能な場所の割合)
    • 森林比: 緑被地に対する森林の比率

(2)哺乳類分布との関連解析

  • 北東地域、東海地域、三重・畿央地域を含む地域をまとめて解析した。
  • 自然環境保全基礎調査データを用い、緑被率と森林比に対する生息確認率を、里山に生息するキツネ、タヌキ、ニホンリスと、対照として、奥山に生息するツキノワグマについて示した。
    (土地利用と哺乳類確認状況の関連を示すグラフ:図IV−2

(3)結果
「キツネ、タヌキ、リス」

  • 緑被率がおよそ60%以上のメッシュで確認率が高かった。
  • 森林比90%以上のメッシュでは確認率が下がっており、50〜90%で多く確認されていた。

「クマ」

  • 緑被率・森林比とも90%以上のメッシュで多く確認されていた。

2)以上より、「緑被率60%以上、かつ森林比50〜90%のメッシュ」を、キツネ等里山に生息する生物にとって好適なメッシュとみなすこととした。

<手法の妥当性の検証>

検証の流れ図。混在性の表示(緑被率・森林比)→、哺乳類分布データ、里山型哺乳類:キツネ・タヌキ・リス、山地性哺乳類:クマ(対照)→両者の関連解析→里山型動物にとっての好適メッシュ「緑被率60%以上、かつ森林比50〜90%のメッシュ」

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