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第1編 地震災害に係る検討

(3)内陸活断層に伴う地震

内陸活断層に伴う地震は、1891年濃尾地震のようなM8に達する例はごくまれで、通常は最大M7程度であり、断層の長さも20〜30km程度である。このため、海溝型地震に比べると局所的ではあるが、強いゆれをもたらすため、震源に近い地域では甚大な被害が生じることがある。

以下では、「新編日本の活断層」(活断層研究会)、「日本の地震活動<追補版>」(総理府)を参考に、調査対象地域に影響を与えると思われる活断層を抽出し、次のような分類に基づく活断層であることの確実度や活動の速度など概要をまとめた。本検討でとりあげている活断層は、すでに種々の調査が行われ、活断層である可能性が高いと認識されているもののみである。1945年三河地震や1948年福井地震などは、それまでは活断層と確認されていなかった潜在的な断層の活動により発生した地震であり、本頁で対象とした活断層がない地域であっても、内陸活断層に伴う地震が起こる可能性があることに留意する必要がある。

活断層の確実度と活動度の定義

確実度 I :活断層であることが確実なもの
確実度 II :活断層であると推定されるもの(位置・変位の向きを特定できるが、決定的資料に欠ける)
確実度 III:活断層の可能性があるもの

活動度A:平均変位速度が1m/1000年〜10m/1000年
活動度B:平均変位速度が0.1m/1000年〜1m/1000年
活動度C:平均変位速度が0.01m/1000年〜0.1m/1000年

1)北東地域周辺の活断層
仙台市付近に長町−利府線断層帯が、奥羽山脈の東麓には福島盆地西縁断層帯が存在する。いずれも確実度 I、活動度Bの縦ずれ断層((注))である。1731年に桑折(福島県北部)付近で地震が発生しているが、福島盆地西縁断層帯との関連は分かっていない。
福島県の阿武隈地域には、沿岸の双葉断層(確実度 I 〜 II 、活動度B)を除き大規模な活断層は少ない。双葉断層は最近の活断層調査等によると、最近数万年間に活動的である区間は北部の18kmと考えられている。
栃木県北部には、関谷断層(確実度 I 、活動度A)がある。1683年の日光付近の地震は関谷断層で発生した可能性が指摘されている。

2)中央地域(東海地域)周辺の活断層
静岡県中部には、富士川河口断層帯(確実度 I 〜 II 、活動度A)がある。この断層帯は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界に位置し、海域の駿河湾のプレート境界断層に続くように伸びている可能性がある(図4 参照)。また、総理府地震調査研究推進本部により、今後数百年以内の近い将来にM8クラスの地震が発生する可能性が指摘されている。
愛知県中央部には、猿投山(さなげやま)断層帯(確実度 I 〜 II 、活動度B)が、岐阜市から名古屋市にかけての地下に岐阜−一宮(いちのみや)断層帯(確実度 II 、活動度B)という潜在的な断層が存在するとされている。岐阜−一宮断層帯は、1891年の濃尾地震で濃尾断層帯とともに活動したと考えられている。伊勢湾内には伊勢湾断層帯(確実度 I 、活動度B)が存在する。最近の海上保安庁の調査により、伊勢湾断層の北部は、過去数万年の間、地表部でのズレを生じるような活動をしていないことが明らかになった。

岐阜東濃地域付近には、阿寺(あでら)断層帯(確実度 I 、活動度A)、屏風山(びょうぶやま)・恵那山(えなさん)断層帯(確実度 I 、活動度B〜C)がある。阿寺断層帯は活動度A級の顕著な横ずれ断層((注))であり、最近の活動は、1586年の天正地震であるとされている。

3)中央地域(三重・畿央地域)周辺の活断層
三重県内には、養老−桑名−四日市断層帯(確実度 II 、活動度B)、鈴鹿東縁断層帯(確実度 I 〜 II 、活動度B〜C)、頓宮(とんぐう)断層(確実度 I 、活動度B)がほぼ南北方向に延びている。これらはいずれも縦ずれ断層(逆断層)である。
畿央地域直近には、木津川断層帯(確実度 I 、活動度B級)のほか、鈴鹿西縁断層帯(確実度 I 、活動度B)がある。木津川断層帯は、1854年の伊賀上野地震を発生させたと考えられている。琵琶湖の西岸には、琵琶湖西岸断層帯(確実度 I 〜 II 、活動度A〜B)がある。

4)東京周辺の活断層
房総半島南部、三浦半島南端、神奈川県西部に活動度の高い活断層が比較的多く分布している。これらの活断層の中には、相模トラフから沈み込むフィリピン海プレートと密接に関係していると考えられ、相模トラフ沿いで発生するプレート間地震との連動性が危惧されているものもある。
もっとも活動度が高いのは、神奈川県西部に存在する神縄(かんなわ)・国府津(こうづ)−松田断層帯(確実度 I 〜 II 、活動度A)である。この断層帯は、フィリピン海プレートと北米プレートの境界部に位置し、海域の相模湾のプレート境界断層に続くように伸びている可能性がある(図4参照)。房総半島や三浦半島に存在する活断層も海域まで延びている可能性が高い。
関東平野は厚い堆積層に覆われており、未発見の活断層が存在する可能性があるが、地表面の地形の変形度合から、A級の活動度を持つような活断層が存在する可能性は低い。

(注)断層はずれのむきによって、縦ずれ断層と横ずれ断層とに分けられる。断層面の傾斜方向にずれるのが縦ずれ断層であり、水平方向にずれるのが横ずれ断層である。


図4 調査対象地域周辺の活断層分布

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