新しい全総計画では、国土構造形成の流れを「太平洋ベルト地帯への一軸集中から東京一極集中へとつながってきたこれまでの方向から明確に転換する」ため、
ことによって、「多軸型国土構造の形成」を進めるとしている。
国土軸の形成は、首都機能の移転だけでなく「21世紀を通じた国土づくり」によって達成されるものであり、首都機能が3地域のどこに移転した場合でも、東京一極集中構造からの転換を促すことによって多軸型国土構造の形成が促進されるものと考えられる。
ただし、3地域はそれぞれ北東地域は北東国土軸を、中央地域(東海地域、三重・畿央地域)は西日本国土軸及び太平洋新国土軸を形成すべき圏域内に位置しており、国土構造等に及ぼす影響はやや異なる。
また、「北東国土軸」は適正な規模を有する21世紀型の都市集積と中小都市とを含む都市のネットワークと自然のネットワークの重層的な形成を、「西日本国土軸」は都市的色彩を強く保った集積地帯と二次的自然を適切に管理した周辺地域が連携した魅力的な居住地域の形成を特色としており、3地域ごとに、首都機能移転の意味合いに特徴が生じるものと考えられる。
アンケートによると、3地域への首都機能の移転により4つの国土軸は相対的に移転先地に近い場合には形成が促進され、移転先地に遠い場合には形成を促進する効果は小さいとみられている
なお、中央地域(東海地域、三重・畿央地域)に首都機能を移転した場合は、太平洋ベルト地帯への集中の圧力が緩和されず、これまでの国土構造形成の方向から明確に転換するという新しい全総計画の考え方に矛盾するのではないかとの意見があるが、首都機能移転とあわせた総合的な国土政策の推進と国政全般の改革によって太平洋ベルト地帯の再生による西日本国土軸の形成が促進されると考えられ、新しい全総計画に矛盾することとはならないと考えられる。