Webプロデューサー 内山 隆氏
首都機能移転。やるならば本気でやっていただきたいものである。で、いっそのこと経済特区として新都市を設計するのはいかがであろうか。現在業界再編の動きが経済、実業界に起こっているが、かといって法改正となれば、時間がかかるものという暗黙の前提が立ってしまう。しかし、特区として、一種の国内外国を作ることによりグローバル性を持った新都市がスピードディーにできあがるのではないか。昨今ベンチャーへの期待が高まっているが、実際既存法制や既存団体の柵でなかなか実現には体力のいることも事実であり、門戸開放した都市があれば、若い血、また国外からの血も流れ込んでくると思うのである。まずヒトありきの都市づくりであるのだから。
せっかくの新都市であり、一からインフラを構築できることを活かさない手はない。ライフラインと同じ扱いで、回線やパラボラアンテナ、モバイル用基地局などの情報インフラを備えるべきであろう。サービスも含めていうならば、ウェブ情報が現実の場所にマップされているといったように、都市自体がインテリジェントであるという程のインフラが望ましい。
また、料金的にも、この都市では無料ということもあり得るのではないだろうか。それによって大容量または高接続数を活かしたコンテンツもたくさん現れてくるだろう。そして場としては昔のベネチアのような自由商業都市になるのではないだろうか。一種の空港都市ともいえるかもしれない。最初の土壌さえうまくつくっておけば作物は勝手に育つはずだ。
ニューヨークがワシントンに対してそうであるように、現行の東京は文化の1中心となるだろう。渋谷や原宿のキッズ的な雰囲気は世界でも珍しい特異性を持っている。ポケモンを知っていることで話が合うだろう、将来の若者にとって渋谷は世界最先端の都市となっていることも考えられる。そして、最も重要なのは、大阪、福岡は勿論のこと、他の地方都市も本来のオリジナリティを発揮していくということだ。グローバルな時代であるからこそ、地方の自立がかえって求められるといえよう。
日本は社会主義的資本主義ということがいえただろう。護送船団方式により、阿吽ともいえる共同体としての裏コミュニケーションを利用して、集団としての幸福を追究し、一度は成功したように思えた。しかし、このグローバルな時代にあっては、まず個人として自分の足で立ち、オープンな言葉を使い、異なるカルチャーを前提としたコミュニケーションを行っていかなければならない。逆に、日本のこれまで行ってきたやり方は、より深いコミュニケーションを前提として貢献できるノウハウであるはずだ。
この時代において改めて個人に立ち戻ったヒトが、地球人として、日本国民として、地域の住民として、ネット上のコミュニティに属する者として、といった重層化したアイデンティティを持った世界市民である者として、誇りの持てる都市にしていきましょう。
特区としての新都市
Webプロデューサー 内山 隆氏
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