東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻講師 苗村 健氏
私は「新しい物好き」である。車やカメラ、パソコンなど新しいモデルが発売される度に、のこのこと店頭まで足を運ぶ。それは、そこに新しいコンセプトや技術的な進歩、製作者のメッセージを感じることができるからだ。
新しい都市ができれば、きっと私も遊びに行くことだろう。そのとき「こんな都市を創りたかったんだよ」というメッセージを体感できる新都市であって欲しいと願う。
そのためには、たまたま担当になった人ではなく、そこに自らの新天地を求める情熱ある人々の手で新都市を築き上げる必要がある。いかに情熱ある人を集うかが、鍵である。
引越しは何かと大変である。できることなら、中身はそのままに、入れ物だけ新しくしたいと考え勝ちである。しかしそれでは、建物が新しいだけで機能は昔のままになってしまう。新都市はあくまで「新機能」の都市であって欲しいと願う。
そもそも新都市は、既存の都市ではなかなか実現できなかった夢を具現化する絶好のチャンスなのである。環境保全のために厳しいルールを作ったり(電気自動車しか走れない道を造るとか)、インターネットを無料で開放したり、バリアフリーを徹底したり、ベンチャービジネスのために一等地を提供したりなどなど、ゼロから都市を創るとここまでできるのかという驚きを世界中に与えることができるのではなかろうか。
21世紀の新都市は、どんな姿なのだろうか?漫画で見たハイテク都市、心安らぐ情緒ある都市、国際色豊かな都市、夜景の美しい都市、自然と調和した都市…いろいろなイメージがある。しかし、ときとして相反するこれらのイメージから1つだけを選び出して、統一的な新都市のイメージを掲げる必要はないだろう。ある程度の区画整理は必要だが、さまざまなイメージが混在する混沌とした都市にこそ、多くのチャンスが潜んでいる。極端な話では、英語しか通じないエリアがあってもよい。画一化しすぎて何も生み出せない新都市にはしたくない。
新都市への提言
東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻講師 苗村 健氏
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