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新都市を環境共生都市技術のショーケースに

大阪大学大学院工学研究科環境工学専攻助教授 下田 吉之

まもなく人口が緩やかな減少傾向を描くと予想されている我が国において、新都市の建設はゼロから大都市を作り上げる最後の機会であろう。環境共生型都市システムの必要性が論じられて久しく、そのための技術開発もなされているものの、既存の都市ではいろいろな制約からなかなか導入が進まないでいる。従って新都市には是非以下の4つの意味で「21世紀の環境共生都市技術のショーケース」の役割を担って頂きたいと願っている。

新都市の利点を生かした環境共生技術の導入と将来技術への柔軟な対応

第1点は、叡智を結集し、建設時点で最高と考えられる環境共生技術を思い切って導入することである。建設がまだ少し先となる現在、何が好ましいかを論じることは不適切かも知れないが、例えば発電所や清掃工場を核として熱と電気を供給するエネルギーセンターを都心部に導入すること等は、既存の都市では困難なことを考えると是非とも先導的事例として検討していただきたいメニューである。

第2点は、将来更に革新的な技術が生まれたとき、その導入が容易なように、都市基盤に柔軟性を持たせることである。都市がその成立した時期の技術を慣性として引きずることはある程度やむを得ないが、共同溝など都市基盤の収容空間に余裕を持たせることによって、その更新を容易にしておくことは必要である。

市民参加のソフトなシステムと市民への啓蒙

第3点は、市民参加のソフトなシステムを試行することである。アメリカ合衆国サクラメント市では市民が自宅の屋根を電力会社所有の太陽光発電の設置場所として提供し、かつクリーンなエネルギーを使用する対価として電気料金を約1割高く支払うPV Pioneer事業が行われている。市民が享受するのはあくまで太陽光発電の普及に寄与しているという名誉と満足だけだが、市民の意識は高く希望者は後を絶たないとのこと。同市がサンフランシスコやロスアンゼルス等経済都市と離れて位置しているカリフォルニア州都である点と関係があるのかも知れない。

第4点は、そこで導入されている環境共生技術を広く一般に公開・啓蒙することである。ベルリンのポツダム広場の再開発ではその一角に開発内容を紹介する展示館がまず建てられたが、そこでは建物の概要だけでなくエネルギー供給システムや建設時の環境配慮等についても詳細な展示が行われており、多くの市民が見学に訪れている。また都市完成後は各環境共生技術を定量的に事後評価することも、他都市で導入を検討したり、市民の合意を得る上での重要な参考になる。自然を大規模に改変して新都市を作る上では、その都市内の環境・資源消費だけでなく、それが引き金となって我が国の他の都市の代謝を改善していくようなリーディングプロジェクトとしての意味を持つことが必要だと考える。

新都市を環境共生都市技術のショーケースに
大阪大学大学院工学研究科環境工学専攻助教授 下田 吉之氏

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