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バリ島に学ぶ21世紀型のライフスタイル

東京大学情報学環教授 原島 博

誰もが芸術家のバリ島

私はインドネシアのバリ島が好きでたびたび訪ねます。バリ島といっても観光客が訪れる海岸ではありません。もっと奥地の方にある集落が気に入っています。そこには棚田など、日本の原風景を思い起こさせるような風景が広がっています。
そこに住む人々は今でも昔ながらの生活をしています。彼らに「あなたの職業は何ですか。」と尋ねると、皆困ったような顔をして答えに窮してしまいます。そこで「あなたはどのような生活をしていますか。」と聞き直すと、「午前中は農作業をし、午後は彫刻をし、夜は祭りをする。」というような答えが返ってくるのです。
例えば、寺の坊さんも同じ生活をしています。夜の祭りの時に坊主としての役割を担っている。ただそれだけのことです。
彫刻にしても(村によっては絵画であったり、音楽であったりします)彼らの能力はかなりのものです。全員が芸術家といっても過言ではありません。彼らも彫刻を職業としているわけではありません。普通の農民が芸術家になっているのです。

20世紀型から21世紀型のライフスタイルへ

バリ島の人たちの生活は、簡単に言うと、午前中は生活の糧を得るために働き、午後は自分を生かすために使い、夜は地域の共同体のために身を捧げる、ということです。毎日生活の糧を得るためだけに四苦八苦して働いている日本人から見れば、羨ましい限りです。
でも私には、バリ島の方が人間本来の生活をしているように思えてなりません。20世紀を生きる私たちの生活は、自分を生かすためではなく、また共同体のためでもなく、大部分の時間を単に生活の糧を得るためだけに使っています。そしてそれを当たり前のように思っています。
でもそれは、考えてみれば悲しいことです。一体何のために生きているのかと自問したくなります。20世紀は、ある意味では、特別な時代だったのかもしれません。生産性の向上だけを成長の指標とした現代社会は、人をやたらと忙しくしました。マルチメディアはそれを加速しています。
私自身の理想を言えば、午前中は生活の糧を得るための仕事を、インターネットや携帯電話などのマルチメディアを駆使して効率的におこない、午後はマルチメディアを完全にシャットアウトして、自分だけの時間を確保する。そして夜は身近な人たちと祭り(酒盛り?)をする・・・。
21世紀は、このようなライフスタイルが、当たり前になることを願っています。

バリ島に学ぶ21世紀型のライフスタイル
東京大学情報学環教授 原島 博氏

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