ライフスタイル・ストーリー（買い物）
今日は土曜日。環家は、マイバックを持って家族そろって買い物です。
まずは、歩いて地元の商店街に出かけることにしました。野菜や花などは市民農園の市場で買えますが、その他の食料品や雑貨などは商店街を利用しています。
商店街には靴屋、時計店、豆腐屋、酒屋、肉屋、魚屋、パン屋などが軒を並べています。新都市の商店街は、「環境に配慮した商店街づくり」を進めたおかげで、客も以前よりずっと増えています。ここで熱心に取り組んできたのは、電線の地中化や華美な装飾を避けた手作り看板など周辺環境と調和したまちなみづくり、太陽光発電による街灯照明、地域冷暖房の導入、透水性の歩道の整備、マイバック運動、過剰包装の追放、はかり売り、対面販売、地場の材料や産品を介した地域の生産者との密接な関係を深めるなど、計画的に「環境に配慮した商店街づくり」を進めたおかげで、全国の商店街のモデルになっています。
境一「今日は時計の修理をしなくちゃ。時田時計店のおやじさん、無愛想だけど腕はいいからな。」
循子「その間に、魚屋に行ってくるわ。みどり、魚を入れるマイパッケージ、持ってきたわね。」
みどり「うん、だってあの魚屋さん、これを持っていくと、『みどりちゃんはえらいっ！！』て、一匹おまけしてくれるんだもん。それにあそこのお店、魚一匹あたりのカロリーとか、輸送にかかるエネルギー消費量とか、二酸化炭素排出量まで表示してあって、『健康と環境にいい店だ』って、おじさん、自慢してた。」
循子「『今日はこれがおいしいよ』って、お買い得情報も教えてくれるしね。」
境一「魚のことなら何でも知ってる『魚屋マイスター』ってところか。」
循子「だから、この通りを、別名『マイスター商店街』って言うのね。」
大地「僕もマイスターになりたいな。」
境一「大地には、大地を歩く靴のマイスターがお似合いかな。」
土曜日は地域市場も開かれています。この日は現金だけでなく、エコマネーも使えて、インターネットでは味わえない値切り交渉を楽しみにしているお客もたくさんいます。日本の顔である新都市らしく、地元の人に加え、観光客や外国人もたくさんやってきます。
エコセンターではフリーマーケットがにぎやかです。
みどりちゃんも大地君も育ち盛りで、洋服も靴もすぐに小さくなって使えなくなるので、フリーマーケットでの買い物は経済的で大助かりです。でも今日はお産を控えたスーザンへのプレゼントを買う予定です。
マスター赤星「よぉ、みどりちゃん、今日は何の買い物だい？」
みどり「今度スーザンの赤ちゃんが生まれるから、そのプレゼント。」
マスター赤星「なら、このベビーカーがおすすめだよ。これは20年前のものだけど、リユースセンターで修理してピカピカに磨き上げたから、新品同様だよ。」
みどり「日よけにフリルが一杯ついててかわいいね。」
境一「プレゼントなのに、新品でなくていいのかい？」
マスター赤星「境一さん、そんなの時代遅れだよ。」
循子「そうよ。いいモノを永く使うのが常識よ。それより、スーザンなら、これを前に使っていて大きくなった赤ちゃんとベビーカー仲間になれるって、喜ぶんじゃないかしら。」
境一「そうだな。ベビーカーや子供用品は、ほんのちょっとの間使うだけだから、修理しながら使いまわしもいいか。」
大地「そうだよ。僕なんか、いつもお姉ちゃんの同級生の拓海兄ちゃんや健太兄ちゃんのお下がりだもん。」
みどり「そういうのを、リユースっていうんだよ、ねっ、お母さん。」
循子「そうそう。ものを大切にして、何度でも使ってあげて、モノの命の最後まで見届けてあげましょうってことよ。ところで、これは、エコマネーで買えるかしら？」
マスター赤星「大丈夫ですよ。これだと、循子さんの子供向け英会話講師の２日分くらいかな？」
循子「それでお願いします。」
フリーマーケットの後は市民農園に食材の買い物です。土曜日は、売店の横にテントがたち並び、いつも以上にみんなが自慢の野菜や花を持ち寄ります。
循子「今年はうちはトマトを作らなかったから、おいしそうなトマトを探してちょうだい。」
大地「♪トマト、トマト、トマト♪」
みどり「変な歌。あっ、となりの松本さんちの出店においしそうなトマトがあるよ。」
循子「でも一山、ずいぶん量があるわね。」
松本「大丈夫ですよ。一個から売りますから。」
循子「あら、聞こえました？じゃ、お言葉に甘えて３個ほど。」
松本「６人家族で３個。これなら食べ残しは出ませんね。」
みどり「『いらないものは買わない』『買ったら最後まで使い切る』だもんね。
松本「みどりちゃん、この前おじさんが話したこと、覚えていてくれたんだね。」
大地「僕も覚えてる。だから、僕は、ぜーんぶ食べちゃうよ。」
循子「へたまで食べてしまって、まるで人間ディスポーザーなんですよ。」
