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ニューズレター「新時代」 第8号(平成11年11月)

シンポジウム「日本の未来と首都機能移転」を開催

去る10月18日(月曜日)に開催され、750名近くの方々に御参加いただいたシンポジウム「日本の未来と首都機能移転」では、増田国土総括政務次官、森国会等移転審議会会長の挨拶の後、平山郁夫氏(日本画家、日本育英会会長)が「首都と文化」と題して基調講演を行い、世界の中のアジアの中の日本という観点で足元を固めながら人心を一新するという大きな哲学をもって将来に望めば、新しい日本の夜明けがやってくると思う、と述べられました。

また、斎藤宏保氏(NHK解説委員)がコーディネーターを務めたパネルディスカッションでは、以下のような議論がありました。

<草柳大蔵氏(評論家)>

移転を通じて世界にアピールできるモデル都市がつくれる。世界初の環境ISO(国際標準規格)適用の国会議事堂をつくるべき。

<川勝平太氏(国際日本文化研究センター教授)>

移転によりつくられる新しい都市景観の波及効果は、日本全国に留まらず、一つのモデルとしてアジア太平洋地域に影響を与える。

<上島一泰氏((社)日本青年会議所2000年度会頭)>

移転は、日本が自発的にどのような国を目指すのかを議論する絶好の機会。20、30代の関心が低く、国民投票なども検討すべき。

<石井幹子氏(照明デザイナー・国会等移転審議会委員)>

東京は大変魅力の無い都市になりつつあるという危機感がある。国民一人一人の参加によって、世界に誇れる新都市をつくるチャンス。

なお、パネルディスカッションの模様は、

11月19日(金曜日)23時〜 NHK教育テレビ「金曜フォーラム」で放送される予定です。

国会等移転審議会の審議状況

<今後の審議の進め方>

現在、地震、交通アクセスなど各項目ごとの評価に審議会委員が付けた各評価項目の重要度を乗じる「重みづけ手法」による総合評価の作業を行っておりますが、移転先候補地の選定に当たっては、地域ごとの特徴や新都市の具体的なイメージなども考慮しながら、多面的・多角的な議論を深め、作業を進めることが確認されました。

<移転先候補地の選定に関連する事項についての検討>

審議会では、候補地選定と平行して、以下のような関連事項についても議論が行われました。

移転の意義・効果
(国政全般の改革、東京一極集中の是正、災害対応力の強化)

移転の規模・方式
(簡素で効率的な政府の実現を目指し、必要最小限の機能の一括移転など)

移転のコスト
(候補地選定の最終段階で、用地費など地域差が生じうる費用項目について検討)

土地投機対策その他の移転に伴う制度・手法等
(土地利用規制、事業主体、地方自治形態 など)

東京都との比較考量
(首都機能を「東京都にそのまま存置する場合」と「移転先候補地に移転する場合」の得失について議論)

社会経済情勢の諸事情、国民合意形成の状況
(各種データ、国民から寄せられた意見等の整理)

このうち、移転先候補地の選定に伴う土地投機対策については、現行制度を最大限に活用して必要な措置を的確に講じるとの基本方針が確認されました。
また、社会経済情勢の諸事情については、国政改革の状況、東京圏への人口及び諸機能の一極集中の構造、政治行政の中枢と経済の中枢の同時被災のリスクを分散させる必要性など、移転問題を取り巻く中長期的な諸情勢に大きな変化がないことなどが議論されました。

グラフ:3大都市圏の転入超過数の推移〜近年再び転入超過に〜

首都機能移転に係る主要論点(1)

審議会では、「移転の意義・効果」、「移転の規模・方式」などの論点ごとに、審議会、公聴会や各種シンポジウム、マスコミ等で提起された主な意見を整理しました。
ここでは、その一部を要約してご紹介します。

<総論(歴史観等)>
積極論 慎重論

我が国は大きな転換期を迎え、移転が必要

  • 我が国は、これまでも、大きな時代の転換期において、首都(政治の中心)移転を実施して、新しい時代に相応しい政治・行政システムをつくることに成功し、歴史上プラスの効果をもたらしてきた。
  • 移転の意義は、その時々の社会情勢に応じて力点の置き方が異なるものの、移転決議時から「国政全般の改革」「東京一極集中の是正」「災害対応力の強化」の3つの柱で一貫している。

移転の理由が希薄

  • 移転には、古い権力と訣別して新しい政治を起こすなど国家の本質に関わる深い理由が必要。
  • 四百年にわたる確かな文化的伝統を保持している東京から首都機能を移転させるのは、歴史への冒涜。
  • 移転の論拠がその時々の都合でくるくる変わっている。原点にかえって論議をし直すべきではないか。

国会での活発な議論

衆・参両院の国会等の移転に関する特別委員会(以下「国会等移転特別委員会」といいます。)においては、各界から参考人を招き、様々な観点から活発な議論が行われています。(詳細は衆議院又は参議院の発行する議事録をご覧下さい。)

<9月27日(衆)国会等移転特別委員会>
東京都知事の石原慎太郎氏は、政経分離は日本の活力を削ぐものであり、移転費用の半分でも東京改造に充てれば東京は再生できること、地震に対しては100%安全な地域などなく、東京も防災性の向上に十全の対策を講じていることを指摘されました。

建築家の黒川紀章氏は、東京と地方中核都市が機能を分担・ネットワーク化し、我が国全体として発展する必要があること、東京都や首都圏全体も機能の分散化を目指しており、この点では首都機能移転も同じ方向にあることを指摘されました。

宮城県知事の浅野史郎氏は、移転は若者に自信を与え、閉塞感の打破に有効な手段であること、今までの議論の積み重ねを重視し、国民参加のもとで移転を実現することが新しい価値観の創造の契機となること、また、未来を変えるチャンスをむざむざと見逃すことは「未来に対する冒涜」となることを指摘されました。

これらを受け、東京における諸問題の状況及びその解決策、移転の意義・効果等について議論が展開されました。

「オンライン講演会」を開催

国土庁の首都機能移転ホームページにおいて、「オンライン講演会」として学界、経済界等各界の有識者を講師にお招きして仮想の講演会を開催していますので、是非ご覧下さい。
http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/online.html

講師: 諸井虔氏((株)太平洋セメント取締役相談役)
島田晴雄氏(慶應義塾大学経済学部教授)
グレゴリー・クラーク氏(多摩大学学長) ほか

国会、政府における最近の主な動向

<国会関連>

平成11年9月27日
衆議院・国会等の移転に関する特別委員会 参考人質疑
(東京都知事 石原慎太郎氏、建築家 黒川紀章氏、宮城県知事浅野史郎氏)

<政府関連>

平成11年 9月28日
第22回国会等移転審議会・第20回調査部会 合同会議
10月7日
第23回国会等移転審議会・第21回調査部会 合同会議
10月21日
第24回国会等移転審議会
10月26日
第25回国会等移転審議会
11月10日
第26回国会等移転審議会

トピックス

〜 ドイツにおける首都移転 〜

ドイツの地図ドイツでは、統一を機に、西ドイツの暫定首都とされていたボンからベルリンへの首都移転が決定され、本年9月からベルリンでの業務が本格的に始動しました。

ドイツの首都移転の経緯

  • 1989.11 ベルリンの壁崩壊
  • 1990.8 東西両ドイツ政府によるドイツ統一条約調印(首都をベルリンとすることを宣言)
  • 1990.10 東西ドイツ統一
  • 1991.6 連邦議会によるベルリンへの移転決議(賛成337、反対320)
  • 1991.12 移転省庁・残留省庁を閣議決定
  • 1993.10 西暦2000年までに政府機関がベルリンに移転することを閣議決定
  • 1994.5 ベルリン・ボン法公布(連邦議会、連邦政府のベルリン移転に係る原則などを規定)
  • 1999.8 ベルリンで首相が執務開始、連邦議会開催

移転の規模
連邦議会、行政機関の所在地については、1991年に、下表のように閣議決定されました。人口約30万人のボンにとって首都移転による雇用等への影響が大きいことを考慮し、教育・学術、環境・保健など一定の政府機能をボンに集積させたことが特徴です。

ドイツの首都移転の規模
ベルリンに移転 連邦議会及び首相府、外務省、内務省、法務省、大蔵省など12省庁
ボンに残留 教育科学省、研究技術省、郵便通信省、環境省、国防省など8省
ボンに移転 カルテル庁、保健庁、職業教育研究所、会計検査院など16機関

なお、移転に要する費用は約200億マルク(約1兆6千億円)、異動する公務員の数は約8,000人と言われています。

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