11月17日に衆議院国会等の移転に関する特別委員会が開催され、首都機能移転関係府県の知事、副知事が招致され、意見陳述ならびに質疑応答が行われました。
意見陳述の概要の一部についてご紹介します。
北川 三重県知事
アポロ計画のように壮大な夢を実現していく過程で、様々な社会、経済的、文化的制度の改廃を進め、閉塞感を打破するような取り組みが国政の場に必要と考える。明治維新、戦後体制以来の制度で良いのかどうかも含め、首都機能移転について国会で議論していただけることを念願する。
等
國松 滋賀県知事
これから新しい時代を迎えるにあたり、首都機能移転の世界的歴史的視点からみた戦略的位置づけを考える必要がある。また移転先を議論する際には首都イメージ(スケール、コンセプト)を明らかにすべきである。
等
梶原 岐阜県知事
文明論的視点、国際的視野からみて、首都機能移転は、地方分権の推進等による平成維新を象徴するものであり、経済大国から生活大国へ、工業社会から情報社会へ、ピラミッド型権力構造からネットワーク型権力構造へといった変革のシンボルとして実現しなければならないものである。
等
河内 愛知県副知事
岐阜県とともに、岐阜・愛知地域の優れた交通基盤や名古屋の大都市機能、研究開発機能等の集積を活かした、岐阜愛知新首都構想を策定することを予定している。併せてホームページ等を利用した幅広い合意形成に向けた取り組みを進めている。
等
佐藤 福島県知事
地域住民より、首都機能移転は、21世紀の新しい日本を創るためにも有効であり、自らの地域の良さを再認識する良い機会であるとの意見がある。
5県知事会議(福島、栃木、茨城、宮城、山形)等においては、この地域の素晴らしさを全国に向けて発信するため様々な活動を行っており、現在、栃木・福島地域を移転先地とした基本構想を策定するための調査を実施している。
等
(注) 記載順序は当日の発言順であり、また質疑には、齋藤 栃木県副知事も出席されました。
なお、意見陳述ならびに質疑応答の詳細については、インターネットホームページ国会会議録検索システム(http://kokkai.ndl.go.jp/)をご覧下さい。
国土庁において設置している「IT(情報技術)を活用した首都機能都市の在り方に関する検討会」(委員長 相磯秀夫東京工科大学学長、以下「検討会」という。)が、先般、現時点までの検討状況を中間提言として整理し公表しましたので、その概要をご紹介いたします。詳細は国土庁首都機能移転ホームページをご覧ください。
(http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/information/index.html)
近年における急速なIT化の進展を踏まえ、今後の首都機能移転の検討に際しては、以下を考慮すべきである。
(1)IT化の進展が、現実空間の問題点(都市問題等)をより深刻化させたり、face to faceの空間の重要性を増大させる面もある。
(2)ITによりグローバル化した社会においては、情報を発信する側の個人や地域・国が認められるためには、むしろアイデンティティを確立させる必要がある。
(3)IT社会及び政治行政システムの長期的な変化に対して、主体的に対応するためには、目指すべき姿を実現するための具体的な戦略を提示する必要がある。
首都機能移転の意義と効果は、高度情報化時代においても認められ、首都機能移転とIT化を有効に連携させることにより、さらに相乗効果を発揮するものと期待されている。(高度情報化時代における企業の立地・地域づくり等に関するアンケート調査参照(平成12年9月国土庁実施/新時代Vol.17及びhttp://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/information/index.htmlに掲載))
我が国の活力を高め、潜在的な能力を引き出す、次世代のための国家戦略として、また期待されるIT国土(注)の形成を促進するものとして、移転先となる首都機能都市とともに、移転後の東京圏の在り方を構想することを提案する。
すなわち、東京圏においては、首都機能移転の跡地の活用等を通じて促進される都市のリノベーションの一環として、世界のIT関連の人材や最先端技術の技術者・研究者等にとっての高度な研究・開発・事業活動を展開できる魅力的な条件を整え、グローバルな求心力をより一層高めるための戦略を構想することを提案する。
また、首都機能都市においては、環境問題に果敢に取り組む等の先導的なワークスタイル・ライフスタイルをITを活用しながら実現するとともに、グローバル時代における我が国の役割を充分に果たし得る国際政治活動の中心地を形成し、さらに、我が国の幅広い分野における優れた能力を総合化した、水平なネットワーク構造の実現に資する次世代のための戦略を構想することを提案する。
(注)「IT国土」: 全国において情報の受発信の機会均等が実現されるとともに、各都市・地域間の構造が「中枢」とそれへの「依存」という関係に基づく階層構造ではなく、情報の受発信の機会均等がもたらす「自立」と「相互補完」に基づく水平なネットワーク構造に移行し、それぞれの特性に応じた地域の成長を遂げる国土のこと。
首都機能都市においては、新しいタイプの国政の創造、環境問題と向き合う先導的な都市や国際政治都市、文化創造の実験都市の在り方等、次世代のための事業に相応しい目標を掲げ、我が国のあらゆる分野における能力等を総合化して取り入れることを期待するが、特に、ITに関連して首都機能都市において積極的に取り入れるべきと考える施策は以下の通りである。
なお、首都機能都市の在り方が、全国各地のワークスタイル・ライフスタイル、そして地域づくりにおける既存の問題を改めて見つめ直すものでなくてはならない。
(1)徹底した情報公開(well-informed public)を前提とした民主主義の実現(電子民主主義(e-democracy)を実現する首都機能の形成)
(2)国民参加型の首都機能都市の形成・維持システムの構築
(3)知的基盤型首都機能(knowledge-bassed government)の実現
(4)危機管理の観点からの情報中枢機能の分散(情報のバックアップ機能の強化)
(5)情報通信のネットワークインフラの強靱性、耐久性、安全性の確保
(6)コンテンツ発信力を支えるIT通信基盤(プラットホーム)の構築
(7)全国の情報の受発信の機会均等を実現するユニバーサルなネットワークの構築
首都機能移転については賛成、反対、その他様々な意見があります。国土庁の首都機能移転企画課に郵送や電子メールで直接寄せられるご意見も多数あり、今回はそれらご意見のほんの一部ですが、最近のものをご紹介します。(掲載したご意見は、誌面の関係上趣旨を損ねない範囲で要約させていただきました。)
今後も広く皆様からの御意見をお待ちしています。