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ニューズレター「新時代」 第38号(平成15年4月) 一緒に考えましょう、国会等の移転

国会等の移転に関する講演会を開催しました

国会等の移転については、現在国会において、大局的な観点から議論が行われているところですが、国土交通省では、国会における審議に協力するとともに、多様な広報活動を通じ、国民の議論喚起に努めているところです。
この一環として、国会等の移転に関する講演会を、地元の西日本新聞社との共催により、3月13日(木曜日)福岡市中央区のエルガーラホールにて約100名の参加者を集め開催しました。
講演会は、最初に、堀紘一氏(株式会社ドリームインキュベータ代表取締役社長)より「どうなる日本パラダイムシフトとこれからの日本のあり方」というテーマでお話をいただき、その講演を受けて、堀紘一氏に加え、地元有識者として西日本新聞社企画編集委員長の安川健児氏、相澤徹国土交通省首都機能移転企画課長による鼎談(ていだん)を行いました。
なお、講演会の模様は3月30日付け西日本新聞に掲載されました。以下に講演会の模様をご紹介します。

◇ 基調講演
「どうなる日本 パラダイムシフトとこれからの日本のあり方」
堀 紘一氏 (株式会社ドリームインキュベータ代表取締役社長)


堀 紘一氏

  • いまの日本は、平均株価が8,000円割れしたらどうなるか、3月期決算はどうなるかなど不安に満ちた状態。企業の3月期決算はリストラなどの企業努力で増益決算を予測できる企業が多いのに、逆に株価が下がっているのはおかしい。これは株式市場の取引を見れば分かることだが、アメリカのヘッジファンドが日本株を売っているから。
  • ニューヨークに次いで活気があった東京証券取引所はいまや韓国と同規模程度に弱体化している。取引高の三分の一は証券会社の自己売買、三分の一は外国人の売買、残り三分の一が会社や個人の売買で、これに目をつけてもうけているのがアメリカ資本。
  • 個人資産1,300兆円、国民1人当たりの貯蓄は1,000万円もあるが、有り余るお金の行き場がない。投資するにも21世紀の日本をどんな国にしていくのか、議論もなければビジョンもない。国家レベルでの夢や希望、ポリシーもない。夢がなければ投資も盛り上がらない。アメリカから見たら絶好のターゲット。中国は「買い」だが、日本は「売り」。
  • 平成2年に決めた国会等の移転問題をいまだに決めかねている。これでは外国から軽く見られてもしかたがない。決断力がにぶり、行動力がなくなっている。
  • いま大事なことは、この国のかたちをどうするのかを考えること、変えていくことだ。
  • 国会等の移転に私は賛成。かつて日本は、現状がうまくいかなくなったら都を変えてきた。794年の平安京遷都、1868年の明治維新における東京遷都の例もある。「国会等の移転」なんて無理だという人がいるが、先人達は実際にやってきている。やろうと思えばできる。
  • 10年も経って、まだ「移転をする」、「しない」さえ決断できず、放置していること自体が大問題。実行できない国に、明るい希望を持てないのは当然。胸を張って子どもたちに次の日本を譲っていけるかということを、皆さんと一緒に考えていきたい。
◇ 鼎談(ていだん)「みんなで考えよう−国会等の移転」

○出席者
堀 紘一氏 (株式会社ドリームインキュベータ代表取締役社長)
安川 健児氏 (西日本新聞社企画編集委員長)
相澤 徹 (国土交通省首都機能移転企画課長)

【安川】
移転問題は、国のかたちを左右する大きな議論なのだが国民の関心は低い。それだけに幅広い議論が必要だ。日本の現状をどうとらえるか、この国のかたちをどう考えるかが議論の出発点になる。何ごとも人任せのおまかせ型の考え方が国民の身に染みつきすぎたのではないか。
【堀】
日本の現状だが、明治維新以降でみると、試合にたとえれば「第3回戦」に入っている。明治維新以後、前半は和魂洋才でうまくいったが後半は軍国主義に走って失敗。これが第1回戦。戦後は、追いつき追い越せでうまくいったと思ったらバブルがはじけて失敗。これが第2回戦。そして、閉塞感が10年以上も続くが、「ここから第3回戦をはじめるぞ」という気持ちでやらないと、日本の明日はない。
【安川】
戦後の日本の成長を支えたシステム、とりわけ中央集権はそのひとつだが、これらが行き詰まっているのは誰の目にも明らかだ。21世紀の世界はどういう方向に向かうのか。その認識の下、日本は対応を急ぐ必要がある。
【相澤】
鼎談風景21世紀のキーワードは「多様化」、「多元化」ではないか。米国、中国、EUそして日本が激しい競争をしていくことになる。国会等の移転に絡んで言えば、政治と経済の機能分散は世界の潮流。世界の主要国で政治と経済の中枢機能が同じ都市にあるのは日本、韓国、ロシアぐらい。その韓国においても、新大統領がソウルからの首都移転を公約、5年以内に新都市建設に着工するということになっている。
【堀】
これからの世界は米国中心に動いていくと思うが、13億の人口の中国と、9億の人口のインドが安い人件費を武器にモノをつくり、世界の工場になっていく。そうなれば日本の失業率は10%以上に跳ね上がるかもしれない。外貨を稼がないと日本のかたちは成り立たないのに、こうした国々に脅かされている。すごいピンチだというのに、みんなのんびりしており、私は非常に怖い。
【安川】
こうした実情を踏まえ、国会等の移転問題をどう考えたらいいか。
【堀】
閉塞感に覆われたときは新しいことをやって突破してきたのが人類の歴史。新しいことをやるにはリスクがつきもの。リスク覚悟でやるしかない。
【安川】

安川 健児氏
堀さんは「国会等の移転」を閉塞感を打ち破る突破口にすべきとの主張だが、国会や中央省庁を東京から移すだけでは「単なる場所の変更ではないか」という疑問もある。
【相澤】
国会等の移転は単なる引っ越しではなく、国のシステムの大変革を伴う国家プロジェクト。単なる建設事業ではなく、新しい情報技術、環境技術を取り入れた、世界を先導するモデル都市を創造するものだ。
【安川】
地方に住む国民にとっては、国と地方の関係がどうなるかは大きな関心事だが、国会等の移転によって地方がどう変わるのか、「地方の新しいかたち」との関係がはっきりしない。
【相澤】
国会等の移転は、日本のすがた、システムをどう変えていくか、東京を中心とした行政のシステムをどう変えるかという問題と密接に関連している。従来のような一極集中で全国を見るというスタイルではなくて、いわゆる群雄割拠の国土づくり、つまり、どこの地域からでもホームランやヒットが打てるような地域をつくり、国土をつくっていく。国会等の移転はそのための大きな推進力になると言われている。
【堀】
もはや東京に頼る時代は終わった。東京一極集中を分散させること。能書きを言わずに、とにかく実行に移すことだ。
【安川】
参加者の写真西日本新聞では今、紙面において「地方改革」キャンペーンを展開している。地方から変わる、舞台を変えることが必要。キーワードは「情報公開と共有」。住民が主役にならないと地域、そして日本は変わらない。国会等の移転問題は21世紀の日本のかたちを決定づける重要なテーマにもかかわらず、国会決議から13年も経っても盛り上がらず、無関心の人が多い。それはこの問題を「他人事」とみる人が多いからではないか。この講演会をきっかけに「国会等の移転」に関する議論を起こし、自分たちが主役の国民的議論につくり直していく必要がある。

「オンライン講演会」を開催しています

国土交通省の国会等の移転ホームページでは、これまで学界、経済界等各界の有識者51名を講師にお招きして講演会を開催しています。この度、新たに下記の講演を追加しましたので、是非ご覧下さい。
(ホームページアドレス : http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/index.html

<3月掲載>

中村 ひとし氏の写真中村 ひとし氏(環境自由大学(ブラジル・クリチバ市)特別プロジェクトコーディネーター)
テーマ:『環境にやさしい都市づくり』
項目

  • 首都ブラジリアと環境都市クリチバ市との比較
  • 日本の都市と環境問題
  • 環境にやさしい都市

トピックス

国会等の移転に関するポスターとパンフレットをリニューアルしました

パンフレット表紙国会等の移転の概要や新都市のイメージ等をわかりやすく周知するためのポスターとパンフレットを改訂しました。
ポスターは、B1サイズで1枚ものと3枚組みの2種類があり、公共・公益施設等で掲示する予定です。また、新しいパンフレットも広報活動の一環で配布していきますが、ご希望の方は、下記の連絡先まで直接ご連絡ください。

最近の国会等の移転に関する各地域の主な動き

4月17日〜18日 3移転先候補地が博多駅イベント広場にて共同で啓発イベントを実施。首都機能移転の意義・必要性のPR等の展示コーナーを設けるとともに、博多駅周辺にて啓発グッズを配布

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