昨年12月、国会等の移転に関する政党間両院協議会が下記のとおり開催され、これまでの協議会での議論をとりまとめた「座長とりまとめ」が、衆参の議院運営委員長に報告されました。今後、両院協議会においてこの「座長とりまとめ」に基づき、さらに検討が進められる予定です。
座長とりまとめ
平成16年12月22日
衆議院議院運営委員長
川崎 二郎
参議院議院運営委員長
溝手 顕正
各宛
国会等の移転に関する政党間両院協議会
座長(衆議院) 鈴木 恒夫
座長(参議院) 沓掛 哲男
国会等の移転に関しては、平成2年に「国会の移転に関する決議」を行い、さらに、平成4年に制定した国会等の移転に関する法律に基づき、その検討を行ってきたところである。
政治、経済、人口等が集中する東京圏が大規模地震災害等により被災した場合、日本経済は当然のこと、世界経済にも計り知れない影響を与え、また、国民生活に欠くことのできないライフラインの破壊、新幹線、空港等の交通網の混乱、治安の悪化等混乱を極めることは明らかである。このような事態に備えるため、危機管理の一環として国の中枢機関である国会等を東京圏以外へ移転させることの重要性はむしろ増していると言える。
さらに、環境破壊による地球温暖化対策、交通渋滞の解消、地方経済の活性化等の観点からも、国会等の移転の必要性は高まっている。
一方で、近年、我が国の社会経済状況は著しく変化し、少子高齢化の急速な進行にともなって総人口の減少局面も間近に迫ってきている。こうした状況の中で、地方分権の推進や道州制等を含めた国と地方の新たな関係の構築、今般の新潟県中越地震を踏まえた防災、危機管理のあり方など国会等の移転に密接に関連する諸問題が生じてきており、これらについて様々な議論が始められている。
当協議会は、平成15年6月の発足以来、「国会の意思を問う方法」について衆参両院の密接な連携の下に検討を重ねてきたところであるが、国民全体の将来に関わる最重要の課題である国会等の移転は、先に掲げた諸問題への対応と十分整合を図った上で結論を出すべきものであり、こうした諸問題に一定の解決の道筋が見えた後、大局的な観点から検討し、意思決定を行うべきものであるとの意見が多くを占めた。
当協議会としては、今後は、上記意思決定に向けた議論に資するため、政府その他の関係者の協力を得て、平成15年の衆参両院の国会等の移転に関する特別委員会中間報告に示された分散移転や防災、とりわけ危機管理機能(いわゆるバックアップ機能)の中枢の優先移転などの考え方を深めるための調査、検討を行うこととする。
平成16年12月14日(火)、韓国の各政党の事務局幹部など13名が、日本の議会及び政党制度並びに日本の首都機能移転政策に関する政策研修のため国土交通省を訪れ、「首都機能移転」に関して意見交換を行いました。
当該会議では、両国の首都機能移転の現状やその進め方、首都圏の過密解消策などについて活発な意見交換が行われました。
韓国の新行政首都後続対策委員会は、「新行政首都建設のための特別措置法」の違憲判決を受け、これまでの新行政首都建設に代わる案として、忠清南道燕岐(ヨンギ)・公州(コンジュ)地域に建設する都市として「行政特別市」、「行政中心都市」、「教育科学研究都市」の3案を昨年12月国会に報告しました。国会は、これら3案について検討を進め、2月末までに最終案を確定する予定となっています。
国土交通省の国会等の移転ホームページでは、これまで学界、経済界等各界の有識者を講師にお招きして講演会を開催しています。平成16年12月16日以降、新たに下記の講演を追加しましたので、是非ご覧下さい。
(ホームページアドレス :http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/index.html)
隈 研吾氏 (建築家・慶應義塾大学教授)
昭和29年横浜市生まれ。コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。
テーマ:「成熟した時代における建築と首都機能のあり方」
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森 毅氏 (数学者・京都大学名誉教授)
昭和3年東京都生まれ。北海道大学助手を経て、京都大学助教授から教授へ。平成3年に退官し、京都大学名誉教授。ユニークな切り口で社会や文化について評論活動を行っている。
テーマ:「多様な社会への転換と国会等の移転」
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