国土交通省では、国会等の移転に関して国民各層に幅広く議論を喚起するための取り組みとして、様々な分野の有識者の方々から講演をいただくオンライン講演会を平成11年度から実施しております。
昨年度、講演回数が100回を迎えたことを機に、それまでに講演いただいた100名の方々のご意見等をまとめました。
講演者の職業
講演をいただいた方々の職業については、大学教授が41%と最も多く、シンクタンク・研究機関等の研究員15%を含めた研究者が全体の過半数を占めております。研究者以外では、評論家・作家、経営者・財界人が比較的多くなっております。
また、講演当時の年齢は、50歳代から60歳代の方が全体の7割以上を占めています。
国会等の移転の意義・効果
※各講演の中で特に強調された意義・効果を一点抽出し集計
(1)国会等の移転の意義・効果
国会等の移転の意義・効果については、「国政全般の改革(地方分権等を含む)」を挙げた方が28%と最も多く、「災害対応力の強化」(13%)、「東京一極集中の是正(地域活性化等を含む)」(12%)と続いており、平成11年12月の国会等移転審議会答申で整理された3つの意義・効果を挙げた方が全体の約半数となっております。
それ以外では、「国民の生活・暮らしやすい社会」(10%)、「これからの都市のあり方」(9%)、「日本の歴史・伝統」(9%)といった観点からの言及が目立ちました。
(2)講演の論点
講演の論点
※各講演の中で言及された論点を全て集計
講演の論点については、「国政全般の改革」に関するものが16%と最も多く、内容としては、政治体制・社会全般の改革に関するもの(6%)から、道州制を含む地方分権、首都と地方の制度に関するもの(10%)まで幅広く言及されております。「これからの日本・国づくりのあり方」(10%)という包括的なテーマから改革について言及されているものを含めると改革に関するものが全体の4分の1以上を占めています。
また、「東京一極集中の是正」(14%)については、全般的な問題提起を行っているもの(7%)だけでなく、東京の魅力向上(3%)、地方の活性化(4%)のようにそれぞれ異なる視点からの言及も多く行われています。
「社会の変化への対応」(10%)を論点とするものについては、情報化社会や産業構造・社会構造の変化への対応に関する言及が目立ちました。
(3)国会等の移転の課題
国会等の移転の課題
※各講演の中で特に強調された課題を一点抽出し集計
全体の約半数の講演で、国会等の移転の議論や進め方の課題について言及されています。
最も多く取り上げられている課題は、「国民的議論の不足・関心が低い」(11%)であり、具体的には、「国民一般の合意が必要」「積極的な情報発信とPRが必要」などの意見がありました。
続いて、「問題設定に課題がある」(10%)との意見も多く、「はっきりとした国家理念を揚げるべき」「問題提起の仕方や候補地絞り込みのプロセスなどに問題あり」などの指摘がみられました。
また、「当初の目的と現状の乖離」(8%)の課題では、「当時と社会・経済情勢が変化している」「そもそも移転の理由に説得力がない」などの意見がありました。
今後とも、より幅広い分野の方々の講演を掲載してまいりますのでご期待下さい。
平成18年11月以降、国会等の移転ホームページに、次の講演を追加しましたので是非ご覧下さい。
(ホームページアドレス:http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/index.html)
泊 みゆき氏 (NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長)
テーマ:「持続可能な社会と都市の望ましい関係とは」
要約
重川 希志依氏 (富士常葉大学大学院環境防災研究科教授)
テーマ:「都市防災の主役は一人一人の市民と地域コミュニティー」
要約
大内 浩氏 (芝浦工業大学工学部教授)
テーマ:「緊急性と重要性を兼ね備えた首都機能移転と新しい都市デザイン」
要約