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ニューズレター「新時代」 第60号(平成19年2月) 一緒に考えましょう、国会等の移転

大韓民国における行政中心複合都市建設基本計画

現在、大韓民国では、12部4処2庁の中央行政機関などをソウルから約120km離れた忠清南道(チュンチョンナムド)の燕岐(ヨンギ)・公州(コンジュ)地域に移転するため、行政中心複合都市の建設が進められています(新時代 Vol.55, 57参照)。昨年7月には、行政中心複合都市の建設基本計画が決定されましたので、その概要等を紹介します。

1. 行政中心複合都市建設基本計画

(1) 建設基本計画の4大理念
行政中心複合都市の理念は、「相生」、「跳躍」、「循環」、「疎通」の4 大理念を基礎に、「調和のとれた都市」、「躍動する都市」、「持続可能な都市」、「開かれた都市」を未来像とする『共によく暮らす共生の都市』を追求することとされています。

相生
− 調和のとれた都市 −

  • 中央行政機関移転で国家の均衡発展をリード
  • 均衡発展を実現する環状型都市を建設
  • 多様な階層がともに暮らすことができる住みやすい都市を実現

跳躍
− 躍動する都市 −

  • 先進教育環境の整備により優秀な人材を養成
  • 21世紀の新しい都市建築文化のモデルを提示
  • ユビキタス先端情報都市を実現

循環
− 持続可能な都市 −

  • 自然と人が一緒になった親環境都市を建設
  • 水、エネルギー、廃棄物が循環する資源節約型都市を建設
  • 伝統と現在が共存する文化基盤を確立

疎通
− 開かれた都市 −

  • 開放的な庁舎建設と開かれた電子政府で政策への参加を拡大
  • オープンスペースと複合コミュニティを住民交流の場として建設
  • 便利かつ人間中心の交通体系を構築

(2) 主な構想の概要
○都市の主要機能を6 つの機能拠点に分散配置し、生活圏も均等に配置して均衡のとれた都市発展を図ることとしています。

(イメージ図)6大主要都市機能の分散配置(イメージ図)生活圏設定の概念

○都市中心部に100万坪(330万km2)規模のオープンスペースを設けるとともに、生活圏別に多様な規模・形態の都市公園を造成することとしています。
○自然と都市が調和した魅力的な都市景観を新たに作ることとしています。
○設計競技、試験事業などを通じて優秀な建築物の建設を誘導することにより、優秀な都市景観を作り出し、都市の品格向上を図る計画です。

(イメージ図)都市公園・緑地の構想(イメージ図)主要な眺望軸の構築

○ウォンス山、ジョンウォル山などを拠点とする緑地軸と、錦江(クムガン)、ミホ川を中心とする河川軸を連携する「生態ネットワーク(Blue - Green Network)」を通じて、生態系を有機的に連結して住民たちが自然と易しく接することができるようにします。

(イメージ図)保全地域の構想(イメージ図)生態ネットワークの構想

○一般バス、新交通手段(先端BRT)などの公共交通手段を利用して都市内どこでも20分程度でアクセス可能な公共交通中心の交通体系を構築することとしています。

※BRT:連節バス、バス専用道路等により、軌道系の高速性と小回りの利く柔軟性を兼ね備えたバスをベースとした都市交通システム(Bus Rapid Transit)

(イメージ図)都市交通体系 構想概念(イメージ図)公共交通軸の街路空間 例示

(3) 主要指標等
建設主要指標と土地利用構想は次のとおりです。

行政都市 建設主要指標
部門 関連項目 計画指標 備考
人口 目標人口 50万人 2030年
住居 世帯当たりの平均家族人数 2.5人/世帯
住宅供給数 20万戸
住居密度(純密度) 300人/ha程度
基礎生活圏規模 2〜3万人程度
基礎生活圏個数 20個程度
産業 産業・業務 予定地域面積の3%程度 国際交流、ホテル、流通などを含む
工業 先端知識基礎施設など 100万m2程度
緑地 公園・緑地率 予定地域面積の50%以上 公園・緑地・河川などを含む
河川緑地幅員 40m程度
20m程度
国家河川
地方河川
近隣公園面積 1万m2以上 基礎生活圏一つ当たり
上下水道 1人当たり1日平均給水量 300〜350l
河川(計画供水頻度) 200年 国家河川

※ 開発計画段階でより具体化される予定

土地利用構想
区分 保全用途 開発用途
住宅 商業・業務 中央行政 先端産業 その他
比率 50%以上 22%程度 3%程度 1%程度 1%程度 21%程度

2. 今後の動きなど

昨年12月、行政中心複合都市の名称を「世宗(セジョン)(Sejong)」(朝鮮王朝第4代国王の名前)とすることが決定されました。

今後、実施計画の策定を経て、2007年下半期には敷地造成工事が着工される予定です。そして、2012〜14年にかけて段階的に庁舎を移転し、2030年には人口50万人の都市を創出することとしています。

「オンライン講演会」を開催しています

国土交通省の国会等の移転ホームページでは、これまで学界、経済界等各界の有識者を講師にお招きして講演会を開催しています。平成18年12月以降、新たに次の講演を追加しましたので是非ご覧下さい。

(ホームページアドレス:http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/index.html)

市川 宏雄氏 (明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授)

市川 宏雄氏の写真テーマ:「国際競争力向上の視点からの大都市政策を」

要約

  • 首都機能移転に関する議論は、当初、一極集中の弊害に対する不安感などから盛り上がったが、その後、移転の論拠のぶれや財政の逼迫などにより低下してしまった。
  • 「均衡ある発展」は、経済成長のもと、国際競争力で優位に立っているときのみ可能な国内的議論である。
  • これからの日本は、限られた資源を集中的に投下して、効率性の高い生産を行うことが必要であるが、それを効率的かつ多く生み出すことができる場所は東京しかない。
  • 大都市への集積が高まれば必ず問題が起きると考え、その問題をどう解決するかに主眼を置くべきであって、分散させようという議論は今や意味がない。
  • 国際競争力を高めるという視点で、日本の大都市政策と国土のあり方を考える必要がある。

村井 純氏 (学校法人慶應義塾常任理事・慶應義塾大学環境情報学部教授)

村井 純氏の写真テーマ:「情報インフラのリスク分散につながる首都機能移転」

要約

  • グローバルに連続したインターネットでのマーケットと既存の社会との関係については、しっかりとした考え方を持っておかなくてはならない。
  • 情報インフラの整備・発展には、民間が主導して行政がサポートするという体制が必要である。
  • 国外とのネットワークインフラ整備が日本の課題である。
  • 首都機能を分散したときに求められる都市機能の高度化には、IT技術が大きく貢献できる。
  • 首都機能を分散した場合の行政システムは、それぞれが自律し、責任を果たし、協調しなくてはならない。そのようなインターフェイスが洗練されていれば、首都機能は基本的にどこにあっても機能する。
  • 現在、行政や金融手続きの電子化が可能になったが、まだ十分に活用されていない。首都機能の分散ができれば、必然性が生じ、この仕みが役立つとともに、情報インフラのバックアップやリスク分散が非常に進む。

トピックス

最近の国会等の移転に関する各地域の主な動き
  • 岐阜愛知新首都推進協議会では、防災の観点から首都機能移転の意義や必要性を京都大学防災研究所所長河田惠昭氏が提言するPR広告「首都機能移転で千年安心な国へ」を週刊東洋経済、週刊ダイアモンド、週刊エコノミスト及び週刊AERA(いずれも平成19年1月15日発売)に掲載

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