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Webニューズレター新時代Vol.72 〜一緒に考えましょう、国会等の移転〜

建設が進む韓国行政中心複合都市
大韓民国(ソウル、セジョン)

大韓民国(ソウル、セジョン)

(C)外務省
(この地図は、外務省提供の資料画像をもとに
作成しました)

韓国では、ソウル首都圏の諸機能と人口の過度の集中解消などを目的に、国のほぼ中央部に世宗(セジョン)市と名づけられた新しい都市を造り、中央政府行政機関などを分散移転させる事業が進行中です。

韓国は、これまでいくつかの新首都構想を打ち出してきましたが、2004年、盧武鉉(ノムヒョン)大統領は選挙公約に基づき、大統領府、国会を含むほぼすべての中央行政機関を移転する内容の「新行政首都建設のための特別措置法」を制定しました。しかし、憲法裁判所が同法の違憲決定を下したため、2005年、一部の省庁の移転に限定した「行政中心複合都市建設特別法」を制定しました。この法律を基に建設計画が立案され、2007年、行政中心複合都市建設が着工されました。

世宗市はソウルの南東約120km、約300㎢の範囲に位置します。地形は周囲がほぼ山に囲まれ、国内でも大きな河川が流れる比較的緑地が豊富な土地です。気候は、近くの都市のものを見ると年平均気温が12.0℃と日本の平均的な気温より低いのですが、韓国全土の年平均とだいたい同じくらいです。交通インフラは、道路については高速国道が通り、鉄道は高速鉄道と在来線が通っています。また、空港は清州(チョンジュ)国際空港が近くに位置しています。

行政中心複合都市は、「複合」の名の通り中央行政機関のほか、文化・国際交流、先端知識基盤、大学・研究、医療・福祉、都市行政の計6つの機能が配置され、また住宅地、公園なども整備される予定です。移転対象行政機関は中央行政機関15部2処18庁のうち9部2処2庁、目標人口は2030年までに50万人と設定されています。2012年からの移転開始を目指し、政府庁舎、道路建設など新都市の建設が今まさに進められているところです。

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植民地の歴史が生んだ首都機能分散配置
南アフリカ共和国(ケープタウン、プレトリア、ブルームフォンテイン)

南アフリカ共和国(ケープタウン、プレトリア、ブルームフォンテイン)

(C)外務省
(この地図は、外務省提供の資料画像をもとに
作成しました)

1910年にオランダとのボーア戦争に勝利したイギリスが、イギリス領のケープ植民地とナタル植民地にオランダ系の2カ国、トランスバール共和国とオレンジ自由国を併合して誕生させた「南アフリカ連邦」が現在の南アフリカ共和国の始まりです。国会はイギリス領にあったケープタウンに設置したものの、2つのオランダ系旧共和国への配慮により、行政府と司法府はそれぞれ旧共和国の首都に置くこととしました。そのため現在も、立法府はケープタウン、行政府はプレトリア、司法府はブルームフォンテインという3つの都市に首都機能が分散配置されています。

国会のあるケープタウンは南アフリカにおいてもっとも早い時期から入植が始まり、観光を主力産業とした所得水準の高い地域です。アフリカ最南端の町で大西洋に面しています。行政府のあるプレトリアは、同国最大の商都ヨハネスブルグの北50kmに位置する都市化の進んだ内陸部にありますが、ケープタウンからは1600kmも距離が離れているため約9カ月に及ぶ国会会期中には、大臣や副大臣らは月曜日と金曜日はプレトリア、火曜日から木曜日まではケープタウン、そして週末は自らの選挙区で過ごすというように対応しています。以前は国会会期中に多くの人数でケープタウンに移住していましたが、近年では経費節減のために最小限の移動者数にとどめられるようになりました。

国の中心部には広大な草原が広がり、南ア最大の金の生産地であると同時に穀倉地帯として農業も盛んです。最高裁判所を有するブルームフォンテインはこのエリアに位置しており、学術都市としての役割を担っています。

このように、それぞれ違った性質を持つ3つの都市に国家の3権は分散配置されました。分散に伴うコストの高さは国民からの厳しい視線にさらされてはいるものの、今のところこの配置を変えるという動きはありません。

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国土交通省 国土政策局 総合計画課