駐日マレーシア大使館へのインタビュー(平成24年3月)
半島部マレーシアは高速道路網が発達しています。北のペルリス州と南のジョホール州を結ぶ南北に長く伸びた高速道路は約20年前に開通し、また半島部の北部のグリクとジュリを結ぶ眺めのよい東西高速道路は30年程前に完成しました。首都クアラルンプールと東海岸各都市を結ぶ東海岸高速道路は、つい5年程前に完成しました。こうした広域高速道路網が半島部マレーシア各地を結んでいます。ボルネオ島側では、サラワク州からブルネイを経てサバ州に至る汎ボルネオ高速道路の一部区間が1997年に完成しました。現在、改良工事が進行中で、完成すればサバ・サラワク州のより多くの都市が高速道路で結ばれ、地域交通はより便利になります。一方、半島部マレーシア西岸の長い海岸線には、クラン港、タンジュンペレパス港、ペナン港など多くの国際港があり、長年にわたり日本をはじめマレーシアの主要貿易相手国との間を行き来する大量の船荷を扱っています。
マレーシアは美しい自然にも恵まれています。長い海岸線の美しい砂浜、眺めのよい山々、保護の行き届いた深い森林にはさまざまな珍しい動植物が生息しています。マレーシアの主な観光地は、パハン州のタマンネガラ国立公園、トレンガヌ州沖のレダン島とティオマン島、サラワク州のムル国立公園、サバ州のキナバル山国立公園とその沖合いのシパダン島などです。中でも、キナバル山国立公園には、東南アジアの最高峰キナバル山ばかりでなく、オラウータン保護センターがあり、日本のNGO等の協力で保護活動が行われています。このような豊かな自然の美しさと多民族・複合文化社会の特性を生かし、マレーシアは観光振興に力を入れ、日本は主要マーケットの一つとして位置づけられています。昨年の東日本大震災の影響にもかかわらず、2011年にマレーシアを訪れた日本人観光客は38万675人に上りました。より多くの日本人をお迎えし、観光ばかりでなく、ホームステイや「マレーシア・マイセカンドホーム・プログラム」等の長期滞在プランにも参加していただきたいと思います。
移転により政府機関は近くに集まり、電子政府プログラムなどを通じ政府手続きの効率向上も期待されています。移転はまた、政府機関の悩みの種であったクアラルンプールのオフィススペース不足や家賃高騰を緩和します。
プトラジャヤの用地としてセパン地区のプランブサールが選ばれた理由は、クアラルンプール市街地とクアラルンプール国際空港の中間という戦略的位置にあることです。新連邦政府行政センターの広さは4,931ヘクタール、クアラルンプールから南に約25キロ、クアラルンプール国際空港の20キロ北に位置します。
インテリジェント庭園都市として計画されたこの地域の38%は、公園、湖、湿地などの自然の景観を生かした緑地帯です。最も特徴的な景観は市の中心に位置する600ヘクタールの人工湖のプトラジャヤ湖で、気候緩和効果もあります。広場や大通りも計画に沿っています。これはマレーシア最大、東南アジアでも有数の大型プロジェクトで、総事業費は最終的に81億ドルに上るものと予想されます。プロジェクト全体の設計・建設をマレーシア企業が手がけ、資材は10%の輸入資材を除きほぼ国産です。
プトラジャヤのユニークさをさらに高めるのが、サイバージャヤと呼ばれる姉妹都市です。マルチメディア・スーパーコリドーという情報通信技術開発事業の中枢を占めるサイバージャヤは、マレーシアばかりでなく地域の情報通信の中核を成しています。マルチメディア・スーパーコリドー地域に位置するプトラジャヤは、インテリジェント・シティーとしての側面もあります。マルチメディア技術はこれまでも、そして今後もプトラジャヤの発展と密接に関わり、政府機関同士、政府と民間、政府と都市の住民、そして政府とマレーシア国民との間のコミュニケーションを促進します。プトラジャヤとサイバージャヤは、世界の情報通信技術開発における主要な役割を目指すマレーシアの希望の象徴です。
また国会会期中は、連邦政府の24の省にそれぞれ国会内事務所が最低1つずつ用意され、省内、他省、また国会議員との連絡連携の円滑化が図られます。
クアラルンプールとプトラジャヤ間の頻繁な行き来が必要な場合でも、ほんの25キロの距離ですから問題はありません。以前は、移動には45分から60分かかりましたが、2007年に完成したマジュ高速道路のおかげで30分以内に短縮されました。
現在のプトラジャヤは何もかもが秩序立っていますが、人口が増加すればそうはいきません。特に交通、駐車スペース、そして治安維持を計画通り確保するのは容易ではありません。課題はありますが、プトラジャヤは今後も最高のデザイン・技術応用の見本として、マレーシア人ばかりでなく世界中から集まる駐在員に選ばれる都市であり続けると固く信じています。
国土交通省 国土政策局 総合計画課