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国会等の移転による国際政治都市の創出

パンフレットの表紙イメージ

国会等の移転による国際政治都市の創出

国会等の移転とは

国会等の移転(首都機能移転)とは、国会や行政・司法の中枢機能を東京圏外に移転することを意味し、「国政全般の改革」「東京一極集中の是正」「災害対応力の強化」などの意義・効果があり、平成2年の衆参両院における「国会等の移転に関する決議」以降、本格的な検討が進められています。現在、平成11年12月の「国会等移転審議会答申」を踏まえ、国会において「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」「三重・畿央地域」を移転先候補地として、大局的な観点から検討が行われています。

移転先新都市の国際政治都市としてのあり方に関する検討会について

国会等移転審議会答申では、移転先新都市の整備にあたって配慮すべき事項として、「国際政治都市としての機能の確保」があげられています。そこで、「移転先新都市の国際政治都市としてのあり方に関する検討会」において、世界的に「国際政治都市」とされている外国の都市の例も踏まえ、わが国における将来の国際政治都市のあり方について探り、国会等の移転を契機として、移転先新都市において構築すべき国際政治都市としての機能・役割等について検討を行ってきました。

このパンフレットは、同検討会の報告をもとに作成したものです。

「移転先新都市の国際政治都市としてのあり方に関する検討会」
委員(五十音順)

大芝 亮 一橋大学法学部教授
モンテ カセム 立命館大学政策科学部教授
高橋 進 株式会社日本総合研究所調査部長
寺島 実郎 株式会社三井物産戦略研究所所長
戸所 隆 高崎経済大学地域政策学部教授 <座長>
最上 敏樹 国際基督教大学教養学部教授

世界に開かれた国際政治都市とは

国際政治都市とは

「国際政治都市」を次のように定義します。

1・・・issue : 国際政治、経済、環境、安全保障、人権、文化等を含めた国際問題について、
2・・・actor : 国家、国際機関、NGO、市民等の国際政治上の様々なアクターが、
3・・・action : 集い、交渉し、政策決定を行う舞台であり、
世界平和に貢献するとともに、交際政治面でわが国の方向性や特色を国内外に示すことが出来る、世界に開かれた都市である。

諸外国では、ワシントンD.C.(米国)、ジュネーブ(スイス)、ブリュッセル(ベルギー)、ウィーン(オーストリア)などの都市に、国際機関が集まり、多くの国際政治活動の舞台となっており、「国際政治都市」と呼ばれています。


ワシントンD.C.(米国)
「米国連邦政府の施設とともに国際機関も集積」
写真提供:Washington Stock Photo/APL


ジュネーブ(スイス)
「中央は国連ジュネーブ事務所」
写真提供:UN/DPI



ウィーン(オーストリア)
「国連ウィーン事務所等が入居する『UNOシティ』」
写真提供:UN/DPI


ブリュッセル(ベルギー)
「EU関連の施設が集まる街並み」
写真提供:Central Audiovisual Library,
European Commission


日本のプレゼンスを形成する

国際政治都市をつくる意義

わが国が国際政治都市をもつことは、次のような意義があります。

  • わが国が当事者でない場合も含めて、多様な外交活動の舞台となります。
  • 国民レベルでの海外援助活動・海外ボランティア活動、文化・学術面での国際交流活動の舞台となります。
  • 国際的な情報拠点となることで、国民が外国の姿を知るとともに、外国の人々に日本の姿を知ってもらうことができます。
  • 新たな地球市民文化を育み、新しい都市運営のモデルとなり、世界に新しい日本の姿をアピールすることができます。

国会等の移転により誕生する移転先新都市は、わが国に求められる「国際政治都市」となる大きな可能性をもっています。移転先新都市を「国際政治都市」として形成していくことは、大きな意義があります。


会議室(イメージ)


大使館街(イメージ)


国際社会に向けた
高付加価値情報の発信とアイデンティティの提示

国際政治都市の役割

日本の国際政治都市は、次のような役割を特に重視すべきと考えます。

1.情報を集積し、価値を付加し、発信する
情報の密度・集積度が深く厚く、「情報の磁場」を形成していることが都市の魅力になります。日本の国際政治都市は国際政治等に関する情報を高密度に集積する役割が期待されます。
同時に、そうした情報を集めるだけでなく、理論化を進めるなど付加価値をつけ、国内外に発信していく役割が求められます。
2.日本の個性、アイデンティティを示す
グローバリゼーションが進む国際社会では、「日本」「日本人」とは何かを示す個性やアイデンティティがますます重要になります。
そのため、国際政治都市は日本の国際的なプレゼンスを高めると同時に、多様な歴史的資産や伝統文化や、非核や平和といった理念などを、日本のアイデンティティとして国内外に示していく役割が求められます。
3.世界の多様な価値観を受け止め、国際貢献の場となる
グローバル化が進む国際社会にあっては、日本のアイデンティティを世界に示すとともに、世界の多様な価値観を受け止め、国際的に貢献する活動の場となることが国際政治都市に求められます。

国際政治都市に求められる10の機能

国際政治都市の機能

日本の国際政治都市には次のような機能が求められます。

1.移動・通信の利便性
例: 利用可能な国際空港、高度な情報通信ネットワ−ク
2.国際交流拠点
例: 国際会議場、コンベンションビューロー、宿泊施設
3.多様性ある文化的生活の享受
例: 文化施設・イベント、宗教施設、多様な食の提供
4.外国人の快適な生活空間の確保
例: 快適な住宅、外国人への情報提供、国際教育の推進
5.外国人の社会参加の場の提供
例: 在住外国人の家族の就職口、ボランティア活動等の場
6.良好な治安
例: 警備が容易な施設配置、ノウハウを集積した警備組織
7.国際政治活動拠点の形成
例: 国際機関、国際NGO、外国公館、国際機関立地の都市計画上の配慮
8.人材の育成
例: 大学・大学院、留学生受け入れ体制、実務家育成機能
9.高度な情報・知識の集積
例: 研究機関、人的交流ネットワーク、研究支援基金
10.日本文化の紹介
例: 日本の文化を住民や往訪者に示す施設、イベント

各種国際機関の協力関係と
人的・情報ネットワークとのコラボレーション

移転先新都市として重視すべき国際政治都市の機能は以下の三点です。

  • 国際政治活動拠点の形成:国際機関が立地することが期待されるとともに、他都市に立地する国際機関等との連携を図ります。
  • 人材の育成:国際政治活動にかかわる人材を育成・支援します。そのことが日本の「顔」が見える貢献につながると期待されます。
  • 高度な情報・知識の集積:高度な知識の集積と人的ネットワークの充実により、新都市が情報や知識の共有の核となり、世界に向けて情報を発信します。

それぞれの機能について、特に以下の点に重点を置くことで、日本のアイデンティティを示すとともに、国際的に貢献する活動の場となることを目指します。

アジア太平洋圏の情報集積地帯としての役割
アジア太平洋圏をターゲットとした国際機関などを組織化し、アジア太平洋圏の担い手となる人材の育成を目指します。また、新都市がアジアの共通関心事項(IT、環境問題など)に対してモデルを提供していきます。
人道支援、復興支援、開発援助等に関する機能の集積地としての役割
国際的な人道支援、復興支援、開発援助活動をすすめる国際機関、NGO、国内関係機関等が集まり、他都市の関係機関も含めた協力関係(ネットワーク)を構築していく都市を目指します。このネットワークが高度な情報・知識の集積に大きな役割を果たします。

国際政治都市のイメージ図 (絵をクリックすると拡大してご覧になれます)
国際都市のイメージ(クリックで拡大)

東京と移転先新都市との機能分担を実現する

移転先新都市が国際政治都市として機能するメリット
  • 移転先新都市は、国際政治都市となることを前提とした新たなまちづくりが可能であり、その規模がコンパクトであるために、ネットワーク性が重視される新たな時代の国際政治都市づくりにふさわしいと考えられます。
  • 東京一極集中構造が変容し、移転先新都市と地方都市とが対等で双方向の関係を構築することが可能となれば、地方都市における自立的・自発的な国際交流活動が促進されることが期待されます。
  • 「経済・金融、芸術・文化」の拠点である東京と、「国内政治・行政、国際政治」の拠点である移転先新都市とでは、それぞれの都市の特性に合致した各々の拠点機能をより強化していくことによって、両都市が互いに影響しあい、一定の相乗効果が期待されます。

首都機能移転前の地方都市と国際社会の関係
- イメージ図 -

 

 

 

首都機能移転後の地方都市と国際社会の関係
- イメージ図 -


国際政治都市として移転先新都市が
果たすべき役割を発揮するためのシナリオ

移転先新都市の国際政治都市形成シナリオ
  • 移転先新都市の国際政治都市形成にあたっては、建設着手当初から、中長期的視野に立って国際政治都市の形成を計画することが求められます。
  • その後、国際政治都市として必要な基盤を整備し、生活環境整備等も進める中で、国際政治活動に必要な環境が形成されると考えられます。
  • さらに関係機関の立地等が実現していく中で、多様な機能が集積し、世界にも認知されることで、国際政治都市として移転先新都市が果たすべき役割を発揮するに至ると考えられます。
ステップ1 中長期的な国際政治都市の建設計画
中長期的視野に立った国際政治都市の形成を計画

ステップ2 国際政治都市として必要な基盤の整備
国際政治都市として必要なインフラ整備
国際政治都市として必要な制度面の整備

ステップ3 国際政治活動に必要な環境の形成
外国公館、日本政府の対外関係機関集積
良好な生活環境のためのソフト面の整備
国際政治活動を支援・促進するための法制度の整備

ステップ4 国際政治活動にかかわる多様な機能の立地
NPO活動拠点の立地
研究機関・人材育成機関の立地
外国人のニーズに対応した生活環境の充実
日本の役割を位置づける国際会議の開催
多様な国際機関等の立地
日本文化を紹介するための機能の整備

ステップ5 国際政治都市としての役割発揮
移転先新都市が世界に国際政治都市として広く認知
国際政治都市として移転先新都市が果たすべき役割の十分な発揮

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