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新都市の環境デザイン

パンフレットの表紙(クリックで拡大)


環境技術を活用する

首都機能移転により誕生する「新都市」では、市民と行政が協力して、環境にやさしい生活スタイルをつくります。
先進の技術で、エネルギーや資源を有効に活用し、世界に貢献できる「ゼロエミッション都市」を創造します。

ゼロエミッション都市

ゼロミッションとは、都市活動による環境負荷(廃棄物など)を「ゼロにする」ことを目指すものです。首都機能移転により誕生する「新都市」では、都市の配置を工夫したり、先進の技術を導入して、その環境負荷を限りなくゼロに近づけます。そして、国内外に積極的に情報を発信することで、様々な地域におけるゼロミッション都市の創造に向けて、次の「3つの視点」で取り組みます。

(1)「クラスター型コンパクトシティ」の実現
コンパクトな「小都市」を”クラスター(ぶどうの房)状”に配置します。それぞれの小都市では、都市機能を複合的・集約的に配置し、また土や水などの自然の力を利用し、環境負荷の少ない都市活動が営めるようにします。

(2)「先進モデルシティ」の実現
エネルギーや資源・水資源、交通などの各分野で”最先端の環境負荷低減システム”をモデル的に導入します。その結果を国内外に発信し、新都市のみならず様々な地域でのゼロミッションの実現に積極的に貢献します。

(3)「ゼロエミネットワーク拠点」の整備
ゼロエミッションへの取り組みを広く波及させ、また、市民の環境配慮の取り組みを進めるため、新都市内外の地域、NPO(非営利組織)、事業者などをネットワークで結びます。「対・広域(地方都市・海外)」、「対・周辺地域」、「新都市内」−など、異なったネットワーク拠点を整備し、相互に情報の交流を図ります。

ゼロエミッション都市のイメージ。太陽光発電。廃棄物発電:廃棄物を償却するときに発生する焼却熱を使って発電します。バイオマスエネルギー:おがくずや稲わら、家畜のふん尿などを発行・ガス化させることなどによりエネルギー利用します。風力発電。燃料電池:天然ガスやメタノールなどから作った水素と大気中の酵素を反応させて発電します。排気ガスがほとんど出ないクリーンなエネルギーです。共同回収システム:オフィスなどから個別に排出される廃棄物を共同で回収し、リサイクルなどの取り組みを進めます。生ゴミ処理システム(コンポストなど)。高度水処理システム:従来の浄水・下水処理では対応できない物質を取り除きます。中水利用システム:排水を処理して、トイレ洗浄用などの雑用水にします。
コージェネレーション:発電システムからの廃熱を有効利用し、電気と熱を一緒に供給します。地域冷暖房:熱供給設備で集中的に製造される冷水や温水などを地域に供給します。都市緑化:緑を増やし、都市全体の気温の上昇を防ぎます。クリーンエネルギー自動車(ハイブリッドカー、燃料電池自動車など)。雨水利用システム:雨水を貯え防火用水などに利用します。新交通システム:大気汚染や騒音などの心配がより少ない、モノレールなどの新しい交通システム、混雑の緩和にも役立ちます。テレワーク:IT(情報技術)を活用した時間と場所にとらわれない働き方。在宅勤務やSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)。ゼロエミッションネットワーク:新都市内外の人々による環境交流。モデル技術等の情報を発信。


自然とともに暮らす

首都機能移転により誕生する「新都市」では、市民と行政が知恵を出し合い、風土に根差したライフスタイルをつくります。
自然から学び、自然をまもり、自然を育て、自然のめぐみを大切に暮らし続ける「自然共生型都市」を創造します。

自然共生型都市

自然共生型都市では、生態系の成り立ちや多様性をよく学び、大切にしていくと同時に、「自然と共生する」ための暮らし方や仕組みを学び、活かしていきます。このため、次の「3つの視点」で自然とともに暮らすまちづくりに取り組みます。

(1)広域の自然をまもり、回復・創出する
新都市周辺の広域的な生態系の核を保全し、”水と緑の回廊”でつなぎ、骨格となる山なみなどの景観や水環境、気候・風土の特性を活かして、広域の「自然の<環>」をつくります。

(2)地域の自然をまもり、回復・創出する
新都市での生態系の拠点を保全し、”水と緑の回廊”でつなぎ、貴重な動植物や身近な自然の保護・保全と固有の湖沼や田園などの景観資源を活かし、地域の「自然の<環>」をつくります。

(3)地域の自然を生かし、育成する
自然と触れ合う学習拠点や散歩道を設け、自然を学ぶ仕組みをつくります。また、地元住民と新住民が手をたずさえ、地域の季節感、風土を活かした生活文化を継承し、持続的に自然を活用する、地域での「人の<環>」をつくります。

自然共生型都市のイメージ水と緑の回廊
「人の<輪>」

 


戦略的環境アセスメント

首都機能を備えた「新都市」をつくるにあたっては、”戦略的環境アセスメント”の考え方を用いて、計画の早期段階から「事業が環境にどう影響するか」に細心の注意を払う、「環境に配慮した事業化プロセス」を、官民一体で進めます。

環境に配慮した事業家プロセス

「自然との共生」、「ゼロエミッション」をコンセプトにする「新都市」をつくるにあたっては、計画の早期段階から、”戦略的環境アセスメント”の考え方を用いて、環境への影響に配慮した事業化プロセスを進めます。

環境アセスメント
環境アセスメントとは、事業の実施に先立ち、あらかじめ事業が環境に及ぼす影響を調査・予測・評価して必要な環境保全対策を行うものです。事業着手後もフォローアップ(事後調査)を行い、「環境への影響」を監視し続けることが決められています。しかし現行の環境アセスメントは、事業の実施段階で個別事業ごとに適用されるものであり、事業の大枠を定める計画段階での配慮や、複数の事業による累積的・複合的な影響への配慮は困難です。そのため、首都機能移転のような「大規模プロジェクト」では、環境アセスメントを補う仕組みが必要です。

戦略的環境アセスメント
「新都市」つくるにあたっては、欧米で急速に導入が進んでいる「戦略的アセスメント」の考え方を取り入れます。これは個別事業の枠組みを決めることになる「政策」や「計画」を作る段階から、「環境への配慮」を行うものです。事業の実施段階に適用する従来の環境アセスメントに比べ、「より早い段階」から「より幅広く」環境への影響について検討し、「より柔軟に」対応していくことが可能です。

首都機能移転に際しては、移転先地域だけでなく、周辺地域や移転元である東京都への影響も考慮に入れて、計画の早期段階から、計画全体の及ぼす環境への影響に細心の注意を払った事業化プロセスを進めていきます。

環境に配慮した事業家プロセスのイメージ


首都機能移転の概要

首都機能移転とは、国会や政府の中枢機能、最高裁判所などの首都機能の一部を東京圏外に移転することで、「国政全般の改革の促進」、「東京一極集中の是正」、「災害対応力の強化」などの意義・効果があります。
昭和30年代から、首都機能移転に関する多くの提言が行われてきましたが、平成2年の国会決議により国において本格的な検討が始まり、平成11年12月に、「国会等移転審議会」から移転候補地を選定する答申が行われました。この答申の中で、環境への配慮が新都市の在り方の一つとして位置づけられました。

「首都機能移転の環境に関する研究会」の提言

上記答申を踏まえ、首都機能移転先の「新都市」の計画策定に際して環境面からの配慮を行うための必要な事項などについて検討を行うため「首都機能移転の環境に関する研究会」を設置しました。研究会では、環境省の協力を得て検討を重ね、平成13年2月に提言をまとめました。提言では「新都市」の目指すべき姿を「自然と共生し、環境負荷を最小化した循環型の持続的発展可能な都市」とし、さらに、「より良い環境の創出に向けて積極的に働きかける都市の実現を目指す」としています。
このパンフレットは、「首都機能移転の環境に関する研究会提言」をもとに作成したものです。

「首都機能移転の環境に関する研究会」委員の構成
井手 久登東京大学名誉教授・早稲田大学客員教授 <座長>
亀山 章東京農工大学農学部教授
小林 正明環境省総合環境政策局環境影響評価課長
細見 正明東京農工大学工学部教授
水口 俊典浦工業大学システム工学部教授
森田 恒幸国立環境研究所社会環境システム部長・東京工業大学大学院教授

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