・下水道・汚水処理施設の種類(282KB)
公共下水道とは、『主として市街地における下水を排除し、又は処理するために地方公共団体が管理する下水道で、終末処理場を有するもの又は流域下水道に接続するものであり、かつ、汚水を排除すべき排水施設の相当部分が暗渠である構造のもの』(下水道法第2条第3号)をいいます。公共下水道の設置・管理は、原則として市町村が行いますが、2以上の市町村が受益し、かつ、関係市町村のみでは設置することが困難であると認められる場合には、都道府県がこれを行うことができます。また、平成3年度から、過疎地域活性化特別措置法に基づく特例として、過疎地域のうち、一定の要件を満たす市町村については、幹線管渠等の根幹的部分の設置を都道府県が代行できるようになりました。
公共下水道のうち、特定の事業者の事業活動に主として利用されるものを「特定公共下水道」という。具体的には、当該下水道の計画汚水量のうち、事業者の事業活動に起因し、又は附随する計画汚水量が概ね2/3以上を占めるものとされています(下水道法の一部を改正する法律の施行について<昭和46年11月10日都下企発第35号>)。
また、公共下水道のうち市街化区域(市街化区域が設定されていない都市計画区域にあっては、既市街地及びその周辺の地域をいう。俗にいう白地の都市計画区域の人口密集地域を指す。)以外の区域において設置されるもので、自然公園法第2条に規定されている自然公園の区域内の水域の水質を保全するために施行されるもの(以下、自然保護下水道という。)、又は、公共下水道の整備により生活環境の改善を図る必要がある区域において施行されるもの(以下、農村漁村下水道という。)及び、処理対象人口が概ね1000人未満で水質保全上特に必要な地区において施行されるもの(以下、簡易な公共下水道という。)を「特定環境保全公共下水道」としています。
そして、これら特定公共下水道、特定環境保全公共下水道以外の公共下水道を狭義の「公共下水道」として取り扱っています。
特定公共下水道は、昭和46年以前には特別都市下水路事業として実施されてきましたが、昭和45年の下水道法の改正によって、すべて公共下水道は終末処理場を有するか、流域下水道に接続することが要件とされたため、特別都市下水路に設けられる処理施設も終末処理場の概念に含まれることとなり、以後、特定公共下水道として実施されることとなりました。
また、平成27年の下水道法改正により、多発する浸水被害への対応として、主として市街地における雨水のみを排除するために、河川その他の水域もしくは海域に雨水を放流するものまたは流域下水道に接続するものを雨水公共下水道として実施することとなった。
流域下水道とは、『専ら地方公共団体が管理する下水道により排除される下水を受けて、これを排除し、及び処理するために地方公共団体が管理する下水道で、2以上の市町村の区域における下水を排除するものであり、かつ、終末処理場を有するもの』(下水道法第2条第4号イ)。又は『公共下水道(終末処理場を有するものに限る。)により排除される雨水のみを受けて、これを河川その他の公共の水域又は海域に放流するために地方公共団体が管理する下水道で、2以上の市町村の区域における雨水を排除するものであり、かつ、当該雨水の流量を調節するための施設を有するもの』(下水道法第2条第4号ロ)をいいます。流域下水道の設置・管理は、原則として都道府県が行いますが、市町村も都道府県と協議してこれを行うことができます。
下水道法第2条第4号イに規定する流域下水道が整備された背景には、都市化の進行に伴う市街地の連担、水質保全への必要性の増大といった社会情勢の変化を受け下水道事業を従来の市町村単位で実施するのみでなく、河川等の流域単位に基づく行政区域を越えた広域的な観点から計画立案し、実施することの必要性が強く認識されるようになったためです。
わが国における流域下水道の最初の実施箇所は大阪府の寝屋川流域下水道(昭和40年度)でありますが、当時は下水道法上の明確な規定がなかったため、流域下水道は公共下水道の一形態として扱われていました。流域下水道に関する法体系が整備されたのは、昭和45年の下水道法改正においてです。
一方、下水道法第2条第4号ロに規定する流域下水道(雨水流域下水道)が整備されるに至った背景は、市街化の進展や集中豪雨の頻発などを受け、都道府県が事業主体となり、複数市町村にまたがる区域を対象に一体的かつ効率的に浸水対策を行う必要性が生じていたため、平成17年度より2以上の市町村の区域における雨水のみを排除する下水道を流域下水道として整備することができることとなりました(ただし、終末処理場を有する公共下水道より排除される雨水に限る。)。
なお、従来は2以上の市町村の区域における下水を排除していた流域下水道が、市町村合併により1の市町村の区域における下水のみを排除することとなった場合には、当該流域下水道を管理していた都道府県と合併により新らしくできた市町村との協議により特例として10年を超えない範囲で引き続き当該下水道を流域下水道としてみなす特例規定が合併特例法において設けられています。
都市下水路は、主として市街地(公共下水道の排水区域外)において、専ら雨水排除を目的とするもので、終末処理場を有しないものをいいます。