各都道府県知事あて
記
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(別添一) 賃貸住宅標準契約書についての答申
(平成五年一月二九日)
(住宅宅地審議会)
まえがき
当審議会は、平成三年一〇月二一日に建設大臣より「賃貸住宅標準契約書の作成について」諮問を受け、住宅部会に調査審議を付託し、同部会に賃貸住宅標準契約書小委員会を設置して慎重に調査審議を重ねてきた。その結果、今般次のような結論を得たので答申する。
民間賃貸住宅は全住宅数の約四分の一を占めており、賃借人の住生活及び賃貸人の経営の安定を図ることは、住宅政策上の重要な課題の一つである。
しかしながら、民間賃貸住宅の賃貸借をめぐる契約関係においては、賃貸借当事者間に紛争が少なからず発生しており、こうした状況は賃借人の住生活を不安定なものにするほか、賃貸人の経営継続意欲等を低下させ、良質な民間賃貸住宅の供給にも悪影響を及ぼすものと考えられる。
民間賃貸住宅の賃貸借において現在使用されている契約書の中には、必ずしも内容が明確、十分又は合理的でないものが見受けられ、このことが賃貸借関係の不安定化を招く要因の一つになっている。
このため、当審議会においては、民間賃貸住宅の賃貸借に係る実態、諸法令、判例等を踏まえつつ、広く関係者の意見を聴いた上で、内容が明確、十分かつ合理的である賃貸住宅標準契約書を作成した。この賃貸住宅標準契約書は、建て方、構造等を問わず、居住を目的とする民間賃貸住宅一般を対象とするものである。
なお、賃貸住宅標準契約書の利用の便宜を図るため、その記載要領及び承諾書(例)を併せて作成した。
政府におかれては、この賃貸住宅標準契約書を、契約自由の原則に配慮しつつ、民間賃貸住宅の賃貸借契約書の標準的な雛形として関係者に広く周知されることを要望する。
本件に関して、当審議会の調査審議に参加した委員は下記のとおりである。
記
なお、大津留温、小島英敏、小林幸雄、酒井守、谷内富三、日笠端の各氏は委員として、寺田逸郎氏は専門委員として任命されたが、途中辞任した。
目次
第一 賃貸住宅標準契約書
第二 記載要領
第三 承諾書(例)
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<別添資料>![]() |
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(契約の締結)
第一条 貸主(以下「甲」という。)及び借主(以下「乙」という。)は、頭書(1)に記載する賃貸借の目的物(以下「本物件」という。)について、以下の条項により賃貸借契約(以下「本契約」という。)を締結した。
(契約期間)
第二条 契約期間は、頭書(2)に記載するとおりとする。
2 甲及び乙は、協議の上、本契約を更新することができる。
(使用目的)
第三条 乙は、居住のみを目的として本物件を使用しなければならない。
(賃料)
第四条 乙は、頭書(3)の記載に従い、賃料を甲に支払わなければならない。
2 一か月に満たない期間の賃料は、一か月を三〇日として日割計算した額とする。
3 甲及び乙は、次の各号の一に該当する場合には、協議の上、賃料を改定することができる。
1) 土地又は建物に対する租税その他の負担の増減により賃料が不相当となった場合
2) 土地又は建物の価格の上昇又は低下その他の経済事情の変動により賃料が不相当となった場合
3) 近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合
(共益費)
第五条 乙は、階段、廊下等の共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費等(以下この条において「維持管理費」という。)に充てるため、共益費を甲に支払うものとする。
2 前項の共益費は、頭書(3)の記載に従い、支払わなければならない。
3 一か月に満たない期間の共益費は、一か月を三〇日として日割計算した額とする。
4 甲及び乙は、維持管理費の増減により共益費が不相当となったときは、協議の上、共益費を改定することができる。
(敷金)
第六条 乙は、本契約から生じる債務の担保として、頭書(3)に記載する敷金を甲に預け入れるものとする。
2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺をすることができない。
3 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を無利息で乙に返還しなければならない。ただし、甲は、本物件の明渡し時に、賃料の滞納、原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。
4 前項ただし書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。
(禁止又は制限される行為)
第七条 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部又は一部につき、賃借権を譲渡し、又は転貸してはならない。
2 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の増築、改築、移転、改造若しくは模様替又は本物件の敷地内における工作物の設置を行ってはならない。
3 乙は、本物件の使用に当たり、別表第一に掲げる行為を行ってはならない。
4 乙は、本物件の使用に当たり、甲の書面による承諾を得ることなく、別表第二に掲げる行為を行ってはならない。
5 乙は、本物件の使用に当たり、別表第三に掲げる行為を行う場合には、甲に通知しなければならない。
(修繕)
第八条 甲は、別表第四に掲げる修繕を除き、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合において、乙の故意又は過失により必要となった修繕に要する費用は、乙が負担しなければならない。
2 前項の規定に基づき甲が修繕を行う場合は、甲は、あらかじめ、その旨を乙に通知しなければならない。この場合において、乙は、正当な理由がある場合を除き、当該修繕の実施を拒否することができない。
3 乙は、甲の承諾を得ることなく、別表第四に掲げる修繕を自らの負担において行うことができる。
(契約の解除)
第九条 甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、甲が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告したにもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されないときは、本契約を解除することができる。
1) 第四条第一項に規定する賃料支払義務
2) 第五条第二項に規定する共益費支払義務
3) 前条第一項後段に規定する費用負担義務
2 甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、当該義務違反により本契約を継続することが困難であると認められるに至ったときは、本契約を解除することができる。
1) 第三条に規定する本物件の使用目的遵守義務
2) 第七条各項に規定する義務
3) その他本契約書に規定する乙の義務
(乙からの解約)
第一〇条 乙は、甲に対して少なくとも三〇日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。
2 前項の規定にかかわらず、乙は、解約申入れの日から三〇日分の賃料(本契約の解約後の賃料相当額を含む。)を甲に支払うことにより、解約申入れの日から起算して三〇日を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。
(明渡し)
第一一条 乙は、本契約が終了する日までに(第九条の規定に基づき本契約が解除された場合にあっては、直ちに)、本物件を明け渡さなければならない。この場合において、乙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない。
2 乙は、前項前段の明渡しをするときには、明渡し日を事前に甲に通知しなければならない。
3 甲及び乙は、第一項後段の規定に基づき乙が行う原状回復の内容及び方法について協議するものとする。
(立入り)
第一二条 甲は、本物件の防火、本物件の構造の保全その他の本物件の管理上特に必要があるときは、あらかじめ乙の承諾を得て、本物件内に立ち入ることができる。
2 乙は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定に基づく甲の立入りを拒否することはできない。
3 本契約終了後において本物件を賃借しようとする者又は本物件を譲り受けようとする者が下見をするときは、甲及び下見をする者は、あらかじめ乙の承諾を得て、本物件内に立ち入ることができる。
4 甲は、火災による延焼を防止する必要がある場合その他の緊急の必要がある場合においては、あらかじめ乙の承諾を得ることなく、本物件内に立ち入ることができる。この場合において、甲は、乙の不在時に立ち入ったときは、立入り後その旨を乙に通知しなければならない。
(連帯保証人)
第一三条 連帯保証人は、乙と連帯して、本契約から生じる乙の債務を負担するものとする。
(協議)
第一四条 甲及び乙は、本契約書に定めがない事項及び本契約書の条項の解釈について疑義が生じた場合は、民法その他の法令及び慣行に従い、誠意をもって協議し、解決するものとする。
(特約条項)
第一五条 本契約の特約については、左記のとおりとする。
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<別添資料>![]() |
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別表第1(第7条第3項関係)
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別表第2(第7条第4項関係)
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別表第3(第7条第5項関係)
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別表第4(第8条関係)
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<別添資料>![]() |
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別添2〜4 〔略〕 |
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