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平成13年度観光の状況に関する年次報告

第1章 観光の現状はどうなっているか

第5節 ●アメリカ同時多発テロ事件の旅行に与えた影響

4 世界観光機関による,米国同時多発テロ事件の観光への影響及び救済措置概観



  (1) 米国同時多発テロ事件の観光への影響

テロ事件により旅の安全に対する信頼が揺らいだ結果,旅行者数では,米国出発の長距離旅行が最も影響を受けた。また,安全性に懸念が残る観光目的地を避ける傾向が際立った。
北米
米国からの人気観光目的地であるカナダ,メキシコ,カリブ海沿岸諸国には特に厳しい影響が出た。カリブ海諸国はクルーズ市場でも大きな需要減に直面し,日英仏といった長距離にある目的地からの旅行客数も大きく減少した。
米国への観光客数は,航空を使った旅行の敬遠から全世界的に大きく減少した。欧州や日本といった長距離市場からの旅行客は,自国に近い観光目的地を選ぶ傾向となった。
ヨーロッパ
欧州の旅行市場は,元々国内旅行や域内旅行の比重が比較的高いため,予約時期が遅くなるといった減少は見られるものの,影響はそれほど深刻ではない。しかし,中東,北アフリカの地中海沿岸諸国及びタジキスタン,ウズベキスタン,トルクメニスタンといった国々は,紛争地域に近いことなどの理由から避けられた。
北米やアジア(特に日本)といった長距離市場から欧州の主要都市への旅行客は大きく減少した。総括的に見ると,長距離からの旅行者の減少を国内や域内の旅行者の増加が補う形となった。
欧州は多様な観光地を抱えており,現在の状況から,地方旅行,短期間旅行,古都,海岸地域といった領域では,影響が比較的少ないと見込まれる。
アジア・太平洋地域
他の地域と同じく,航空を使った旅行者の数が大きく減った。しかし,近隣諸国や域内への旅行は大きな影響を受けず,米国や欧州に向かう旅行者が減少した分が域内に回った。
増加率は減少するものの,この地域での旅客数は9月11日以降も依然として増加することが見込まれる。例外は,長距離市場への依存度が高く,アフガニスタンでの紛争に近い南アジア諸国である。インドへの観光客数は,米州や欧州からの旅行者の割合が高いため,大きく減少した。

  (2) 産業界及び各国政府の取った対応策

(2) 産業界及び各国政府の取った対応策

(2) 産業界及び各国政府の取った対応策



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