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平成13年度観光の状況に関する年次報告

第4章 国内観光振興の施策

第2節 ●旅行の多様化,低廉化

2 家族客向けサービスの向上


1)「家族旅行振興のための国内宿泊商品実態調査」
最近の国内旅行の特徴は,団体・法人需要の減少及び家族旅行の増加であることから,家族旅行に焦点をあて,旅行業者や宿泊施設がそうした状況にどのような対応を行っているのか等について実態調査を行った。
調査の結果,客層の多様化に対応するためにかかる高い設備投資費等を特定期(夏休み等)で回収する仕組み,伝統的な旅館型フルサービスへのこだわり等が家族客向けの宿泊商品の多様化,低廉化の阻害要因として挙げられた。一方で,家族客向けサービスを展開し,成功を収めている事例もみられる。
2)「宿泊旅行の拡大,ここがポイント!」
消費者に対し宿泊旅行に関するヒアリングを行いそこで得られた利用者からの声と,前記の「家族旅行進行のための国内宿泊商品実態調査」で得られた先進的な対応事例を紹介しながら,宿泊旅行の活性化に向けた課題をまとめた小冊「宿泊旅行の拡大,ここがポイント!」を作成し,政府登録ホテル・旅館に配布した。この中では,国内観光の活性化に向けて,宿・地域での企画力の強化や,旅行者への情報提供の充実,商品の多様化・低廉化等価格・サービスの見直し,ITの活用,コスト抑制と収益力強化,接客・サービスの向上等を提案し,宿泊事業者の積極的対応を促した。
3)宿泊施設における家族客向けサービスの向上
旅行会社や宿泊施設では,最近増加してきている家族旅行に対応して,泊食分離など家族客向けの低廉料金の設定や,低廉な子供料金の設定,一家全体で幾らというような料金表示,親子で楽しめる企画作り,コネクティングルーム等家族がくつろぎやすい部屋の設置,食事内容や食事方法の選択肢を増やすなど子ども連れに配慮した食事など,家族客向けのサービスに取り組んでいるところも増えてきている。
  COLUMN  

■ 「家族旅行振興のための国内宿泊商品実態調査」における取り組み好事例

長崎県のホテルでは,家族客を取り込むため,ツインルームを改装しコネクティングルームを20室程度提供し,子供を対象としたプレゼント等を行った。その結果,前年を大きく上回る家族客を取り込むことに成功。家族客の求めている客室を整備し,設定する価格次第で家族需要を取り込めるということを実感したとしている。
栃木県のホテルでは,宴会場を2つ閉鎖してオープンキッチンの食事処と7つの個室宴会場を設置,そのほかアプローチ,玄関,ロビーフロアを改装し,施設全体を家族を含めた個人向けイメージに整えた。この結果,家族やその他の個人客が増えつつあるとのことである。
群馬県のホテルでは,ホテル内の様々な施設を利用できるチケットをつけた宿泊商品を販売している。このチケットは利用目的が特定されないため,滞在中,家族連れでも大人や子供の趣向にあわせた自由な利用ができる。そのため特に三世代での利用客に好評であるとのことである。
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