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平成13年度観光の状況に関する年次報告

第9章 観光に係る安全確保対策

第2節 ●交通安全対策の推進

4 海上交通の安全対策



  (1) 海難発生状況

平成13年に我が国周辺海域において,海難に遭遇した船舶(海難船舶)は,2,836隻で,これに伴う死亡・行方不明者は152人であった。なお,13年から死亡・行方不明者のうち,操船者の病気等が起因の海難における当該操船者数を除いている。
このうち,旅客船は49隻,プレジャーボートは1,157隻で,全海難船舶に占める割合は約43%であり,また,これに伴う死亡・行方不明者は22人となっており,全死亡・行方不明者に占める割合は約15%となっている。

  (2) 安全確保

1)海事関係法令の励行等
海上交通の安全を確保するため,船舶への立入検査を行ったほか,あらゆる機会を通じて指導取締りを実施した。
また,灯台,灯浮標等の航路標識の新設及び既設標識の光力増大等の機能向上や老朽化した航路標識施設,機器の代替更新等改良改修を実施した。
そのほか,航海用電子海図等の整備を進めるとともに電子水路通報を発行している。
なお,(財)日本水路協会において,13年度においても,紙海図の内容を簡略化した航海用電子参考図(ICメモリーカード)及びパソコン用の航海参考図(CD‐ROM)を発行した。
2)旅客船の運航管理の適正化等
特に13年7月の「全国海難防止強調運動」の期間中は,安全運航総点検,訪船指導及び官民合同の事故対策訓練を実施した。
3)プレジャーボート等の安全確保
プレジャーボート等の海難防止については,海難防止講習会及び海上安全教室の実施等により,気象・海象情報の的確な把握等事故防止指導を行った。また,ユーザー等民間有志による安全活動の育成を目的とした海上安全指導員制度を推進した。さらに,小型船安全協会等は,安全教育活動,広報,無線普及事業等を展開しており,これらの活動の充実強化に努めた。
また,マイカーでドライブに行くようにプレジャーボートで海道を使って,安全に楽しくクルージングできる環境整備を進める海道の旅(マリンロード)構想については,係留,燃料の補給等に適したマリーナ等(宿場町)や,それらを結ぶ推薦ルートの設定要件及び情報提供のあり方等の基本コンセプトを構築した。一方,海中転落事故に際しては,ライフジャケットの着用率を向上させるための方策について検討を行うと同時に,ライフジャケットの常時着用,連絡手段の確保(防水パックに入れた携帯電話等の携行),緊急通報用電話番号「118番」の有効活用を三つの基本とする「自己救命策確保キャンペーン」を推進した。
遊漁船の海難防止については,水産庁や各都道府県の指導の下に,遊漁船業者の組織化及び同法に基づく遊漁船業団体の指定等が進められており,これらの安全対策の徹底を図るため,一定の期間を定めて一斉指導取締りを行うなど,機会あるごとに関係者に対する安全指導を行った。
4)海難救助体制
海難が発生した場合に迅速,的確な捜索救助を行うため巡視船艇・航空機によるパトロールを実施したほか,巡視船艇・航空機,情報通信網の整備を行った。また,世界的な枠組みの中で,捜索救助に関して隣接国との協力・連携を強化する一方,日本の船位通報制度の参加促進とその有効な活用,高度な救助技術を要する特殊な海難に対応する特殊救難体制,救急救命体制及び洋上救急体制の充実強化,さらに沿岸部に空白のない救助体制を構築するため民間による救助体制の整備に対して積極的に支援・指導を行った。
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