平成15年度観光の状況に関する年次報告
第1章 観光の現状
第1節 国民の観光の動向
5 国民の旅行等に関する意識の動向
内閣府の「自由時間と観光に関する世論調査」(平成15年8月)によると,国民の国内旅行(観光,レクリエーション,スポーツなどのための1泊以上の旅行。この項では,以下同じ)に対する満足度,国内旅行に行かなかった理由,国内旅行に対する意欲等は次のようになっている。
1)国内旅行に対する満足度
この1年くらいの間,国内旅行に行ったと回答した者は54.1%である。他方,満足した国内旅行を行ったと回答した者が51.4%であったことから,国内旅行をした者のうちおよそ95%の者が,その旅行を総体として「満足した」ものと推計できる(表1-1-16)。
表1-1-16 最近の国内旅行の満足度
一方,最近の国内旅行時の不満点を尋ねたところ,「人が多く混雑していた」を挙げた者が16.5%と最も多く,次いで,「目的地に到着するまでに時間がかかった(交通渋滞,事故等)」と「ゴミが散乱するなど汚かった」がともに12.8%。以下,「目的地での飲食・土産品代等が高い」12.3%,「交通費が高すぎた」11.7%,「宿泊費が高すぎた」9.6%と続いた。「不満に思ったことはない」とする回答は35.2%で,前回調査時(11年8月。32.4%)より,2.8ポイント増加した(表1-1-17)。
表1-1-17 最近の国内旅行時の不満点
2)国内旅行に行かなかった理由
最近国内旅行に行かなかった者にその理由を尋ねたところ,「金銭的に余裕がないから」を挙げた者が34.3%と最も多く,次いで,「連続して休めないから」が29.2%であり,経済的理由と時間的理由が2大理由であることがうかがえる(図1-1-18)。
図1-1-18 国内旅行に行かなかった理由
3)国内旅行,海外旅行への意欲
今後の国内旅行・海外旅行への意欲を尋ねたところ,「国内旅行はしたいが,海外旅行はしたいとは思わない」とする者が38.5%,「国内旅行も海外旅行もしたい」が35.9%,「国内旅行も海外旅行もしたいとは思わない」が18.7%,「海外旅行はしたいが,国内旅行はしたいとは思わない」が1.6%であった。
年齢別にみると,20~29歳の若い世代で「国内旅行も海外旅行もしたいとは思わない」が9.3%と最も少なく,旅行意欲が高いことが分かると同時に「海外旅行はしたいが,国内旅行はしたいとは思わない」と「国内旅行も海外旅行もしたい」の合計が58.9%と過半数を超え最も多く,海外旅行への志向が高いことがうかがえる(表1-1-19)。
表1-1-19 今後の国内旅行・海外旅行への意欲
毎年行われている内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成15年6月)によると,国民の旅行を含む「レジャー・余暇生活」に対する満足度は56.8%で,男女とも「満足」とする者が半数を超えているが,前年調査よりその割合は低くなっている。性・年齢別に見ると,女性の方がわずかに満足度が高く,比較的満たされていることがうかがえる。また,男女とも20歳代が最も満足度が高くなっている(表1-1-20)。
表1-1-20 現在の生活に対する満足度-レジャー・余暇生活-
また,国民が今後の生活で特に重点をおきたい分野としては,「レジャー・余暇生活」を挙げる者が前年よりわずかに減少しているものの35.5%おり,「所得・収入」「食生活」などを抑えて最も高い。性・年齢別に見ると,男性(38.9%)が女性(32.6%)より高く,年齢別では,男性では40歳代(41.4%),60歳代(41.4%),女性では20歳代(37.3%),50歳代(37.2%)が高くなっている(図1-1-21,図1-1-22)。
図1-1-21 今後の生活の力点
図1-1-22 今後の生活の力点(推移)
(財)社会経済生産性本部の調査によれば,国民の余暇活動の潜在需要を参加希望率から実際の参加率を引いた数値で見てみると,第1位は性・年齢を問わず「海外旅行」が最も高く,第2位が「国内観光旅行(避暑,避寒,温泉など)」となっている。このように,観光旅行に対する潜在需要は多様な余暇活動のなかで依然として高いことがうかがえる(図1-1-23)。
図1-1-23 余暇活動の潜在需要
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