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平成15年度観光の状況に関する年次報告

第1章 観光の現状

第2節 外国人の訪日観光の動向

1 外国人訪日観光の動向



  (1) 訪日外国人旅行者数

平成15年の訪日外国人旅行者数は,前年に比べて0.5%,2万7千人減の521万人であった。なお,年度でみると,15年度は約534万人であり,14年度と比べると0.5%の増加である(過去からの推移は,図1-1-5参照)。
月別に見ると,4月以降前年比で大幅な減少がみられたのはSARSの影響と考えられ,特に5月は34.2%もの減少であったが,8月は大幅な増加に転じ,単月で過去最高の55万人を記録した。9月以後も前年を大きく上回っており,暦年でみると,ワールドカップサッカー大会が開催され史上最高であった前年にほぼ匹敵し,年度ではやや上回る結果となった(図1-2-1)

図1-2-1 訪日外国人旅行者数の月別推移(平成15年1月~平成16年3月)



外国人旅行者受け入れ数の国際ランキングを国際比較できる平成14年でみてみると,日本の524万人は世界で33位であり,アジアの中でも8位と,中国,マレーシア,タイ,シンガポール,韓国といった国々の後塵を拝している(図1-2-2,図1-2-3)。

図1-2-2 外国人旅行者受入数




図1-2-3 外国人旅行者受入れアジアランキングの推移



訪日外国人旅行者の目的を平成15年の一時上陸客を除いた滞在者507万人についてみてみると,観光目的は対前年比1.3%減の306万人,業務その他の目的が前年並みで201万人であり,訪日外国人全体に占める比率は,それぞれ58.6%,38.6%となった。このことから,SARSの影響は観光を目的とする旅行により大きく出たと考えられる(表1-2-4)

表1-2-4 目的別訪日外国人旅行者数の推移




  (2) 訪日外国人旅行者の国籍

平成15年の国籍別訪日外国人旅行者数は,全般的に伸び悩む中,韓国が14.7%増の146万人と順調な伸びを維持し,5年連続で首位となった。以下,台湾79万人(10.5%減),アメリカ66万人(10.4%減),中国45万人(0.8%減),香港26万人(10.5%減)の順となっており,大幅な減少を示した国・地域も多いが,上位5位の順位には変動が無かった(表1-2-5,図1-2-6)。

表1-2-5 州別,国・地域別訪日外国人旅行者数の推移




図1-2-6 上位10カ国地域からの訪日外国人旅行者数の推移



地域別では,アジアが351万人で全体の67.4%を占め,次いで北アメリカ80万人(同15.3%),ヨーロッパが65万人(同12.4%),オセアニアが21万人(同4.0%)の順となっている(図1-2-7)
平成15年の対前年同月比の月別推移を上位5カ国・地域についてみると,SARSの影響を受けてどの国・地域も4月,5月を中心にマイナスとなったが,韓国は6月には対前年同月比20%以上の増加を示すなど急速な回復を見せた。これは,韓国との文化交流が進展していることがベースにあるのに加え,日本がSARS感染地域ではなかったことからSARS感染地域の代替旅行先として選択されたものと考えられる(図1-2-8)

図1-2-7 州別,国・地域別訪日外国人旅行者の割合(平成15年)




図1-2-8 国別外国人旅行者の対前年同月比の推移(平成15年)




  (3) 外国人の訪日旅行の状況

訪日外国人旅行者の滞在期間については,平成15年は前年に比べて5日以内の比率が若干高まり,65.5%となった。一方,10日以内の比率については,前年に比べ2.2ポイント減少し,19.0%となった(図1-2-9)

図1-2-9 訪日外国人旅行者の滞在期間比率推移



また,国際観光振興機構が平成14年~15年にかけて行った「訪日外国人旅行者調査」(注)によると,訪日外国人旅行者の日本での行動の状況は以下の通りである。
1)訪問先
外国人の都道府県別訪問率についてみると,1位が東京都(52.7%)で半分以上の外国人が訪れている。以下,大阪府(27.8%),神奈川県(15.6%),京都府(14.7%),千葉県(13.2%)の順となっており,これら上位都府県の顔ぶれはここ数年定着している(表1-2-10)
旅行者の居住地別にみると,韓国居住者は全国平均に比べ大阪,福岡への訪問率が高い,台湾,香港居住者は北海道への訪問率が高いなどの特徴がみられる。
2)訪日目的
訪日目的は観光・休暇(38.5%),業務(31.7%),友人・親族訪問(8.3%)の順となっている。これも居住地別により差異がみられ,米国,ヨーロッパ居住者は,業務が4割を超えるが,香港,台湾居住者は観光・休暇が7割を超える。
3)旅行形態
北米やヨーロッパ居住者では個人旅行が8割前後を占める。アジア諸国も個人旅行が過半数を占めるが,団体旅行利用も4割を超え,うち,パッケージツアー利用は,3割を占める(図1-2-11)

表1-2-10 訪問率上位都道府県の推移




図1-2-11 国籍別旅行形態比率




(注) 
 標本数は,7,602。調査時期は2002年8月,11月,2003年2月。調査対象は日本旅行を終え,新千歳,成田,名古屋,関西,福岡,那覇の各国際空港から出国しようとしている滞在期間が2日以上,6ヶ月以内の外国人旅行者を対象としている。

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