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平成15年度観光の状況に関する年次報告

第2章 観光立国、この1年の動き

第3節 観光立国に向けた地域の動き

3 アンケート調査にみる観光関連NPO法人の活動と課題


1及び2でみたように,観光立国に向けた地域の動きが活発になっているが,これを先導している主体の一つがNPOである。そこで,国土交通省観光部では,平成16年2月,観光関連の活動を行っているNPO法人(特定非営利活動法人)に対し,活動の現状や行政との関係,課題等についてアンケート調査を行った。以下にその結果の概要を示す。
なお,アンケート調査は,全国のNPO法人の活動の目的に関するインターネット情報をもとに,観光に関連した活動を行っている可能性があると思われる5千のNPO法人を抽出のうえ調査票を送付し,下記の図2-3-2の選択肢にある活動(以下,「観光関連活動」と呼ぶ)を1つ以上行っている,または今後行おうと考えているNPO法人に回答,返送してもらった。結果として,524のNPO法人から回答があった。

  (1) NPO法人の観光関連活動

現在観光関連活動を行っているNPO法人は472法人,今後行おうと考えているのは52法人であった。
現在観光関連活動を行っている472法人の現在行っている観光関連活動の活動分野は(複数回答),「交流・体験の企画・実施」「自然環境,風景の保護・保全」で約半数以上となり,多くのNPO法人で取組まれていることが分かる。しかしそれ以外の活動でも多くのNPO法人で取組まれており,1法人で平均4程度の活動をしている計算になる(図2-3-2)。また,活動範囲であるが,現在は近隣市町村までの範囲にとどまっている法人が7割近くある(図2-3-3)
今後の活動範囲について,524法人からの回答を見ると都道府県,あるいはそれを超える広域に広げていきたい法人が5割近くあることが分かり,今後の展開が期待される(図2-3-4)

図2-3-2 現在の観光関連活動の活動分野(収益事業と非収益事業を合わせた活動状況)




図2-3-3 活動場所の範囲(現在)




図2-3-4 活動場所の範囲(今後)




  (2) 観光関連活動を活発にするための問題点・課題

観光関連活動をより活発にするための問題点・課題を尋ねたところ,「活動資金の充実」が最も多く,7割近くの法人で回答があった。次いで「活動への参加者・利用者の増加」が約5割あり,資金と人が活動の活発化には不可欠であることが分かる。また,「行政の理解・協力」も約4割を超え,この点も重要であることが分かる。

図2-3-5 活発にするための問題点・課題




  (3) 行政との関係

行政との関係の有無を尋ねたところ,現在行政と「関係がある」と答えたNPO法人が約6.5割,「現在は関係ないが,今後,関係したい」と答えたNPO法人が約3割あり,ほとんどのNPO法人が行政との関係をすでに持っているか,これから持ちたいと考えていることになる。
行政との関係の内容であるが,まず現在の内容としては,金銭的な支援を行政機関から受けているNPO法人が約半数いる一方,行政機関が実施する事業の支援をしているNPO法人もほぼ同数ある。このほか,物的な支援を受けたりノウハウ等の支援を受けているNPO法人がある一方で,逆に情報・ノウハウを行政に提供しているNPO法人も3分の1を超え,総体としてみれば行政とNPO法人とが相互補完関係にあると言える。
行政との関係で充実する必要がある内容も,金銭的,物的な支援等を受けたいとするNPO法人が多いが,相互の人事交流を望んだり,行政を支援したいというNPO法人も3分の1程度みられ,今後も相互協力関係を望んでいることが伺える。
しかし,一方で,行政との関係の問題点・課題を尋ねると,「行政の理解・協力が十分でない」という回答が半数を超え,「行政との役割分担が出来ていない」も多く,行政とNPO法人との対話の必要性が感じられる。また,「行政からの指導や規制が多い」という回答も3割近くみられる。
先にみたように,にぎわいのある観光地となった背景にNPO法人の活発な活動がある場合がある。行政機関は,今一度NPO法人と対話し,その活動を見直し,評価しながら,良好なパートナーシップを築いていく必要があるものと思われる。

図2-3-6 行政との関係の有無




図2-3-7 行政との関係の内容(現在)




図2-3-8 行政との関係の内容(充実の必要)




図2-3-9 行政との関係の問題点・課題



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