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平成15年度観光の状況に関する年次報告

第5章 観光交流空間の形成

第3節 文化財及び歴史的風土の保存と活用


地域のみならず国の歴史・文化として重要な文化財や歴史的風土については,その保存についても慎重さが求められるものであるとともに,一級の観光資源としての活用が求められることから,さまざまな施策が講じられている。そこで,これについて講じた施策について記述する。
1)文化財の保護
施策概要
「文化財保護法」に基づき,建造物,絵画,彫刻などの有形文化財を国宝・重要文化財に,演劇,音楽,工芸技術などの無形文化財を重要無形文化財に,農具や漁猟用具,祭りや民俗芸能などの民俗文化財を重要有形・無形民俗文化財に,遺跡,名勝地,動植物などを史跡・名勝・天然記念物に指定し,歴史的な集落・街並みを重要伝統的建造物群保存地区として選定するなどして,その適切な保存・活用を図っている。重要無形文化財の指定に当たっては,併せて保持者,保持団体を認定している(表5-3-1)
国立博物館等における公開に加え,公私立の歴史的民俗資料館等において地域の民俗文化財等の保存・活用を図っているほか,史跡や歴史的建造物等の整備・活用事業を推進している。

表5-3-1 文化財指定等の件数



2)歴史的風土の保存
施策概要
■大津市の古都指定
滋賀県大津市については,近江大津宮時代の史跡や古代・中世の仏教文化を支えた社寺仏閣など,史実に基づいた歴史上重要な文化的資産が集積するとともに,これらが広範囲の豊かな自然的環境と一体をなして,貴重な歴史的風土を形成していることから,社会資本整備審議会の審議・答申等を経て,平成15年10月10日,「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づく古都に指定した。
■歴史的風土特別保存地区
京都市,奈良市,鎌倉市等の古都における歴史的風土を保存するため,「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」に基づき,歴史的風土保存区域(平成15年3月末現在27地区15,526ha)が指定されており,特に枢要な部分については,歴史的風土特別保存地区として都市計画に定められている(平成15年3月末現在51地区5,920ha)。
また,奈良県高市郡明日香村においては,「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に基づき,明日香村の全域が第1種歴史的風土保存地区(126ha)及び第2種歴史的風土保存地区(2,278ha)として都市計画に定められている。
これらの地域においては,宅地の造成等の行為を規制するとともに,古都保存統合補助事業の実施により,地方公共団体による土地の買入れや歴史的風土保存のための施設整備を支援した。
■飛鳥地方における歴史的風土の保存
1)明日香村特別措置法に基づく施策
「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」に基づき,財政上の特別助成措置を講ずるとともに,「明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する計画」(計画期間は12年度から21年度まで)に基づき,引き続き道路,河川,下水道等の整備事業を推進した。
明日香村整備基金の運用益等により,歴史的風土の保存を図るために行われる各種事業を推進した。また,明日香村歴史的風土創造的活用事業交付金により,歴史的風土の創造的活用により,学び,体験し,実感できる歴史文化学習の場としての整備を推進した。
2)国営飛鳥歴史公園の整備・管理
飛鳥地方の歴史的風土と一体となった景観保全に努めつつ,広く国民が利用できる場としての活用を図るため,祝戸,石舞台,甘樫丘,高松塚周辺の4地区において,適切な整備及び維持管理を推進した。また,飛鳥の枢要な文化財であるキトラ古墳周辺地区については,引き続き整備を推進した。
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