平成15年度観光の状況に関する年次報告
第5章 観光交流空間の形成
第4節 世界遺産の保存と活用
人類全体のための世界の遺産として登録された文化遺産・自然遺産は,これを将来の世代へと伝えるための維持・保存が求められる一方,国内のみならず海外の旅行者にとっても著名な観光資源となっている。そこで,これについて講じた施策について記述する。
施策概要
■世界遺産条約の目的と概要
世界遺産条約(「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)は,世界の貴重な文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として国際的な協力のもとで損傷・破壊等の脅威から保護・保存することを目的としており,1972年の第17回ユネスコ総会で採択された。我が国は,1992年に同条約を締結し,2003年11月現在,締約国数は177か国に上る。我が国では,11件の遺産(文化遺産9件,自然遺産2件)が登録され,世界遺産全登録件数は754件(文化遺産582件,自然遺産149件,両方に該当するもの23件)となっている。
各締約国は自国内の遺産を保護し,将来の世代へ伝える義務を有する。また,危険にさらされている世界遺産一覧表に記載された世界遺産等に対しては,世界遺産基金により,保護等に関する研究,専門家・技術者等の派遣及び養成,資金の貸付け,機材の供与等の援助が行われている。
■日本の世界遺産の状況
平成15年3月末現在,我が国の文化遺産としては,9件が世界遺産に登録されている(表5-4-1)。
自然遺産としては,「屋久島」,「白神山地」の2件が登録されており,これらについては,管理計画に基づき,入山者の増加に対応した保全対策を実施する等適切な保護・管理を行った。また,それぞれの世界遺産センターにおいて,遺産地域の管理,調査研究を行うとともに,普及啓発等を実施した。
表5-4-1 世界遺産一覧表に記載された日本の文化遺産
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