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平成16年度 観光の状況に関する年次報告

第5章 観光交流空間の形成

第2節 自然環境の保全と観光への活用

2 森林等の保全管理と観光への活用



  (1) 森林の保全管理

森林の有する公益的機能を特に発揮させる必要のある森林については、「森林法」に基づいて保安林に指定し、立木の伐採、土地の形質の変更等一定行為について制限を課すなどのほか、周辺の景観に配慮しつつ、荒廃地等の復旧整備、機能の低位な森林の整備を計画的に実施した。また、景観の悪化を防ぐため、松くい虫をはじめとする森林病害虫等の被害対策を実施した。
さらに、全国山火事予防運動等林野火災未然防止のための普及啓発活動の実施、林野火災等各種森林被害の未然防止・早期発見のためのパトロール体制の整備等を推進した。
1)国土緑化意識の醸成
多面的機能を有する森林の整備・保全を社会全体で支えるという国民意識の醸成・高揚を図るため、全国植樹祭、全国育樹祭等の開催、森林ボランティアなどの広範な国民による自発的な森林づくり活動や巨樹・巨木や里山林等の適切な保全・管理のために必要な技術開発等を促進したほか、「みどり週間(4月23日~29日)」を中心とした各種緑化キャンペーン等を全国的に展開した。

  (2) 国有林野の保全管理

国有林野においては、1)特に自然環境が優れ、保健・文化・教育的利用に供することが適当な地域を自然休養林、自然観察教育林等のレクリエーションの森として選定するとともに、2)優れた自然環境を有する天然林等の保護を適切に図るため、保護林の適切な管理に努め、その拡充を図った。さらに、保護林と保護林を結ぶ緑の回廊を設定し、より広範で効果的な森林生態系のネットワークの確保に努めた。
また、世界遺産条約に基づく自然遺産(屋久島及び白神山地)の保全及び文化遺産と一体的な景観をなす森林の景観の回復を図るための施策を行ったほか、国有林野内に生息又は生育する国内希少野生動植物種の保護を行うとともに、森林生態系の保全・再生が必要な箇所における植生の回復やNPO等と連携して自然再生を図る事業を行った。
さらに大雪山忠別川源流部森林生態系保護地域において、森林の仕組み・働きと森林との接し方を学ぶ場の整備等を行った。
このほか、林野火災等の森林被害の防止のため、森林レクリエーション利用の多い地域を重点的に巡視し、入山者に対する指導及び林野火災予防のための広報活動を行い、また、森林病害虫等の適切な防除を実施する等森林の保全管理の強化を図った。

  (3) 森林等の観光への活用

1)森林環境教育活動
子どもたちの体験活動の場となる森林や施設、指導者の募集・登録と関連情報の一体的提供、学校林の整備・活用や都市部の子どもたちを対象とした山村滞在型の森林・林業体験交流活動等を推進した。
2)里山林等における多様な利用活動の促進
森林所有者とNPO等の利用者との里山利用協定等の締結、都市が山村で行う「ふるさと共生の森」の設定等森林と人との共生林の整備に向けた整備構想の策定、市民参加に関する協定等条件整備のほか、里山林等を活用した健康づくりを行う「健康と癒しの森」推進モデル事業を実施した。
3)森の子くらぶ活動推進プロジェクト
子どもたちの入門的な森林体験活動を促進する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を実施するとともに、その受入体制の整備を推進した。
4)森林空間の整備
森林環境教育、健康づくり等の森林利用に対応した多様な森林の整備を推進するため、平成16年度においては、教育関連施設・健康増進施設等と連携を図った森林整備を行う森林空間総合整備事業を26地区で実施した。
5)教育のもり整備
子どもたちの森林体験活動や林業体験学習の場等となる森林・施設の整備を19地域において実施した。
6)保健保安林・風致保安林における整備
都市近郊等にあって特に風景等が優れ、自然探勝、ハイキング、キャンプ等の森林リクリエーション利用に供すること等を目的とする森林については保健保安林として、名勝、旧跡の風致の保存を目的とする森林については風致保安林として、平成16年3月末現在、合わせて71万haを指定している。平成16年度においては、森林の造成、改良等の整備を行う共生保安林整備事業を99地区で実施し、また、指導案内図板、説明指導板、森林観察歩道、防護柵等の整備を行う保安林施設整備事業を14箇所で実施した。
7)レクリエーションの森等の整備
国有林野において、人と森林とのふれあいの場を提供するため、「レクリエーションの森」として自然休養林、野外スポーツ地域、自然観察教育林等を1,251箇所約41万ha選定し、民間活力を生かしつつ、休養施設、スポーツ施設、教養文化施設等の整備を推進した。
国民による自主的な森林づくり活動の場としての「ふれあいの森」や伝統文化の継承等に貢献する「木の文化を支える森づくり」、学校等による体験活動・学習活動の場を提供する「遊々の森」の設定・活用を推進した。
次世代へ残すべき遺産として選定した国有林野内の代表的な巨樹・巨木(「森の巨人たち百選」)の保護を図るための地域の取組に対する支援を行った。
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