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平成16年度 観光の状況に関する年次報告

第5章 観光交流空間の形成

第2節 自然環境の保全と観光への活用

3 河川・湖沼・山地流域の保全と観光への活用



  (1) 河川・湖沼・山地流域の保全

河川や湖沼は、多くの貴重な生態系を維持し、観光、保養及びレクリエーション等の重要な資源となっており、「水質汚濁防止法」に基づく排水規制等水環境の保全のための対策に取り組んだ。
特に、湖沼や都市内中小河川等の汚濁の大きな要因となっている生活排水の問題については、「水質汚濁防止法」に基づき、都道府県知事が生活排水対策重点地域の指定、重点地域の市町村が生活排水対策推進計画の策定・推進を行っている。
また、全国の湖沼を対象に、富栄養化の防止のため、「水質汚濁防止法」に基づく窒素・燐の排水規制を実施するとともに、利水目的に応じた環境基準を設定して水質改善対策の実施を図った。
さらに、自然材料活用による水路の修復等による水辺空間の再生、生活排水等による汚濁が著しい水路の水質改善、汚濁した底泥の浚渫や浄化用水の導入、地下水かん養施設等による水循環再生のための良好な水辺空間創出事業、公共用水域の水質改善のため下水道の普及、高度処理の推進、合流式下水道の改善を実施した。
また、緊急に水環境の改善を図る必要のある河川等においては、河川事業・下水道事業を連携して重点的に行う「清流ルネッサンスII」を実施した。
山地流域の個々の特色を生かしつつ、崩壊地に植生を回復させるため、NPO等と連携して山腹工、砂防樹林帯等の周辺環境に配慮した砂防事業を実施した。

  (2) 河川・湖沼・山地流域の観光への活用

1)良好な水辺空間の形成
地域の創意・工夫を尊重し、良好な水辺空間の形成を推進する治水事業としてふるさとの川整備事業や、桜づつみモデル事業を実施した。
また、水害に強く良好な水辺環境の創出に寄与するスーパー堤防を荒川の小松川地区等で実施した。
さらに、多自然型川づくり、マイタウン・マイリバー整備事業、河川環境整備事業、水と緑のネットワーク、水環境対策ダム事業を推進した。

河川環境整備事業(水辺をいかしたまちづくりを推進 道頓堀川(大阪市))



2)親水空間等の整備
農業水利施設の有する水辺空間等を活用し、都市住民にも開かれた豊かで潤いのある快適な水辺景観の創出による農村の活性化を図るため、親水空間の整備や地域用水環境整備事業を実施した。
3)リバーツーリズム
近年、カヌーやラフティングをはじめとした水面利用や川での自然体験活動が活発化、多様化していることを踏まえ、全国の川で活動する市民団体等で構成される「川に学ぶ体験活動協議会(RAC)」と連携し、川で安全に活動するための指導者、リバーガイドの育成を推進した。
4)「子どもの水辺」再発見プロジェクト
地域の身近な水辺における環境学習・自然体験活動を推進するため、市民団体や教育関係者、河川管理者等が一体となって取り組む体制の整備を進めるとともに、「子どもの水辺サポートセンター」を活用し、水辺での活動に必要な機材の貸出しや学習プログラムの紹介等を総合的に支援した。また、自然体験活動を安全かつ充実したものとするために必要な場合において、水辺に近づきやすくする河岸の整備等を推進しており、これまでに232箇所が登録された(平成15年度は12箇所が登録)。
5)河川周辺レクリエーションを促進する事業
河川の高水敷等を公園、緑地、運動場等に利用するための諸施設の整備等を河川環境整備事業等により行った。また、カヌーポート等の整備により、水辺での活動を促進し、親水レクリエーションの促進を図った。
6)山地渓流レクリエーションを促進する事業
自然環境との調和を図りながら緑と水辺の空間を確保し、快適な生活環境の整備を行うため、野外活動拠点整備と一体となった渓流整備や良好な渓流環境の再生を砂防環境整備事業により実施した。
7)ダム周辺レクリエーションを推進する事業
ダムを生かした水源地域の自立的、継続的な活性化を図るための「水源地域ビジョン」の策定に、新たに9ダムが着手し、現在、99ダムで取り組んでいる。また、ダム湖活用環境整備事業を弥栄、下久保ダム等継続7ダムで実施した。
また、常時一定水位で利用可能な水面を創出するレクリエーション湖面整備ダム事業を浄土寺川・浄土寺ダムにおいて実施するとともに、地方公共団体等が事業主体となるレストラン・キャンプ場等、ダム堤体や貯水池を利用したレクリエーション事業と一体となったレクリエーション多目的事業を新湊川・石井ダム等3ダムにおいて実施した。
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