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平成18年度観光の状況

第II部 平成18年度の観光の状況及び施策

第2章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

第1節 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成



  1 観光地の特性を生かした良質なサービスの提供の確保


  (1) 観光ルネサンス事業の推進

観光立国を目指すに当たっては、ビジット・ジャパン・キャンペーンによる情報発信を行うことと併せて、各地域の住民が主体となって地域の自然、歴史や文化等の特色や魅力を生かし、地元の自治体や観光関係者等とも広く連携しながら、積極的に観光地づくりを進めていくことが重要である。
そこで、外国人受入環境整備事業や人材育成事業等、地域の民間組織による知恵と工夫に富んだ観光地づくりの取組を支援する「観光ルネサンス補助制度」と、市町村が行うまちづくり交付金等による事業との連携により、国際競争力の高い魅力ある観光地づくりを推進している。「観光ルネサンス補助制度」では、平成18年度は新規に8件を選定した(平成17年度からの継続案件は11件)。
また、地域の幅広い関係者が一体となって取り組む観光を軸とした地域づくりの立ち上げ段階を支援する「観光地域づくり実践プラン」についても、平成18年度に新たに4地域を選定している(合計で37地域、図II-2-1-1)。

  (2) 地域観光マーケティング活動の促進

旅行者ニーズの多様化を踏まえ、地域固有の資源を活用した魅力ある旅行商品の創出・流通により、新たな旅行需要の創出と地域の活性化を図る観点から、地域の観光魅力を熟知した地元の観光関係者と旅行会社の連携・協働を促進するための施策を開始した。具体的には、地方ブロックごとに観光カリスマや学識経験者、旅行会社等からなる「観光まちづくりアドバイザリー会議」を立ち上げ、地域の要請に応じて観光まちづくりに関するアドバイスを行うとともに、各地方ブロックごとに1から3地域を選定して集中的な支援を行う観光まちづくりコンサルティング事業を実施した(図II-2-1-2)。

  (3) サービス産業創出支援事業の実施

地域の観光・集客サービス産業において、観光ニーズや地域の観光資源の特性を踏まえて新サービスを提供する先導的な取組を支援するため、「サービス産業創出支援事業」を実施しており、平成18年度は、全国から提案を公募し、応募のあった125件の中から18件を事業化支援プロジェクトとして選定した。
さらに、地域が持つ観光資源を核とした地域の取組からその成功・失敗要因を抽出・類型化し、全国各地の観光・集客サービス産業の成功率向上につなげるため、全国約100地域を対象に調査を実施した。
また、我が国への外客誘致を行う上で、特に、外国人富裕層(ラグジュアリー層)をターゲットとして誘致するビジネスモデルを構築するため、このようなラグジュアリー層の訪日ニーズ、今後の日本のプロモーション活動の在り方及び受入体制の在り方を検討するための調査を実施した。

図II-2-1-1 観光ルネサンス補助制度・観光地域づくり実践プラン選定地域




図II-2-1-2 観光まちづくりコンサルティング事業の全体概要




  2 旅行関連施設及び公共施設の整備


  (1) 観光地の魅力の演出

1)良好な街並みの形成
良好な都市景観の形成を図り地域特性を生かしたまちづくりを進めるため、景観行政団体による景観法に基づいた景観計画の策定を進めるとともに、風致地区等の地域地区、地区計画及び新たに設けられた景観地区等都市計画手法の活用を推進した。また、景観上重要な建造物を景観重要建造物として指定し、積極的な保全を図る取組の支援を行った。
地域の創意工夫を生かしたまちづくりを推進するため、まちづくり交付金の活用により、観光振興や観光交流促進等のまちづくりの目標に沿ったハード事業(観光交流センター、情報板の整備等)からソフト事業(観光パンフレット作成、ライトアップ事業等)まで幅広い事業を支援した。
山麓斜面に市街地が接している都市において、景観に配慮した砂防関係施設等の整備を実施するとともに、土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観を保全・創出する事業を実施した。
2)良好な農山漁村空間の形成
多様な主体の参画による美しい村づくりや地域の創造力を生かした村づくりを推進するため、農業生産基盤の整備と併せた農村の生活環境の総合的な整備等により、美しい農村の形成を支援した。
また、農村の豊かな自然、美しい景観、伝統文化等を再評価し、農村の活性化に資する伝統的農業施設や景観等の保全・活用等に配慮した整備を実施し、魅力ある田園空間づくりを行った。
漁村では、海辺の自然環境や美しい漁村景観、伝統的な漁業関連施設の保全、復元等を総合的に行い、漁村空間の形成を推進した。
3)良好な道路空間の形成
無電柱化や道路の緑化、景観に配慮した防護柵や道路構造物の整備等を推進し、地域の自然や歴史・文化を生かした道路空間を創出するなど、緑豊かで安らぎと潤いのある道路景観整備の推進を図った。
また、各地域が主体的に実施する観光を生かした地域づくりを支援するため、道路空間の有効活用等の社会実験を全国41箇所で推進した。
さらに、都市や地域の顔となる街路を地域社会の象徴として整備する「シンボルロード整備事業」を郡山駅庚坦原線(福島県郡山市)等で、歴史的環境等と調和した地区レベルの街路を面的に整備する「身近なまちづくり支援街路事業」を姫路城周辺地区(兵庫県姫路市)等でそれぞれ推進した。
  コラム 高速道路会社における新たな利用者サービス  

道路関係四公団民営化により設立された新会社による高速道路事業が平成17年10月1日よりスタートした。SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)事業をはじめ、各社では民間企業の経営手腕を最大限に発揮し、収益を確保しつつ利用者サービスの向上策に取り組んでいる。特に、観光客等の利用者への情報提供に力を入れており、以下のとおり実施している。



4)良好な砂防空間の形成
登録有形文化財や登録記念物に登録されている歴史的価値を有する砂防関係施設について、「歴史的砂防施設の保存活用ガイドライン」に基づき、文化財に相応しい適切な維持 管理、周辺の一体的整備等を実施し、豊かな自然環境と地域を守り続けてきた歴史的価値を有する砂防関係施設を核とした地域活性化を推進した。
また、砂防関係事業における景観形成の基本的な考え方、砂防関係事業を進める上で必要な景観形成における配慮事項について取りまとめた「砂防関係事業における景観形成ガイドライン」を策定した。

▲歴史的砂防設備の保存・利活用 (アカタン砂防えん堤:福井県九頭竜川水系赤谷川)




▲歴史的砂防設備の保存・利活用(大源太砂防えん堤:新潟県湯沢町信濃川水系魚野川)




  (2) 無電柱化の推進

都市景観や防災性の向上、安全で快適な通行空間の確保、歴史的街並みの保全等を図るため、「無電柱化推進計画」(平成16年~平成20年)に基づき、幹線道路に加えて、主要な非幹線道路を含めた面的な無電柱化を推進した。
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