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平成18年度観光の状況

第II部 平成18年度の観光の状況及び施策

第3章 観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成

第2節 観光の振興に寄与する人材の育成



  1 観光地及び観光産業の国際競争力の強化に資する高等教育の充実


  (1) 高等教育機関における人材育成

1)観光関連学部・学科を持つ大学の学部・学科の現況
平成18年度においては、高崎経済大学、城西国際大学、立教大学、帝京大学、松本大学、西南女学院大学の6大学で観光関連学部・学科が設置された。
これに伴い、平成18年度の大学における観光関連学部・学科の入学定員は合計3,000人(5学部28学科)となり、最近5年間では1,095人(11学科)増加している。
2)産学官連携方策の推進
観光分野における国際競争力を向上させるとともに観光による地域振興を図るためには、観光関連産業に従事する人材の確保、育成が喫緊の課題となっており、観光立国推進戦略会議報告書にも「観光関連産業は(中略)大学等と連携することにより、大学における観光関連の教育・研究を充実させる」との提言があり、学生段階からの人材育成の重要性が高まっている。
よって、観光関連学部・学科等を設置する大学における人材育成のためには、産学官が連携・協力していく体制づくりが重要であることから、観光関係業界、大学、省庁で構成する「観光関係人材育成のための産学官連携検討会議」を開催し、観光分野の人材育成に関する情報の共有化及び今後の産学官連携方策についての検討を行った。
3)観光政策に関する講座の提供
平成18年度(前期)に東京大学経済学部にて「観光産業と観光政策」の講座を開設し、観光関連産業や公的セクターの現状・取組に関する講義を行うとともに、観光関連産業に関する将来に向けた視座を提供した。
4)産業界の動き
(社)日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)は、ツーリズム産業に対する学生の興味と関心を喚起し、一人でも多く、この分野が望む優秀な人材に育つための基礎を作るため、平成18年度(前期)に一橋大学商学部にて「ツーリズム産業論」の寄附講座を開設した。また、観光に関心の高い学生を主な対象として、ツーリズム産業の今後の発展を展望するとともに、その重要性、魅力について理解を深めるため、オープンセミナーを開催した。

  2 観光事業に従事する者の知識及び能力の向上


  (1) 観光を担う人材育成への取組

1)旅行業における人材育成の促進
旅行の魅力向上に大きな役割を果たすツアー・コンダクターの意欲の向上等を図るため、(社)日本添乗サービス協会による表彰制度(ツアー・コンダクター・オブ・ザ・イヤー)の創設を支援した。
2)観光カリスマ百選の選定と観光カリスマ塾の実施
従来型の個性のない観光地が低迷する中、各観光地の魅力を高めるためには、観光振興を成功に導いた人々の類まれな努力に学ぶことが極めて効果が高く、各地で観光振興の核となる人を育てていくため、その先達となる人々を「観光カリスマ」として選定し、国土交通省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/charisma.html)に掲載するなどして公表している。
「観光カリスマ」は全国各地で住民と一緒になって、隠れた観光資源を掘り起こし、その魅力を発信しており、地域や街が知恵と工夫を凝らして、住民が誇りを持ち、外部の人からも訪れたいと思われる場所に変わろうと奮闘している。
また、平成18年度も引き続き、「観光カリスマ」を講師として迎え、その成功手法の伝授、活動の現場体験、受講生によるワークショップ等をセミナー形式で集中的に行い、次世代の地域の観光振興を担う人材育成を目指す「観光カリスマ塾」を各地で開催した。
全国の自治体職員や観光関係者等が受講生となり、受講生同士の情報交換の場として活用された。
3)観光経営人材の育成
観光分野における国際競争力を向上させるとともに観光による地域振興を図るためには、国際競争力を備えた観光関連産業の経営を担う人材、さらには魅力ある観光地づくりをマネジメントする人材の育成が重要である。
このため、学識経験者や観光関連産業の実務家等で構成する「観光マネジメント高度化のための人材育成検討会」を開催し、観光立国を担う人材の育成の在り方について検討を行った。
観光プランニングに必要な経営技術とサービス実務双方に精通した専門人材として、事業経営人材と地域経営人材の2つの人材の育成に向け、「観光・集客交流経営人材育成事業」として、それぞれの人材ごとに、人材像の明確化及び育成プログラムの具体化に係る検討を進めた。

  (2) 訪日外国人旅行環境整備事業の実施

1)観光関係従事者の人材育成等
訪日外国人旅行者の滞在中の利便性の向上や旅行環境の整備を図るため、平成18年12月から平成19年3月にかけて、訪日外国人旅行者の受入れに熱心な全国13地域において、観光案内所の職員をはじめとする観光関係従事者や観光ボランティア等を対象とした研修を実施し、訪日外国人対応レベルの向上を図るとともに、多言語で標準的な対応が可能となるよう、訪日外国人旅行者のニーズや接遇方法等を取り入れたマニュアルを作成した。

▲訪日外国人受入接遇研修会風景(鹿児島県屋久島)




  3 地域の固有の文化、歴史等に関する知識の普及の促進


  (1) ご当地検定の実施

特定の地域における歴史、文化等の知識に関する試験を行う、いわゆる「ご当地検定」は、地域住民等の知識の習得を促し、ホスピタリティーの向上と共に観光振興・活性化につながることから、観光に関する「ご当地検定」の普及促進のため、各地方運輸局が後援等により支援を行った。
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