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平成18年度観光の状況

第II部 平成18年度の観光の状況及び施策

第5章 観光旅行の促進のための環境の整備

第5節 新たな観光旅行の分野の開拓



  1 多様な観光旅行の形態の普及


  (1) 長期滞在型観光の促進

団塊世代の大量退職時代を迎え、長期滞在型観光へのニーズの高まりが見込まれるとともに、この受入れを通じた地域の活性化が重要な課題となっている。このため、平成18年6月に「国内ロングステイ/二地域居住の観光・交通面からの環境整備に係る実証実験」実行委員会を立ち上げ、同年8月にセミナーを開催するとともに、九州内の5地域(別府、阿蘇、雲仙、佐世保・波佐見、五島)においてモニターツアーを実施し、国内長期滞在型観光の促進に向けたデータの収集・分析等を行った。

▲屋我地島(やがじじま)のエコツアー風景




  (2) グリーン・ツーリズムの推進

グリーン・ツーリズム(農山漁村で楽しむ余暇活動)の提案・普及を図るため、各種メディアを活用した都市住民の農山漁村情報に接する機会の拡大、都市と農山漁村の出会いの場の設定や地域資源を活用した交流拠点の整備について総合的に支援を行った。

  (3) エコツーリズムの推進

地域の自然環境等の保全を確保しつつ、地域の観光振興にも寄与するエコツーリズムの普及・定着を図るため、引き続きエコツーリズム憲章、エコツーリズム推進マニュアル、エコツアー総覧、エコツーリズム大賞、モデル事業の5つの推進方策を実施した。「平成18年度エコツーリズムシンポジウム」においては、1)第2回エコツーリズム大賞(大賞1団体、優秀賞3団体、特別賞6団体)の選定及び環境大臣表彰式、2)13のモデル地区においてルールづくりやガイドの育成等の各地区の成果や課題を情報交換するためのオリエンテーション、3)エコツーリズム事業者等を対象とした全国セミナーを開催した。
また、JATA世界旅行博2006において、日本の世界自然遺産地域を通じてエコツーリズムによる環境保全や持続的な利用の取組についてパネルディスカッション等による「エコツーリズムフォーラム」の開催等を行った。

  (4) 都市と農山漁村の共生・対流の推進

都市と農山漁村を双方向で行き交う新たなライフスタイルの実現に向けて、都市住民の農山漁村に対する関心を高めるための取組の支援、都市と農山漁村の橋渡しや受け皿としての農山漁村の魅力の向上のための対策を、「都市と農山漁村の共生・対流に関するプロジェクトチーム」での検討を踏まえつつ、関係府省が連携して総合的に推進した。
また、民間が主体となって構成されている「オーライ!ニッポン会議」が中心となって、ホームページ(http://www.kyosei-tairyu.jp)による情報提供や都市と農山漁村の共生・対流を進めている優良事例の表彰等を通じて、国民的な運動を推進した。

  (5) ヘルスツーリズムの推進

高齢化社会を迎え、より「健康」への関心が高まりを見せる中、自然豊かな地域等を訪れ、そこにある自然、温泉や身体に優しい料理を味わい、心身ともに「癒され」、「健康」を回復する新しい観光形態としてのヘルスツーリズムが注目されてきている。また、こうした動きも踏まえ、旅行の健康への効果・影響の医学的かつ実証的な解明を進めるとともに、それらを含めた旅行中の新感染症等への医学的対応等について、一般旅行者や旅行業者の知識を向上させる必要が高まってきている。
こうした状況下において、ヘルスツーリズムの今後の発展の可能性や今後のヘルスツーリズムの振興の在り方について検討することを目的としたシンポジウムを開催するとともに、糖尿病患者や人工肛門患者を対象としたモニターツアーを実施した。

  (6) 「知の集積」等を生かした新しい観光の振興

平成18年2月に地域再生本部が決定した「地域の知の拠点再生プログラム」において、地域と大学等の連携による地域再生の取組の支援に資する施策の一つとして、「知の集積」等を生かした新しい観光振興の支援が掲げられた。
このため、各大学が有する特色ある優れた研究活動の成果、現在の活動内容、観光資源として活用可能な研究施設等について紹介するウェブサイト(http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/daigaku/)を国土交通省のホームページ内に構築して、そのPRを図っている。
日本科学未来館(東京都江東区青海)では、参加体験型の展示や実験・映像等を駆使し、難解と考えられがちな最先端の研究成果や研究内容等を分かりやすく紹介している。約100万個のLED(発光ダイオード)が貼り込まれた直径約6.5mの球体ディスプレイであるGeo-Cosmos(ジオ・コスモス)や、500万個の恒星を映し出すプラネタリウムであるMEGASTAR-IIcosmos(メガスターIIコスモス)等の常設展示や企画展等を通じて、科学技術と社会の双方向のコミュニケーションの活性化に努めている。平成18年度の来館者数は778,629人。

▲日本科学未来館の外観



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