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平成19年度観光施策

 第1章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

 第1節 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

 1 観光地の特性を生かした良質なサービスの提供の確保



   (1) 観光ルネサンス事業の推進

訪日外国人旅行者の受け皿となる国際競争力の高い魅力ある観光地づくりを進めるため、観光ルネサンス事業を実施し、地域の民間と行政が一体となった観光振興の取組を総合的に支援する。
平成19年度は、地域に根付く産業・文化・歴史・暮らしを生かした地域ぐるみで行われる観光サービスの起業等の促進を図る「手づくり観光サービスの創造事業」及び外客の満足度向上を通じたリピーター客等の増加に資する「外客満足度向上事業」を重点分野として位置付け、積極的に支援するとともに、観光地づくりを担う人材を育成・登録し、地域への橋渡しを行う「観光地域プロデューサー事業」を実施する。
また、引き続き、地域の観光動向・観光地域づくり等に関する基礎調査、観光産業の高度化等の実証実験、観光カリスマ塾、観光まちづくりコンサルティング事業を行う。

   (2) 地域観光マーケティング活動の促進

地域の観光魅力を熟知した地元の観光関係者と旅行会社の連携・協働による地域の旅行商品の創出を促進するため、引き続き、「観光まちづくりアドバイザリー会議」による集中的な支援等を行う「観光まちづくりコンサルティング事業」を実施する。

   (3) 観光地域プロデューサー事業の実施

地域一体となった観光振興の取組を牽引するプロデューサー的人材が不足しているなど、自発的かつ自立的な活動が十分に行われていない状況にある。
そのため、観光地域づくりの取組を企画・演出するとともに、必要な調整や合意形成を図り、具体的に集客効果を地域に還元することができる人材を育成・登録し、地域への橋渡しを行う「観光地域プロデューサー事業」を実施し、魅力ある観光地づくりと地域の経済・雇用の活性化を推進する(図1-1-1)。

図1-1-1 観光地域プロデューサー事業




   (4) 観光振興による地域活性化を盛り込んだ「国土形成計画」の策定

平成17年に「国土総合開発法」が「国土形成計画法」へと抜本的に改正され、全国総合開発計画に代えて、全国計画と広域地方計画の2層から成る国土形成計画を新たに策定することとされた。全国計画については、平成18年11月に、計画部会における検討結果が「計画部会中間とりまとめ」として国土審議会に報告され、各広域ブロックが自立的な圏域を形成する国土構造へ転換するための戦略的取組として、持続可能な地域の形成等の考え方が示されている。
観光振興による地域活性化を図るため、国際競争力のある魅力ある観光地の形成、観光産業の活性化等の観光に関する基本的な施策を盛り込んだ全国計画を閣議決定する予定である。

   (5) ビジネス性実証支援事業の実施

地域の観光・集客サービス産業において、観光ニーズや地域の観光資源の特性を踏まえた新サービスを提供する先導的な取組を支援するため、「ビジネス性実証支援事業」を実施する。
また、地域が持つ観光資源を核とした地域の取組からその成功・失敗要因を抽出・類型化し、全国各地の観光・集客サービス産業の成功率向上につなげるため、分析提供するための調査を実施し、成功要因を手引き書として取りまとめる。

   (6) ラグジュアリー・トラベルマーケット調査事業の実施

我が国への外客誘致を行う上で、特に、外国人富裕層(ラグジュアリー層)をターゲットとして誘致するビジネスモデルを構築するため、平成18年度において、このようなラグジュアリー層の訪日ニーズ及び受入体制の在り方を検討するための調査を実施した。また、旅館、料亭、芸術等の有識者によるアドバイザー会議を開催し、今後の日本のプロモーション活動の在り方、受入体制の整備の在り方についての検討を行った。
この検討を踏まえ、平成19年度は、ラグジュアリー層向けのプロモーション、ラグジュアリー層受入れのための「和」のコンテンツのネットワーク化を推進するとともに、フランス(カンヌ)で行われるインターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット(ILTM)に出展する。

   (7) 広域・総合観光集客サービスの支援事業の創設

国際競争力ある観光・集客サービス産業を構築するため、広域的に幅広い関係者の参画を得て、差別化を可能とする独自の戦略を構築し、地域・業種横断的な総合的取組を推進する。これにより、同時に、中小企業の観光・集客サービス化による高付加価値化を達成するとともに、地域経済の活性化に貢献する。
具体的には、特色ある地域の産業や工場、商店街、異業種等の幅広い事業者の連携等、観光・集客サービス分野において個別の事業者では対応が困難な立ち上がり期における共通基盤づくりを支援する。

   (8) 中小企業地域資源活用プログラムによる支援

我が国経済は全体としては回復基調にあるものの、中小企業の回復は遅れており、また、地域によってその回復の足取りに差が生じている。このため、現在の景気回復の流れをより確かなものとし、地域経済の自律的な活性化を図っていくことが重要な政策課題となっている。
観光資源をはじめ、産地の技術や地域の農林水産物といった地域の特徴ある産業資源(地域資源)は、商品・サービスの差別化・高付加価値の有効な要素となり得るものであり、こうした地域の「強み」を生かした産業を形成・発展させていくことが重要であり、平成19年度より「中小企業地域資源活用プログラム」を創設し、地域資源を活用して、新たな商品・サービスを開発し、その市場化に取り組む中小企業を総合的に支援する。
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