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平成19年度観光施策

 第1章 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

 第2節 観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成

 4 温泉その他文化、産業等に関する観光資源の保護、育成及び開発



   (1) 産業観光の推進

産業観光の普及を図るため、産業観光に関する情報発信を通して、地域における産業観光資源の活用を促進する。

   (2) 地域伝統芸能等の観光への活用

地域伝統芸能等を活用し、地域の特色を生かした観光の振興を図るため、平成19年7月28日から2日間、長野県松本市において開催される「第15回地域伝統芸能全国フェスティバル」について後援を行う。

   (3) 文化観光の推進

平成18年8月の文化観光懇談会中間的報告を踏まえて、文化観光を実践している人々からその知識・経験を聴取するとともに、そうした人材の育成・支援、文化観光を学ぶ場の開設等や日本文化の発信力強化のための方策を引き続き探っていく。

   (4) 構造改革特区・地域再生・都市再生・中心市街地活性化へ向けた取組

構造改革特区では、構造改革特別区域法施行後5年目を迎え、これまでの実施状況についての検討結果を踏まえて、制度全体を強化・継続するため、平成19年3月、法改正を行った。この新たな特区制度の下で、引き続き地方公共団体や民間事業者等から提案募集を行い、観光振興に資するものも含め、「実現するためにはどうすればいいか」という方向で対応するとともに、観光振興のために規制の特例措置を活用しようとする地方公共団体に対して、積極的に支援・助言を行っていく。
また、特区で行われている規制の特例措置を評価した結果、特段の問題がないとされたものについては、全国展開を進めていくことにより、特区の成果を全国に波及させていく。
地域再生についても、平成19年3月に地域再生法の改正を行い、引き続き、地域や民間の声を踏まえ、支援措置の拡充に取り組んでいくとともに、観光振興のために支援措置を活用しようとする地方公共団体に対して、積極的に支援・助言を行っていく。特に「地域再生総合プログラム」(平成19年2月28日地域再生本部決定)を推進し、「観光に関する人材の育成」や「外国人観光客の訪日促進と魅力ある観光地・観光産業の創出」等の地域の自主的な取組を支援していく。
都市再生については、平成19年度も、全国都市再生モデル調査を行い、地方都市の意欲と創意工夫をできる限り尊重しながら、観光や姉妹都市交流を含む様々なテーマによる地方都市の再生・再活性化を図ることとしている。
中心市街地活性化においては、観光資源等その地域の特色を生かして活用する地域ぐるみでの意欲的な取組を国が認定し、支援していく。

   (5) サイクルツアー推進事業

サイクリングを楽しみながら地域の魅力をゆっくりと堪能する新しいツーリズム(サイクルツアー)を普及し、地域の活性化を図ることを目的に、サイクリングロードと観光施設、川の親水施設、港湾緑地等との連携を強化する各種施策を総合的に推進しており、全国15モデル地区において、自転車を利用した観光促進策等を盛り込んだサイクルツアー推進計画に基づき事業を推進するとともにモデル地区を募集する。

   (6) 北海道の観光振興

世界自然遺産である知床をはじめとする貴重な北海道の自然や景観の保全を進めるとともに、道路、空港、港湾等の交通基盤や、アウトドア活動の拠点となる公園の整備を進め、北海道観光の振興を図る。また、沿道景観等の地域資源の保全と活用により、美しく個性的な北海道づくりを目指す「シーニックバイウェイ北海道」や自然・農場体験型観光、花観光(フラワーツーリズム)の振興等のソフト施策を地域と連携して推進する。
近年、大幅に増加している外国人観光客が安心して自由に旅行できる環境構築のために、「道の駅」において外国語で情報提供を行う端末等の整備を推進する。

▲シーニックバイウェイ北海道「釧路湿原・阿寒・摩周シーニックバイウェイ」




   (7) 沖縄の観光振興

沖縄振興計画、第2次沖縄観光振興計画等に基づき、多様なニーズに対応した通年・滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成に向け、沖縄観光の一層の振興を図る。
平成19年度においても、引き続き、離島地域における観光案内標識等の整備を行うほか、離島観光地における自然環境に配慮した汚水処理施設を整備・運用する際の技術的条件等の調査検討等を行う。
また、観光客の多様なニーズに対応するため、体験滞在交流の促進等の事業を推進するほか、観光振興地域制度における税制特例措置について、新たに対象施設として文化紹介体験施設を追加し、観光関連施設の集積の促進を図る。
さらに、携帯電話等のITを活用した観光案内システムの調査や、沖縄の中小ホテル事業者に対して、経営改善のための指導・研修を行う。

▲沖縄体験滞在交流促進事業(琉球舞踊体験)




   (8) 豪雪地帯における冬期の観光振興

豪雪地帯対策基本計画に基づき、観光・レクリエーション産業を振興するとともに雪国の特性を生かした多様な交流を推進する。また、年間を通じた雪国と他の地域との交流の推進を図る。

   (9) 離島地域の観光振興

観光により離島地域経済の活性化を図ることを目的に、観光資源が充分に開発・活用されていない離島において魅力的な観光資源の開発、観光ルートの設定と共に、モニターツアーによる検証を行う「離島ツアー交流推進支援事業」を実施する。
さらに、離島における海洋性気候等の恵まれた環境を活用したアイランドテラピー(健康増進ニーズに対応する保養・療養地づくり等)を推進する。
また、離島航路事業者、旅行業者、交通事業者、地域住民等多様な主体と連携して、観光振興を核とした交流人口の拡大と需要喚起のための調査を実施することにより、離島地域(本土-離島航路-離島)の活性化を推進する。

▲離島を行く(五島)




   (10) 奄美群島・小笠原諸島の観光振興

奄美群島においては、地方公共団体が行う観光拠点としての園地等の整備に対する支援を実施するとともに、群島内外との交流を促進するために地方公共団体が行う体験交流の推進や奄美群島の歴史、自然、文化について観光客に案内できる人材の育成等の事業に対して支援を実施する。
小笠原諸島においては、平成18年11月に、観光客の増加に向け観光振興策の強化・充実を図ることとするなど所要の変更を行った小笠原諸島振興開発計画の趣旨を踏まえ、自然公園、観光交流施設等に対する取組について積極的な支援を実施する。

   (11) 半島地域の観光振興

半島地域の自立的発展を目指し、多様な自然・文化資源の活用による観光を通じた半島地域の活性化を図るため、NPO法人や地域住民等が主体となって行う交流・連携の促進方策等について引き続き検討する。

   (12) 総合保養地域のソフト面の充実等

国民のニーズに対応し、地域振興に寄与する総合保養地域の整備を図るため、地域の資源を生かした独自の魅力の向上、施設の利用促進、人材の育成等のソフトの充実や地域間交流の促進等に向けた取組を推進する。

   (13) 写真を撮るパーキング「とるぱ」の推進

安全な駐車場と、そこから歩いて行ける美しい風景の撮影スポットを募集し、ホームページや携帯電話で情報提供(http://torupa.jp)を図る。

   (14) 森林等の保全管理と観光への活用

1)森林等の保全管理等
保健保安林等の計画的な指定の推進、林地開発許可制度の適切な運用と共に、周囲の森林景観に配慮しつつ、荒廃地等の復旧整備や機能の低位な森林の整備を実施する。
森林病害虫や野生鳥獣被害に対する各種防除措置を実施する。特に、白砂青松といった美しい景観を形成する海岸松林等を保全するための松くい虫被害対策や、里山林等の景観を損なうおそれのあるナラ枯れ(ナラ菌によるミズナラ等の集団的枯損)被害対策を重点的に推進する。
森林保全推進員等による森林パトロールにより林野火災等各種森林被害の未然防止又は早期発見に努める。
国有林野では、適切な森林の管理経営と保護管理等を行う。また、森林生態系保護地域のうち、保全利用地区(バッファーゾーン)においては、森林の仕組み・働きと森林との接し方を学ぶ場の整備等を行う。
2)森林等の観光への活用
森林の保健・文化・教育的利用を通じて国民の福祉の向上と山村地域の活性化に資するとともに、子どもたちの森林体験活動や林業体験学習の場となる森林・施設の整備等、森林環境教育、森林づくりへの国民参加、すべての世代の健康づくり等の森林の多様な利用に対応した森林空間の整備を推進する。
また、これらの森林等の整備に当たっては、幼児から高齢者までのあらゆる年代層や様々な身体条件を持つ人々の利用に対応するためユニバーサルデザイン手法の普及を図る。
保健保安林等の機能向上を図るため、共生保安林整備統合補助事業等により森林の造成、改良等の整備について実施する。
森林等の地域資源を生かしたツーリズム等を推進するとともに、都市と山村の交流等山村活性化に資する意欲的で先導的な取組や人材育成を図る。
国有林野では、自然休養林等の「レクリエーションの森」を、人と森林とのふれあいの場として積極的に提供する。また、森林づくりの活動の場を提供する「ふれあいの森」、学校等による体験活動・学習活動の場を提供する「遊々の森」の設定・活用を推進する。

   (15) 河川・湖沼・山地流域の保全と観光への活用

1)河川・湖沼・山地流域の保全
「水質汚濁防止法」に基づく排水規制等を実施する。また、環境基準の確保が特に必要な10指定湖沼については、「湖沼水質保全特別措置法」等に基づき負荷量規制や非特定汚染源対策を含む総合的な対策を推進する。
また、水辺環境保全に関する情報交換会の開催や、湧水の復活・保全活動の支援等、地域住民の自発的・積極的な水環境保全活動を喚起・支援していくための施策を推進する。
生活排水については、下水道の整備、高度処理の推進を図るとともに、合流式下水道の改善を図る。
汚濁した底泥のしゅんせつや浄化用水の導入等を実施する。また、緊急に水環境の改善を図る必要のある河川等においては、「清流ルネッサンスII」を実施する。
崩壊地に、山地流域の個々の特色をいかした植生を回復させるため、NPO法人等と連携して山腹工、砂防樹林帯等の周辺環境に配慮した砂防事業を実施する。
2)河川・湖沼・山地流域の観光への活用
1)良好な水辺空間の形成
豊かで潤いのある水辺景観の形成を図るため水辺空間整備を実施する。特に「河川の再生」、「水辺都市の再生」等の都市再生プロジェクトを推進する。
また、ふるさとの川整備事業や桜づつみモデル事業を実施する。
さらに、多自然川づくり、マイタウン・マイリバー整備事業、スーパー堤防整備事業、総合水系環境整備事業、水と緑のネットワーク整備事業、水環境対策ダム事業、自然再生緑地整備事業、緑化重点地区総合整備事業、新世代下水道支援事業等を推進する。
擬岩による護岸工事等、観光地の魅力を損なわないよう景観等に配慮した砂防事業を推進する。
2)親水空間等の整備
農業水利施設の有する水辺空間等を活用し、都市住民にも開かれた豊かで潤いのある快適な水辺景観の創出による農村の活性化を図るため、親水・景観保全施設や生態系保全施設等の整備について支援する。
3)リバーツーリズムの推進
全国の川で活動する市民団体等で構成されるNPO法人「川に学ぶ体験活動協議会(RAC)」と連携し、川で安全に活動するための指導者、リバーガイドの育成を推進する。
4)「子どもの水辺」再発見プロジェクトの推進
地域の身近な水辺における環境学習・自然体験活動を推進するため、市民団体や教育関係者、河川管理者等が一体となって取り組む体制の整備を進めるとともに、「子どもの水辺サポートセンター」を活用し、水辺での活動に必要な機材の貸出しや学習プログラムの紹介等を総合的に支援する。また、必要に応じ、水辺に近づきやすくする河岸の整備等を推進する。
5)河川周辺レクリエーションの促進
河川の高水敷等を公園、緑地、運動場等に利用するための諸施設の整備等を総合水系環境整備事業等により行う。また、カヌーポート等の整備により、水辺での活動を促進し、親水レクリエーションの促進を図る。
6)ダム周辺レクリエーションの促進
「水源地域ビジョン」を策定・推進し、水を軸とした地域間交流を促進するとともに、ダム貯水池、その他周辺において総合水系環境整備事業等を実施する。

   (16) 海の環境保全と観光への活用

1)海の環境保全
東京湾について平成15年3月に策定された「東京湾再生のための行動計画」に基づき、8都県市及び関係省庁の連携により総合的な水質改善施策を講ずる。また、大阪湾についても、平成16年3月に策定された「大阪湾再生行動計画」に基づき、9府県市及び関係省庁の連携により、大阪湾の再生への取組を推進する。
また、「全国海の再生プロジェクト」として、伊勢湾及び広島湾においても、平成19年3月に策定された各再生行動計画に基づき、海の再生に向けた取組を開始する。さらに、他の閉鎖性海域においても海の再生を推進する。
エコ・コースト事業として、生態系や自然景観等周辺の自然環境に配慮した海岸整備を実施する。
自然環境に優しく美しいみなとの実現のため、水質・底質を改善する汚泥しゅんせつ・覆砂等の事業を推進する。また、良好な環境を創造する干潟・藻場等の海浜及び緑地の整備を推進する。
海上環境事犯に対する監視取締体制を強化するとともに、廃棄物の不法投棄事犯等について重点的に監視取締りを実施するほか、廃船の不法投棄事犯の発生の抑制及び適正処理の促進を目的として「廃船指導票」を用いた指導を行う。
港湾環境や景観を阻害する放置艇の解消を図るため、規制措置と係留・保管能力の向上とを両輪とした対策として、船舶等の放置等禁止区域の指定を促進するとともに、既存の静穏水域等を活用した簡易な係留・保管施設(ボートパーク)の整備を推進する。
漁港区域における漁港水域環境の保全や漁業集落排水施設の整備等を推進する。
流域別下水道整備総合計画の策定を進め、下水道の整備及び高度処理の推進を図るとともに、合流式下水道にあってはその改善を推進する。漁港区域における漁港水域環境の保全や漁業集落排水施設の整備等を推進する。下水道等の各種生活排水処理施設の整備を進めるとともに、各家庭からの汚濁負荷を削減するため、住民意識の啓発、住民による実践活動等を推進する。
2)海の観光への活用
1)海辺の環境教育の推進
みなとの良好な自然環境の市民による利活用を促進し、自然環境の大切さを学ぶ機会の充実を図るため、自治体やNPO法人等が行う自然・社会教育活動等の場ともなる海浜等の整備を行うとともに、全国の海辺や海で活動するNPO法人等で構成される「海に学ぶ体験活動協議会(CNAC)」と連携し、海辺の自然体験・環境学習を推進する。
2)港湾景観の形成
港湾が持つ特色、景観資源を活用し、良好な景観形成を図ることを目的とした港湾景観形成モデル事業を実施する。
3)ボートパーク等の整備
海洋性レクリエーションの振興と公共水域の適正な利用促進を図るため、プレジャーボートの活動拠点として、簡易な係留・保管施設(ボートパーク)の整備を推進する。また、第三セクターや民間事業者によるマリーナ整備に対して、日本政策投資銀行等による長期・低金利の融資等の支援を行う。
4)みなとの博物館ネットワーク・フォーラムの展開
みなとの役割や歴史の紹介、情報発信や交流の場として重要な役割を果たしている「みなとの博物館」を活性化させるフォーラムの活動に協力する。
5)フィッシャリーナの整備
漁業と海洋性レクリエーションとの共存を図るため、外郭施設等を整備する漁村再生交付金等の活用及び簡易な係留施設等を整備する強い水産業づくり交付金の活用により、フィッシャリーナの整備を推進する。
6)漁港環境の形成
漁港内における快適な環境を保全・創造するため、親水施設等の整備を行う漁港環境整備事業、漁港交流広場整備事業を推進する。
7)海岸環境の整備
安全で、利用しやすく親しみのもてる海岸の創造、さらには、自然と共生し快適で潤いのある海岸環境の保全と創出を図る海岸環境整備事業を全国で計画的に実施する。
8)ビーチ利用促進モデル事業の実施
マリーナ等の整備と連携しつつ、大規模なビーチ、遊歩道等の整備を重点的に促進する「ビーチ利用促進モデル事業」を推進する。
9)みなとまちづくりの推進
みなとの資源を再認識するとともに、最大限に活用して、市民、企業、行政等の連携の下で、観光や地域交流の拠点となる活力のあるみなと空間を形成する「みなとまちづくり」を、「みなとオアシス」認定制度等を活用し推進する。
10)地域の知恵と工夫を生かしたみなと振興の推進
みなとが有する景観や既存ストック等の資源を生かした地域の活性化や魅力の向上を図るため、港湾所在市町村等を交付対象とした「みなと振興交付金」を創設し、知恵と工夫を凝らした地域の取組を支援する。
11)運河の魅力再発見プロジェクト
港湾管理者や地域が主体となって、「運河」の魅力を再発見し、地域の個性を生かした水辺の賑わい空間づくりや水上ネットワークの構築、防災機能の強化等を図り、「運河」を核とした魅力ある地域づくりを進める取組を支援する。
12)コースタル・コミュニティ・ゾーンの整備
地域住民が海と親しみ、集い、憩える場としてコースタル・コミュニティ・ゾーンの整備を推進する。
13)海と緑の健康地域づくり-健康海岸-の実施
砂浜の保全・復元、遊歩道の整備等、健康増進のために利用しやすい海岸づくりを推進する。
14)いきいき・海の子・浜づくりの実施
自然・教育活動の場(自然体験、環境教育等)、マリンスポーツの場として利用しやすい海岸づくりを推進する。
15)快水浴場百選の普及・啓発
水辺の自然と親しむことの重要性の増大や、環境政策の新たな展開を踏まえ、人々が水に直接触れることができる個性ある水辺を積極的に評価して選定した「快水浴場百選」について、普及・啓発等を促進する。
16)自然豊かな海と森の整備-白砂青松の創出-
海水浴、森林浴を同時に楽しめるなど、「白砂青松」で代表される自然豊かな海と森の整備対策事業を推進する。
17)岬のオアシス構想の推進
地元自治体が実施する公園化事業と連携する「岬のオアシス構想」を推進する。
18)都市と農漁村の交流促進や観光振興に資する海岸づくり事業
都市と農漁村の交流に資する施設の防護、又は景観や利用に配慮した海岸保全施設の改良を実施するなど都市と農漁村交流促進や観光振興に資する海岸づくりを推進する。
19)プレジャーボート利用振興における「海の駅」の普及促進
「海の駅」の更なる設置を支援し、ネットワーク化を推進するとともに、「海の駅」の活用を促進するため、地方自治体・観光事業者等と連携を図り、地域の特性を生かしたイベントの開催や周辺観光情報の提供等による地域活性化を図っていく。

   (17) 都市の緑地保全と観光への活用

1)都市の緑地保全
首都圏及び近畿圏においては、都市再生プロジェクトの一環として、広域的な観点から自然の潤いや恵沢を再創造するために、関係省庁及び関係都府県が連携し、「都市環境インフラのグランドデザイン」に基づき、まとまりのある自然環境の保全及び水と緑のネットワークの形成を推進する。
また、直接的・間接的な観光資源ともなっており、圏域の人々が広く親しむことができる自然環境を形成する大規模な緑地を、広域的な見地から保全するため、近郊緑地保全区域の新たな指定に向けた検討・調整を進めるとともに、既指定区域の適切な保全・管理を推進する。
都市緑地法に基づく特別緑地保全地区等の指定を促進し、都市における自然的環境の保全を図る。また、緑地保全等統合補助事業等により、特別緑地保全地区等における地方公共団体による土地の買入れや保全利用のための施設整備の機動的な実施を推進する。
2)都市の緑地の観光への活用
地域の個性を生かした観光振興、豊かな地域づくり、都市環境の保全、改善や自然との共生、都市の防災性の向上等の課題に対応しつつ、都市における緑とオープンスペースを確保し、水・緑豊かで美しい都市生活空間等の形成を実現するため、都市公園整備等を推進する。
特に、観光資源となる遺跡や城址、樹林等の地域の歴史・文化・自然的資産、及び景観形成上優れた建造物を生かし、観光振興の拠点となる都市公園の整備を推進するほか、都市において樹林地の保全や湿地、干潟の再生・創出等により、多様な生物の生息生育基盤や身近な自然と触れ合う場を確保し、自然と共生する魅力的な都市の実現を図るため、自然再生緑地の整備を推進する。
国営公園については、国営昭和記念公園等17公園の整備を引き続き行う。
皇居外苑、新宿御苑及び京都御苑については、広く国民に供するため、適正な維持管理を行う。

   (18) 温泉保護と観光への活用

温泉源の保護及び温泉の適正な利用の増進を図るため、都道府県等に対し適切な助言を行う。
また、温泉の公共的利用増進のため、保健、休養等に適した温泉地を「温泉法」に基づいて国民保養温泉地に指定する。

   (19) 地域間交流施設整備事業の実施

過疎地域の有する自然・文化・歴史・景観等の優れた地域資源を生かした、人・文化・情報等の交流を図るための遊休施設等の整備を推進し、もって国民のゆとりある生活への欲求、自然環境への関心等を満たし、都市等との地域間交流の促進を図るため、地域間交流施設整備事業を推進する。
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